第430話 妹の学校へ

昇降口へ着くと、もう仁科さんが来ていた


俺「お待たせ」

もしかして、待たせちゃったかな?


仁科「ううん、私もいた着いたばっかだよ」

それは良かった


南城「ム~、ま、いっか」

なんか唸った?


堀北「それで、どこへ向かうの?」


俺「あ、うん。とりあえず、妹の学校の前で待ち合わせしてるよ」

その後、メンバーの子の家へ移動するみたい


堀北「そう、大丈夫かしらね……」

なんか不安な事あるかな?


俺「大丈夫じゃない?」

道はちゃんと知ってるから、迷子の心配はないし


堀北「そう、よね」

そうそう


俺「それじゃ、行こうか」

南城「おー!」


靴に履き替えて、校舎を出ると校門のところに見覚えのある人が立っていた


俺「あれは……」

監視者の、えっとW・Aさん?

そっか

校舎の中に入るのは流石に不審者過ぎて外にいたのか


南城さん達は気付いてないみたいだし、仕事の邪魔にならない程度に会釈だけしておこう






妹の通ってる学校までは、少し距離があるけど

流石だな……一切会話が途切れないなんて




妹の学校近くまで行くと、一段低い身長の学生がチラホラ歩いていた

懐かしい感じがするなぁ


そして、やっぱり目立つなぁ

もちろん俺じゃなくて、南城さん達だけが


まぁ、名前持ちの美少女3人が歩いてたら目が行くのは分かるけどさ……



そんな俺達一行の前に、1人のの少年が飛び出してきた


「あ、あの!」

話しかけた相手は、堀北さんか

勇気あるなぁ……


堀北「私に何かようかしら?」

慣れてるのか、落ち着いた対応だなぁ

全く知らない人から声かけられてるのに……


「ぼ……オレ、タテヤマ シュンって言います!」

シュン君か

なんか、初々しくて可愛いな


シュン「あ、あの」


堀北「私は堀北 春香よ。それで、タテヤマ君は何の用があって私に声をかけたの?」

何だろ、いつも通りの堀北さんなんだけど……何か違うような……


シュン「あ、えっと、その、つ、付き合ってください!!」

おおぉ⁉

一目惚れってやつなのか!

流石、堀北さん

モテるなぁ


南城「あ~ぁ……」

手を顔に当てて、『やっちゃったな~』って身振りをする

なんで?


堀北「へぇ、そう。私の事好きになっちゃったの?」

そうだろうけど

なんで確認したの?


シュン「はい!!」

元気はいいなぁ

顔を赤くしちゃって、すげー緊張してるけど


堀北「……はぁ~、なら私からのお願い聴いてくれるかしら?」

なんか、一気に堀北さんの雰囲気がヒンヤリして……

シュン君は気付いてないのか、ウンウンと首を縦に振る


堀北「ありがと。それじゃ、今すぐ私の前から失せなさい。目障りなのよ」

う、うん?

今、なんて?


シュン「え?」

堀北「ほら、どうしたの?聴いてくれるんでしょ?」


シュン「え……?」

状況を呑み込めてないシュン君は、必死に理解しようと固まる


堀北「聞こえなかった?目障りって言ったのよ?」

……どうしちゃったんだろ?

堀北さんが、怒ってる?


シュン「……はい」

トボトボと歩いて離れていくシュン君


堀北「はぁ……待たせちゃってごめんなさい。行きましょ」

何事もなかったかのように歩き出す堀北さん


さっきの言葉について聞こうか迷ったけど、やめておこうかな

今の堀北さんの表情は笑顔だけど……さっきの冷たい印象が残ってて、ちょっと怖い



妹の学校の校門の前まで行くと、妹と4人の女子が纏まっていた

多分、アレがメンバーなんだろうな

そんな妹達を囲むように、数人の男女が囲んでいた


俺「様子見てくるから、南城さん達はちょっと待っててね」

何かトラブルがあったとして、南城さん達を巻き込むわけにはいかないし




俺「何してるんだ?」

近くまで行って声をかけると


「あん?」

明らかに不良っぽい感じの返事が返ってきた……


俺「いや、アナタじゃなくて妹に用があるんですけど」

何?

ほんとに絡まれてるの?


妹「あ、兄さん!」

「へぇ、アンタが例の?」

うん?

俺の事知ってるの?


俺「えっと、友達?」

兄的に『ガラの悪い友人はヤメテおいた方がいい』と言うべきかなぁ


妹「違うの!先輩たちが」

「友達な訳ねーだろ。後輩が生意気な口利いてっから、指導してんだよ」


俺「そりゃ、すみません」

ったく、ちゃんと言葉遣いは気を付けないとダメだろ?


妹「なんで謝るの!私嘘なんて言ってないもん!」

嘘?


俺「どういう事だ?」

口の利き方と嘘に何の関係が?


「だ~か~ら、この生意気な後輩がお兄さんが名前持ちネームドに告られたって」

あ、その話ね


俺「それは本当だけど?」

ほら、俺のちょっと後ろで待ってるでしょ?

南城さんと堀北さん


「あのな、名前持ちが名前無しに告るわけねーだろ?まさか、兄妹揃って嘘吐きだとはな……こりゃ、親も嘘吐きだな」

ほう、人ん家の親を嘘吐き呼ばわりか


俺「もしかして、喧嘩売られてるのかな?」

もちろん、買うつもりはないけどね


「ヤダなぁ、そんな訳ないじゃないですかー」

それは良かった


俺「そうか。なら、もう用事は無いね?これから用事があるから」

この辺で失礼させてもらおうかな


「待てって、嘘吐いたんだから……ちゃんと謝らないとダメっしょ?」

う~~ん……メンドクセー


俺「なんで君なんかに謝らないといけないのかなぁ?君に何か迷惑だったのかな?」

いい加減にしないと、俺も感情を抑えられないよ?


「アンタの妹は、そこの友人に嘘を吐いていた。だから、それを諫めていたんだけど?感謝してくれてもいい行いでしょ?」

あ、そう


俺「ごめんね、全っ然嬉しくないから感謝なんて出来ないな」

出来れば言葉だけで平和に解決したいんだけど……

難しいかなぁ


こんな時、俺が名前持ちだったらどうやって解決してたかなぁ


って、ダメだ!ダメだ!

名前持ちだったらなんて考えちゃダメだろ!

俺は名前無し!

男子生徒Aなんだから


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