第5話ねじれたクリップと針金

ホームズ馬鹿の彼が、またまた、拾い物をしてきたのは、夕方の掃除が終わる頃であった。

僕は、ホウキをはわくのをやめ、窓の外を眺めるのであった。

一週間後始まる期末テストが憂鬱でたまらない、

何故なら三十点以下しかとったことがないのだ。また親に言われる「塾に行きなさい」一度行ってみて、成果が上がらず、

二年で辞めた小六時、あれから二年がたつが、散々な結果に親も呆れている。

だが、推理ではハズレばかりのホームズだが、秀才で九十以上の点数しかとったことがないと、自画自賛して、それがまた腹が立つ。


「ワトスン、君に見てもらいたい物があるんだ」


その声に、また謎に関わることになると、半分諦めながら、彼の開いたら手の平にある二つのクリップと針金を見せられた。

クリップの半分がピシッと伸ばされて、もう半分はいびつにねじ曲がっていた。

針金は両端がペンチで切断されていて、クリップよりも長さは短い。


「やけにねじれているね?それにかなり固いクリップだから、元に戻すのも大変だ。何か緑のマーカーの痕がついているね」


「このクリップと針金上から降ってきたんだ。窓が開いていたのが、4階の理科室だったんだけどさ、理科室に行くと誰もおらず、このねじ曲がったクリップと針金が誰のかも分からないんだ?」


「いや、ゴミだよ。多分捨てたのさ」


今日、推理には付き合ってられない。何故なら二時間ミステリードラマを観たいのだ。シリーズ物であるから、たまらなく気になってしまう。


「それは無いさ、何故なら僕のもとへと舞い降りたのだから、そう謎を神は与えて下さったのです。」


「お前仏教だろう、婆ちゃん悲しむぞ」


時々、変なロマンチストになるところもあるが、ここまで、変人ぷりを見せつけられると、やっぱり友達でさえ引いてしまう。


「僕は勉強をしないといけないから無理」


「なら、教えてやっても構わないが」


よろしくお願いします。なんとも早い土下座にホームズもビックリしていた。


「なら、よろしくだね。」


ばいばい、僕のミステリードラマまっ録画はしてるから良しとした。


理科室に行き中の様子を見ていると理科室のしたは、三階がパソコン室でその下が校長室になり、ラスト一階は家庭科室であった。

その時だ、クラブの実験部の連中が入ってきた。

実験のための薬品棚から先生から借りた鍵で必要な分だけ出すのだが、本当は理科の先生無しでは開けるのは禁止のはずだが、先生も黙視しているようだ。

理科室から、邪魔になるのであとにした。

「やっと、新しい南京錠買ったんだ」


出ようとした時、生徒がの言った言葉に、僕は訪ねずにはいれなくなった。


「南京錠無くなったのかい?」


「二日前にね!鍵が無くなって、錠を壊したんです。それからは針金で何重にも閉めて鍵の代わりにしてるんですが。やっと買い換えたみたいですね。」


この話からホームズは、自分の推理を僕に話した。いや、推理というより、針金が落ちてきた流れを話始めた。


「この針金は理科の先生が、南京錠を今日新しく取り換えるために、前の日まで、鍵の代わりに針金で縛っており、南京錠を取り付けるときに、針金をペンチではずしているときに、跳ねて落ちたんじゃないかと思うんだけど?どうかな???」


「どうかなって、ならクリップは?」


「それは、先生の私物か生徒の忘れ物が壁際の塀に落ちて、カーテンの勢いで落ちたんだろうかと思っている。先生もクリップは持っているだろうからね。マーカーだって先生なら持っているだろうからね?」


「なら、その事を立証しないとだね。」


「いやいい、僕は推理を楽しめればいいんだ。合っているか合ってないかなんてどうでもいい、

では、次の日曜日に勉強頑張ろう」


それから、彼は帰っていった


「じっ時間を返せ」


僕は、次の日ある人物たちを校長室に呼んだ。

それは、昨日の校長室の掃除当番であった四人だ。昨日のホームズの推理は理科の先生の話以外は、間違っていた。

マーカーの件だが、理科の先生は、黒・赤・青のボールペンしか使わない。

何度も観察をしていたので、あのクリップが先生のであるのは低いのである。


「君たちがここに呼ばれた理由わかるよね?」


「ごっごめんなさい」


四人が一声に頭を下げた。僕は一通りのことを彼らに説明して、四人とも帰らせた。

この事件が表に出ることはないだろう。あの四人が仕出かそうとした犯罪は、ピッキングであった。

校長室の掃除中に誰も来ないのを確認して、彼らは金庫を準備した固めのクリップを使って、開けようとしていたのだ。中に入っている期末の答案用紙を確かめるためだった。


だが、開けてる途中先生が近づいてきたので、ピッキングに使ったクリップを発見されたらまずいと思い、窓から捨てたのだ。

そこに、理科室から落ちた針金と共にホームズの頭に落ちてきたのだ。

そもそも、針金とクリップが同じ場所から落ちたと思ったから、謎が深まってしまったのだ。


「あっぶなかったな、もう少しでチクられるところだった。」


「でもまさか、卒業生の兄貴が校長室の金庫の番号知っていたとわな、今日はダメだったけど、また今度しようぜ」


「お前ら何言ってるだよ。すぐにでも決行だよ。あの探偵馬鹿、まんまと演技にはまって、チクらないって約束したんだからよ。」


その時だ、見知らぬ番号から電話がなっていた。

電話に出ると、あの探偵が話始めた。

「君達の下手な芝居に付き合っていたんだが、悪事に染まりそうになってるから、さっきの四人のトークは、すでに職員室に流してます、君らに仕掛けた盗聴器で先生達に聞かせています。

早く謝りに来た方が無難だと思いますよ」


ワトスンは、にっこり笑いながら職員室をあとにした。

その後、ホームズ君の家で勉強を教わるが、返ってきたテストは全て赤点であった。

ホームズは、一言「時間を返せ」と、呆れ顔になっていた。

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