埋葬

 ミケが死んだ。名前は僕が付けた。ありふれた名前だが、注いできた愛情では誰にも劣らないと自負していた。

 僕はその頃、死というものを認識できるような歳ではなかった筈だったのだが、それはそれは小うるさく喚き散らしたらしい。僕はきっと、これが永遠の別れということだけは分かっていたのだと思う。

 今でも覚えていることがある。庭の中央、ミケを収納する為に開けられた小さな穴のおぞましさを。お陰様で僕はあれっきり、穴が大っ嫌いだ。自分がそこに収まったまま、誰にも見つけてもらえないような想像を繰り返してしまう。

 そういった意味では、愛情の裏返しか、僕はミケを恨んでいた。僕に欠陥を植え付けた張本人。だけど、どんなに愛しく思っても、どんなに憎んでも、等しく君に与えられるものはもう何もないんだ。だって君は、もう死んでしまったのだから。

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