ぬいぐるみ

 津々浦々に点在しているありふれた感情の中に、僕を見なかっただろうか。

 それは例えば脆い。触れればすぐに壊れてしまいそうな程に。

 それは例えば儚い。ほっておけばすぐに消えていまいそうな程に。

 それは例えば耐え難い。永久に繰り返される恋愛な感情に狂ってしまう程に。

 貴方はそこまで興味をもって僕を見たことはないだろうけど、僕は違うんだ。君は部屋の窓際、カーテンがかかる光と闇の瀬戸際に僕を置いてしまった。それが運命だったとしか言いようがないと思う。

 だって一人でには僕は向きを変えようがないのだから。

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