赤い糸
いつもの放課後、静かに本を読む僕の前に現れたのは、自分で名探偵ホームズと言ってくる別のクラス同級生である
「また、君は小説を読んでいるのかい?」
「読んではいけないのかな?たけ・・・」
ムッ、と私を睨む
おっと、彼はこの放課後時だけは、ホームズと言わないと、機嫌が悪くなるのだ
「ホームズ君」
ほら、すぐに笑顔に戻る
単純な奴なのだ
「君が、ここに来ると言うことは、また何か拾ってきたのかい?」
「拾ってきたは、ちょっと言い方が悪い。見つけてきたのさ、事件になりそうな品をね」
彼が品と言っているが、大抵はゴミだ、
そのゴミを推理で持主を探す、それが我々の部活みたいな暇つぶしを放課後にやっている
「それで、今日はなんだい?」
「これが、今日の推理する品だよ」
そこに出されたのは、赤い糸クズであった。先に言ってしまったが、クズなのだ
そんなもの、早くクズカゴに入れて、かえってほしい。
続きが気になるからだ
「これが、どこにあったと思う?」
「分からないな?」
全く興味はないが、話を聞かないと帰ってくれないのが、ホームズの困ったところなのだ。
「男の机の端に蝶々結びで置かれてあったんだろう」
「なっなんで・・・」
ホームズは、驚いて僕の方をみた
「分かるさ、赤い糸の伝説だろう、この学校の七不思議だからね」
彼には悪いが、今日は構ってやれない、
それほど、今読んでいる山場を迎えているのだ
「だとしたら、答えは簡単だ」
「ちょっとまて、ワトスン・・・」
彼がホームズだと言うことであれば、察しがいい人なら、私をホームズのパートナーワトスン博士と思ったかたもいるだろう。
それほど、彼はホームズが好きなのだ
「なんだい?」
「ワトスン、僕もそこまで気づいていたよ。あの七不思議では、置かれた男性はOKなら蝶々結びをほどいて、そのまま夕方18時の時間に、校庭の端にある桜の木で、待っている女性の小指に赤い糸を結び、キスをすれば二人の関係は永遠に結ばれるとのことだ
私も、この話を聞き少しばかり、興味を失いそうになったが
だがだ、ここに糸があるのだよ
その意味分かるかい?」
「意味???」
「そうさ、糸を外した彼は怒って出ていったんだ。何故だろう?」
「その彼女が、余りにしつこいストーカーとか?別れた彼女?ことかい」
だが、ホームズは私の意見却下した
「僕が、この謎に引っ掛かったのはそこだよ。彼は転校して間もない
だから、付き合ってることはあっても、振られ話はまだないんだ。
彼が、プレイボーイじゃない限りはね
そのことから、彼がストーカーされるほどの人気者とも思えない」
「それは、さすがに失礼だろう」
「いや、僕は直接話をしたからね、それに赤い糸の伝説は彼も知っていたらしく僕は親切にも教えてやったのさ、木の場所をね」
「なら、彼が怒った理由も聞いたのかい」
すると、ホームズは頭をそらし、時間をおいてから、「怖いから、聞けなかった」いやいや、(何故怒ったのか知りたかったのに)と思えたが、ホームズは、その理由を推理するために、僕の所まで来たのだろう
「なら、彼の怒りの理由を推理するのかい」
「いや、僕が推理したいのは、誰が彼に糸を送ったか?だよ
そっちの方が面白いだろう」
いや、違うな・・・
ただ、推理後に確かめるために、彼に聞くのが怖いだけだろう
「僕らは探偵なのだからね、個人までいかなくても、なん組かを推理で分かればとね
あとは、18時に解答を見るだけ」
「ホームズ覗きはいかんよ覗きはね」
また、ホームズのムッとしたかおをみせる
「謎解きは必要なのさ、さてさて
この品が誰のか予想できるかい」
「そうだな、その男子は近頃転校した人物から、二年の田端だと思うのだが?どうかねホームズ」
「正解だ、彼は引っ越したのは二ヶ月前の七月の始めだった」
「すぐに夏休みだから、それほど恋愛話も無いまま、夏休みになって、今は九月十日だ
だとすると、出会いの場としては夏休み中の部活か町内開催の球技大会しかない
するとだ。部活をしていない彼からすると、球技大会しかないってことになる」
「ラジオ体操は?」
「中学生から、しない奴もいるだろうし、あえて見知らぬ街での朝からのラジオ体操に行くのも、考えにくいと思う
そんな俺も、いっていない一人だ
朝からは、ミステリードラマを見ているのさ」
(自慢にならない)
「なるほど、だから球技大会しかないと、彼の住まいの近所の女子が惚れて、赤い糸を出したことになったわけか?」
「そう言うこと」
「だとしたら、簡単だね」
「どうしてだい?ホームズ」
「何故なら、彼の近所の女子が後輩合わせて七人しかいないからだ
それに、その七人のうち三人は彼氏持ちだから、あえて危険な遊びはしないだろうし、残り四人になったが、一人は夏風邪で球技大会にも練習にも来ていなかった
すると、残りは三人になり下級生が一人と残りは同級生ってことになる」
ワトスンに三人の女子素性を話すと、余りにも具体的な彼の説明にひとつ間違えたら、彼がストーカーになりかねないと思ってしまうのだ
一年の女子
クラスメイトの女子
同級生の女子
「ワトスン、僕はいつも言っているが、観察だからね・・・あくまで」
(その言い訳にが不安なのだよ)
その女子の事を聞いて、「なら答えは、後輩の女子になるかな?」と、答えると「君も僕と同じみたいだね」と、ホームズは笑って見せた
この謎のポイントは、糸をおいた時間で放課後に置かれてあることから、人のいない時間を見計らって置いていることから、
その時間限定でしかおけないと言うことになる、するとクラスメイトなら、早く学校に来て糸を置く時間もあるだろうし、休憩の合間におけるタイミングはあったはず
それを放課後まで、待っているのはおかしな話である。それにクラスメイトの彼女は見ていて分かるが、噂などを信じず直に告白するタイプに見える
すると、同級生と一年だが、同級生も夕方まで待たずとも赤い糸を置くことは可能だ。
時間割の中で、音楽室に行く時間に彼の授業は、体育であるからこっそり置くことが出来るのだ
すると、残りは一年ということになる
ホームズと僕は18時になり、木の陰に一年の彼女を見つけて、謎解きはあっていたと、喜びホームズは帰っていった
これで、残り少し本を読むことにしたのだが、ひとつ気がかりなことがあり、パソコン部のパソコンを借りて、調べものをすると、急いで桜の木へと走った
彼女がいた、そして彼も今彼女の前に、「待って」大声をあげて、彼が気づくと、手に持っていたモノをポケットに入れた
「あの、大声をあげてなんのつもりですか?」
後輩の彼女は、僕を睨み付けて怒っているようだ。
「待ってください、君がやった赤い糸を彼が勘違いしているようで、ちょっと話に来たんだよ」
彼女の怒りを抑えさせ、彼に話始めた
「君は、あの糸の意味を勘違いしているんじゃないのか?
君がいた学校では、赤い糸の意味が変わるんだよな!相手を呪い殺す為の呪術に使う学校の七不思議の一つなんだよな、
だが、ここじゃ赤い糸の伝説は、恋を実らせる為のモノ、だからそのポケットのは使っちゃったダメだ」
「・・・・・そうか、勘違いだったのか・・・・・ごめん俺、彼女いるんだ
だから、君とは付き合えない」
そう言うと、彼女は泣いてその場を立ち去った
「彼女いたのか?」
「嘘・・・」
「俺は、知らないとはいえ、彼女を傷つけようとした、だから無理だ」
それから、彼は帰っていった
それから、一週間が過ぎたときだ
ホームズと話していると、彼らが付き合っている事を知った。
あの事から、もう一度アタックしたらしい、紙に書かれた(彼に彼女はいない)が
彼女の気持ちをもう一度、アタックのきっかけになったらしい
完
拾いもの探偵 西田 正歩 @hotarunohaka
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