第434話 休憩とクッキー
俺と妹が2人で一緒になって歌いきる
たった1曲だけなのに、なんかとんでもなく疲れた……
俺「はぁはぁはぁ……」
凄い達成感!!
妹「ふぅ~……」
兄妹揃って息を切らせてしまう
パチパチパチパチ!
と南城さん達が拍手をしてくれる
南城「凄いね!」
仁科「良かったよー!」
堀北「驚いたわ」
評価は上々かな
よっし!
R「いやぁ、凄いよ!お兄さん!Tちゃんもそう思うよね⁉」
え?
T「うん!」
へぇ、ギターの子がTちゃんっていうのか
Y「そうですね。まさか、1発で合わせてこれるなんて」
キーボードの子も褒めてくれてる?
U「だねー!これは愛だね!兄妹愛!」
そ、そうか?
妹「あ、愛⁉」
俺「まぁ、俺達仲良いしな」
R「どうする?もう1回続けますか?」
Y「すでに完璧な感じもしますけど」
T「お兄さん次第で」
U「そうだねー」
俺次第かぁ
俺「う~ん、後でもう1回だけ練習したいかな。付き合ってくれるかな?」
多分、普段仕切ってるのはこのRちゃんだろうから
Rちゃんに聞いてみる
R「……わ、わかりました!」
今、なんか一瞬だけ間があった?
妹「Rちゃん?」
R「な、なんでもないよ⁉」
なんか妹が威圧してるな
俺「妹、喧嘩するなよ?」
お前、本番近いんだから変な波風立てるなよ
妹「分かってるよ!おにぃのバカ!」
なんで俺に当たるんだよ!
……まぁ、いいか
少しの間妹達の練習を眺める
汗を流して、熱唱する妹とそれを応援する南城さん達
そんな様子をじっと見守る俺
そして体感1時間ほどが経過して、1度休憩に入る
メンバーが各々タオルで汗を拭く
しかし、妹はなぜかそのままだった
俺「お前、どうしたんだ?」
汗拭かないのか?
妹「えへへ、タオル忘れちゃった……」
おいおい、何やってんだよ
しょうがねぇな
タオルは持ってないけど、予備のタオル地のハンカチを渡してやる
俺「とりあえずコレ使っておけ」
ったく、ちゃんと用意しておけよな
妹「あ、ありがと……おにぃのハンカチ……」
ジーっと渡したハンカチを見つめる……いや、使えよ!
俺「使わないなら返せよ」
使いたくないなら無理しなくてもいいんだぞ?
妹「つ、使う!」
慌てて自分の汗を拭う妹
俺「さて、休憩って事は」
クッキーの出番かな?
Y「今日はギャラリーもいますから、上で休憩しましょう」
普段はココでそのまま休憩してるのか
Yちゃんの提案で1度地下から出て、とある部屋へ案内される
案内された部屋は、大きな机が1つと机の左右にイスが合計10脚以上ある
食堂的な場所だった
Y「どうぞ、お好きな席に座ってください」
テキトーに座るか
真ん中よりの場所へ俺が座り
右には南城さん、左に堀北さんが座り
南城さんの隣に仁科さんが座る
俺の正面には妹が陣取り、RちゃんとTちゃんが左右に座り
Rちゃんの横へUちゃんが座る
Yちゃんは1人仁科さんとUちゃんの間
所謂、お誕生日席に座る
Yちゃんが手をパンパンと2回鳴らすと、ガチャっとドアが開き
「失礼します」
使用人さんが現れた
Y「皆さんに飲み物をお願いします」
「かしこまりました」
すすっとドアを出て行く使用人さん
俺「やっぱお金持ちって使用人雇ってるんだなぁ」
割と普通の事なのかな?
Y「そうですね……。この家は無駄に広いので、あの方達がいないと生活がし辛いんですよ」
確かに、広いよなぁ
俺「あ、そうそう。これ良かったら」
鞄からスノーボールクッキーを取り出して配る
Yちゃん、Uちゃん、Rちゃん、Tちゃんと配ると
妹「私のは……?」
そんな絶望しそうな声で聞くなよ
俺「あるぞ」
最後に妹へ渡す
妹「やった!」
大事そうに受け取る妹
そこへ台車を曳いて使用人さんが戻ってきた
使用人「お待たせしました。本日はアールグレイを淹れさせていただきます」
慣れた手つきでカップに紅茶を注ぎ、全員の前へ配膳してくれる
すると、使用人さんが俺が配ったクッキーを見つける
使用人「そちらは?」
Y「お兄さんが持ってきてくれました」
使用人「手作りですか?」
え?
俺「はい」
もしかして、ダメだったかな?
使用人「そうですか。お嬢様申し訳ございませんが」
やっぱダメだったかぁ
そりゃ、赤の他人が作ったモノなんて信用できないよな
Y「もう、しょうがないわね」
そういって、クッキーの袋を使用人さんに渡すと
使用人さんが、1粒を口に入れた⁉
あ、もしかして毒見的な?
使用人「これは……本当に手作りですか?」
俺「ええ、まぁ」
手伝ってもらったけど、間違いなく俺製のモノです
使用人「そうですか……どうぞ、お嬢様」
問題なしって事かな?
良かったぁ
Y「ありがと。それじゃいただきますね」
メンバーの中で一番最初に口に入れたYちゃんは、食べた瞬間ピタリと動きが停止した
え?
もしかして、口に合わなかった⁉
お金持ちの子には、手作りクッキーはダメだったかな……
Y「お、美味しい!!」
美味しい?
ほんとに?
じゃあ、なんでさっき止まったんだよ!
紛らわしいなぁ!
Yちゃんの美味しい発言でRちゃんたちもクッキーを口に運ぶ
R「ん~~~~~⁉」
T「美味ぁ……」
U「美味……」
俺「良かったぁ」
妹「ね、言った通りでしょ?おにぃのお菓子は世界一美味しいんだよ!」
お前、そんなこと学校で言ってんの⁉
世界一な訳ねーだろ!
俺「仁科さんの作るお菓子の方がおいしいと思うぞ」
なんせ、もう半ばプロだからな
仁科「エヘヘ、そう言ってくれるのはとっても嬉しいけど……クッキーに関しては、まだ私が勝ってるとは言えないかな」
え?
マジ?
コレが仁科さんクラスの味だって言うの?
俺「そんなの謙遜しすぎだって!素人の俺が仁科さんに勝てるわけないじゃん」
と、本心を言ったはずなのに
全員の視線が俺に突き刺さった
多分、この視線はこう言ってる
『謙遜しすぎはお前だよ!』と
そんなつもりは1ミリもないんだけどな……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます