第34話 父の手紙

 ミツルへ 


 俺は父親としてミツルに謝らなければならないことがある。


シゲルが生まれる時、母さんは入院中で俺とミツルはふたりで家にいたんだよな。


普段、家事も育児も母さんに任せっきりだった俺はほとんどパニック状態に陥った。


気持ちの余裕など全くなかった。


そんな中、ミツルは悪戯ばかりした。


今ならわかる。


俺以上にミツルが不安だったってことが。


それなのに俺はミツルに酷いことをしてしまった。


本当に申し訳なかった。


許してもらおうとは思っていない。


こんな手紙自体、俺の自己満足だ。


そして、直接面と向かって謝罪できないのは俺の弱さだ。


だけど信じてほしい。


大切に思っている。

愛しているんだ。


ミツルには我慢ばかりさせたな。


俺はミツルにとって良い父親じゃなかったのに、ミツルはシゲルをとても可愛がってくれたな。


俺にとって、お前たちふたりの息子は誇りだ。


ふたりとも同じだけ大切に思っている。


俺の息子に生まれてきてくれてありがとう。



            父より





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