小さな鉛筆
放課後のチャイムが鳴るなか、倶楽部活動していない連中は、校門をあとにしていた。
誰もいない教室で、一人僕はミステリー小説を読んでいた。
だが、その有意義な時間を邪魔するあの男(ホームズ好き)が僕のクラスに入ってきて、いつものように謎(ただのゴミ)を持ってくるのであった 。
「ワトスン君、待たせたね」
(・・・待ってませんよ)
「でっ、今日も何か持ってきたわけかい?」
「フフフ、これだよ」
勢いよく僕の机に置いたのは、持つ部分が、小指ほどに短くなった小さな鉛筆であった
そして、やっぱりただの(ゴミ)であった。
「このゴミの持ち主を推理するのかい?ホームズ」
「もちろんだよ、だって興味ないかい音楽室のピアノの下に落ちていたんだ。」
音楽室で、筆致用具を使うことはあまりない、それもピアノの近くは、机からかなり離れているから、落ちたら気がつくはずである。
「なら、先生のじゃないかい?」
「それはないよ、ピアノの先生から短い鉛筆誰のか?言われて、俺が頂いたんだから!」
「って、嘘ついてまで、鉛筆が欲しかったのかよ」
「当たり前さ、謎の小さな鉛筆を誰のか推理する、楽しくならないかい?」
(ならねぇー)そんな気持ちも言えず、僕は小さな鉛筆を手に持つと、何か手がかりがないか調べることにした。
「鉛筆は、どこの文房具屋にもある、ありふれた鉛筆だね、ただ、少しいつものより濃い緑にも見えるが、それにお尻の部分のがガリガリ噛まれた跡があった。
鉛筆の先端は鉛筆削りでせずカッターなどの刃物で尖らせているようだ。」
「おや、何か気づかないかい?ワトスン君ほら、鉛筆の文字だよ、」
「B、中々濃い鉛筆を使っているね、だが、Bぐらいなら・・・ん?横に文字が、こりゃ3Bか」
この近くの文房具店には2B以上はさすがにない、隣街のデッサン専門の文房具店に置かれていることから、日常に学校で使われるのは考えにくいのである
「なら、ホームズはこの鉛筆は、どう見ているんだい?」
「考えられるのは三つかな
一つ目は、ただの筆記用具として使う。だが、2Bでも十分に濃い事から、3Bを隣街まで行くのは考えにくい
二つ目は、絵を描くため、漫画や絵画やイラストを描くのであれば、濃い鉛筆を使ったりするからね、ただ、ここは音楽室だから、鉛筆が落ちる可能性は低い
三つ目は、音楽の楽譜を書くときのため
であるが、一つ目と同じで、ここまで濃いのを使う意味はないはず」
ホームズの推論を聞いて、僕はもう一つの可能性を言う
「ホームズもう一つあるぞ、音楽室での先生と生徒の密会だよ、吹奏楽部の生徒と美術はの禁断の恋とか・・・何てな」
「それも可能性は高いかもな」
(おいおい、冗談なのに)
「だがワトスン君、何故美術の先生なんだい?音楽の先生でもいいじゃないかい、」
「それは、音楽の先生が鉛筆を見つけたからさ、もし、隠したいなら、鉛筆を自らは言わないだろうからね」
そうすると、ホームズは悩みながら、また、先程の鉛筆を見つめ始めた。
「ねぇ、ワトスン君はこの鉛筆に足りないものが何か分かるかい?」
「あぁ、キャップだろう、これだれ短けりゃ持ち手部分が無いからね。
だが、それが無いのは、捨てたんだと察したから、あえて言わなかったんだ。」
「なら、キャップを持っている人が持ち主になるか?」
「そうだろうね、美術好きか美術部のだれかさ良かった解決だねホームズ」
やっと話が終わり、僕は閉じていた本を開き読み始めると、ホームズは僕をバンッと叩きつけて、「なら、今から美術室に行こう」と手を握り、引っ張られながら美術室に来るのであった。
だが、美術部の人達に聞くが、鉛筆のことは知らないと言われ、音楽室にも行くが
吹奏楽部の人達も知らないと言われた。
だが、吹奏楽部の女子が言った一言、その言葉に僕らは疑問を抱いた。
「そんな濃い鉛筆見たこと無い」
その言葉を聞いて、小さくなった鉛筆を見ただけで僕らもそうだったが、ただの鉛筆であった。
その鉛筆を(濃い)と言った一言、彼女は何か知っているようだ。
僕らは部活後にその彼、田辺 愛(たなべ あい)を待ち伏せすることにした。
「田辺 愛君だよね?」
「あっさっきの人ですね?何なんです待ち伏せですか?」
嫌な顔をしながらも、諦めたらしくて僕らの話を聞くことにした。
「あの鉛筆知ってるよね」
その事を訪ねられ、頭に手をやるり「参ったな」と笑う
「そうだよ、あの鉛筆は、美術部の木原 諒(きはら りょう)君のです。彼貧乏だから、使えなくなるギリギリまで削るの」
「詳しいね、彼のこと好きなの?」
「えっそうだけど、彼どうしたの?いきなりだったから、知らないって言っちゃったけど」
心配の顔をしながら、ホームズに訪ねているが、「ただの落し物を趣味で、持ち主推理してるだけだから大丈夫ですよ」優しく言うと、彼女もホッとしたらしく、帰っていく。
「彼女が、木原君のモノと言ったが、美術部の木原君はあの場で鉛筆のことを言わなかった。
ワトスン、もしかしたら君が言った最後の恋の話だけど、当たっているかもだね、それも禁断の恋だったりとか?」
一日おいて昼休むのことだ。校舎の裏で僕らの前にいたのは、美術部の木原であった。
「木原君単刀直入に言うが、この鉛筆は君のなんだろう?」
「ちょっと待って、そんな鉛筆知らないよ」
木原は田辺と違い、潔くなく言い訳をしてきたので「田辺君から聞いたんだけど」ホームズが言うと、「なんだ、田辺に見られてたのか」仕方ないと降参したのか、壁に背中を当て僕らの方を向く。
「君は音楽の先生と付き合ってるんだよね」
「えっ・・・」
一瞬の彼の固まりに少し違和感を感じたが、彼は「はっ・・・ハハハ」笑いだした。
「そうだよ、先生と僕は恋しているのさ、だから、密会の場所を音楽室にしていたのさ・・・まさか、鉛筆を落とすとは思わなかったけどな」
彼は、先生との禁断の恋を語るのであった。
ホームズは、「何故先生は、鉛筆のことを知らなかったのか?君に黙って渡せば良かったのに」その疑問を訪ねた。
「先生と会うときは、鉛筆を持っていないし、あの日だけカバンを持ってきていたから、その日落としていたんだ。」
それを聞くと、ホームズは納得したのか、帰ることにした。
ホームズは、彼と先生のことを秘密にすることにした。
僕は放課後に木原の前にいた。
「木原君に一つ聞きたいことがある。君が落とした鉛筆はこのままだったのかい?」
「そうだよ、どうしてだい?」
「いや、あの小さな鉛筆を使うなら、キャップが必要だと思ったんだけどね
で、キャップは見当たらなかったけど」
その質問に、木原は怯えた顔をした
「僕は一つ思ったことがあるが、田辺さんが鉛筆を知っていたことが気になりました。
ただの小さな鉛筆では、木原君のことを知らなかったはずだ。
そう考えると君と田辺さんが、親しかったってことになる。どうだろう?」
その言葉を聞いて、木原君は呆然としていた。
「どっどうして、」
「そうだろう、田辺さん」
僕は、田辺さんの名を呼ぶと、隠れていた田辺さんは「降参よ」と、笑っていた。
「鉛筆のキャップに何が隠れているのかわかっているよ。
煙草だよね、細い煙草を小さく切りながら、木原君は音楽室で彼女と吸っていたんだ。
お尻の部分が、噛まれていたのは、煙草の香りが着いていて、その味を味わうために噛んでいたんだ。」
それを聞き終えると、田辺さんは笑いだした。
「ふん、煙草何て子供が吸うもの、薬物
よ。
私は、音楽室で二十歳の彼氏から貰った薬物を木原君と吸っていて、その薬物を分け与える時の入れ物が、あのキャップであったの。」
それを聞いた木原君は、「田辺さん、何を」慌てて発したが、もう田辺さんは諦めていた。
「探偵さん、先生にチクるの?」
「そんなことはしないよ、でも、警察に行ってほしい二人とも・・・まだ、人生を終わらせるには早すぎるからだよ。
田辺さん、その二十歳の人とは別れなよ、それが一番だと思うよ。」
「ねぇ、探偵さん、好きなんだよ、どんなに悪者でも愛したら、離れたくないんだよ。」
彼女は、笑いながら泣いた。
その後二人は警察に行き、薬をやったことを話したそうだ。
一週間後男性も捕まった。
何と、男性を捕まえる為に、田辺さんはおとりになり誘き寄せて確保したらしい。
その新聞を、僕は放課後読んでいたが、危険な事件や報道には全く興味を持たないホームズは、落し物を拾ってきて、またまた、推理をするのであった。
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