第435話 戦争は回避された、のか?

俺のクッキーを食べ、出された紅茶を飲んで一息ついた所で

紅茶美味ぇな……


R「お兄さん、1つ聞いていいですか⁉」

うん?


俺「何かな?」

また妹がなんか言ってたのか?


R「なんで誰とも付き合わないんですか?」

う~ん……


俺「なんで、か……そんな事聞いてどうするのかな?」

君には、あんまり関係ないよね?


R「もしかしたら、私が選ばれるかなって……あくまで、可能性の話なんですけど!!」

え?


妹「ちょっ、Rちゃん⁉何言ってるの!!」

まぁ、友達がいきなり兄に告白紛いの事したら驚くよな


俺「えっと……何て答えればいいかな」

これは……困ったな


R「やっぱり、そっか……。後からじゃダメですよね。ちょっと遅すぎましたね」

いや、えっと……


俺「ごめんね。俺、さ……今の誰かを選ぶって決めてるんだ」

もし俺の好みの人が新しく告白してくれても、絶対に断ることにしてるから


R「そうでしたか。ちょっと残念です」

ありがとう


俺「ごめんね」


R「さて、振られちゃった事だし練習再開しよ!」


妹「そうだね!練習しよ!……でも、その前にRちゃんとはじっくり話し合わないとダメみたいね?」

お、おい

傷口に塩を塗るような事はするなよ?


R「さぁ、練習!練習!」

まさかの、聞こえなかったフリ⁉


Y「もう時間も少ないので、お説教は明日以降にしてくれないかしら?」

お説教って……


T「そうそう!今は練習の方が大事だよ!大丈夫!その時は私たちも協力するから!」

協力?


R「え⁉ちょっと待って!裏切るの⁉」

いやいや、裏切るって……


U「裏切ったのはRちゃんでしょ?お兄さんに告る時は、皆で一緒にって約束したのに」

そんな約束してたの⁉


妹「みんなちょっと待って!その話私知らないよ⁉」

やーい、のけ者にされてやんのー


R「いや、だってタイミング的に今しかないかなって!」

そうか?


T「約束は約束だよ!お説教は確定だよ」

ちょっと、可哀そうだな


南城「ねぇ、ちょっといいかな?」

落ち着いた声の南城さんって、怒ってる時あるんだよなぁ

大丈夫かな……


R「千秋先輩、なんですか?」


南城「彼に告白するって事は、私たちにするって事だけど……分かってる?」

え?

そうなの⁉


R「せ、宣戦布告?」

恋愛は戦争だ~、なんて比喩表現はよく聞くけどさ……

本気⁉


堀北「そうよ?私たちに勝って彼と付き合うつもりなんでしょ?」

そういう勝負なの⁉


T「すみません、お兄さんとは付き合えません!」

俺が告白した訳でもないのに、フラれた⁉


U「私もー、すみませんが無理です」

しかも続けて2人に⁉


R「すいませんでした!さっきの無しで!聞かなかった事にしてください!!」

告白を無かったことにした⁉


妹「わ、私はまだ諦めてないから!いくら先輩達が何だかんだ言ってこようと、私はおにぃを渡すつもりはないですから!」

いや、お前の方が諦めてくれよ!

妹だろ⁉


T・U・R「おお~~!」

コラ!

関心しない!!


Y「お兄さん、おモテになるんですね」

なんか、Yちゃんの声が冷たいんだけど⁉


Y「でも、兄妹での恋愛なんて不純すぎます。私が絶対に阻止させていただきますから、そのつもりでいてくださいね」

最初から妹と付き合うつもりなんてないから!!


俺「だったら妹を止めてくれよ……」

別に俺が好きになれって言ったわけじゃねーから!


Y「本人の意思を尊重するのも大事な事ですから……大丈夫です、叶わぬ恋で傷付いた心は私が癒してあげますから」

なんか、この子恐いんだけど……⁉


使用人「お嬢様、そろそろ練習を再開されてはいかがでしょう?」

いいぞ!

使用人さん、ナイス話題逸らし!


Y「そうね」

そうだそうだ!

練習しよう!


U「練習しよー!」

T「兎に角今は練習しよ!」

R「そうそう!」

やっと練習を再開する流れになった


俺もこれ以上、恋愛の話はしたくないし

さっさと練習を再開して、気持ちを切り替えたいな


Yさんを先頭に地下の練習場へ戻り、それぞれのポジションにつく



R「お兄さん、歌えますか?」

うん?

そうだな


俺「ああ、歌えるよ」


Y「では、お願いしますね」


俺「了解っと」

紅茶を飲んで、喉の調子も良くなった気がするし

さっきより声張れそうだな


妹「おにぃ、よろしくね」

おう


俺「1回目よりテンション上げていくから、ちゃんと合わせろよ?」

当日は、きっと今よりもテンション上げていくからな


妹「うん!任せて!」

良い返事だ!


俺「こっちはいつでもいいぞ」

妹と頷き合う


R「それじゃ、行きます!……1、2、1,2、3、4!!」



















う、歌いきったぁ……!!


俺「いやぁ、全力で歌うのって気持ちいいなぁ」

カラオケですらこんなに全力出した事なんてないな


妹「はぁはぁ……おにぃ」

ん?


俺「どうした?」

そんなに息切らして


妹「テンション上げ過ぎ……」

あ~……


俺「悪いかった。つい楽しくなってさ」

生演奏って、良いな

自然と気持ちが昂るんだよ


妹「もう……!」

そうは言っても、お前だって楽しそうにしてたじゃん?


俺「さて、この曲の演奏は文句無しだけど……俺の歌については、何かあるかな?」

遠慮なく言ってくれると助かるんだけど


R「ないでーす」

Y「お兄さんの見た目と声の違和感以外は特にないですよ」

U「どうして、その声で歌えるのか不思議でしょうがないくらいです」

好評なのは嬉しいけど


俺「何かあれば、遠慮せず言ってくれよ?ちゃんとカラオケとかで練習してくるから」

歌の練習ならスマホで録音して確認すれば1人でできるし


T「大丈夫ですから!」

そうか?


まぁ、本人達が大丈夫って言ってくれてるなら

気にしないでいいか


俺の練習はコレで終わりになって、5分程度休んでから別の曲の練習を始める妹達


そんな妹達の練習風景を眺めている内に、時間は過ぎていき

気が付けば、もう6時を回っていた



このままだと更に1~2時間は練習しそうな雰囲気だな

あんまり練習で張り切り過ぎて、ケガでもしたら大変だし

そろそろ止めに入るかな

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