第429話 6時間目も終えて

教室に戻ってから、急いで授業の用意をする



クッキーの事が気にはなるけど……

仁科さんが任せてって言ってたし、大丈夫……だよね?




気もそぞろな状態で授業を受け、待ち遠しかった授業の終わりを報せるチャイムが鳴る

先生が次の授業の範囲を話し、予習しておくようにと言って教室を出て行く


それと同時に立ち上がり、急いで家庭科室へ向かう





家庭科室に着くと、仁科さんが何かを作っていた


俺「仁科さん?」

授業は?


仁科「あ、来たね!クッキーならちゃんと焼けてるよ~」

え、あ、うん


俺「ありがと……授業はどうしたの?」

まさかサボったの?

遅れてでも出た方が良かったんじゃないの?


仁科「あ~、実はね……5、6時間目は体育だったんだよね。だから、休んじゃった」

そっか、そっか~

体育だったなら仕方ないかぁ……仕方ないのか?


俺「まぁ、仁科さんが大丈夫ならいいか」

体育も補習とかあんのかな……?


仁科「うんうん。今日は長距離走だから大丈夫だよ」

放課後に1人ぼっちで走るのか……?


俺「それで、今は何作ってたの?」

会話しながらでも手はテキパキ動かしてたけど


仁科「これは、君のスノーボールクッキーに対抗してジンジャークッキーを作ってみたんだよね」

ジンジャーって生姜だよね?


俺「そうなんだ?」

対抗ってなんだろ……?


仁科「あ、そうだ。パウダーシュガー用意してあるから、仕上げやっちゃってね」

クッキーに何かを絞ってデコレーションをしていく仁科さん

あれって、アイシング?

そういえば、アイシングってあんまりやった事ないなぁ

っとそんな事より早くしないと次の授業が始まっちゃうな


俺「普段はビニール袋に入れてシャカシャカするんだけど、量が多いからな……コレは天板のままやるか」

粉糖を上からサッサッと振りかけて

天板を傾けたり揺らしたりする

すると、コロンと転がり粉糖が纏わり付いていく


薄く白色になる


これで完成っと……後は仁科さんが用意してくれた小さな袋へ数個づつ詰めて

モールで口を閉じれば完成!!


なんとか間に合ったな

ちょっと作り過ぎたかな……?


1、2、3……10袋か


えーっと、妹とメンバーの子たちで5人だったかな

後は、教室で待ってる南城さんと堀北さんか


これで7袋

後3袋……仁科さんに1袋押し付け……差し上げて


あと2袋は……BとDでいいか

この前は心配かけたしな


俺「仁科さん、はいコレ」

ラッピングしたクッキーを仁科さんへ渡す


仁科「え?私貰っていいの?」

もちろん!

むしろ受け取ってくれないと困るから


俺「お礼だよ。色々ありがとね」

これで受け取らざるおえないだろ


仁科「好きでした事だからお礼なんていいのに……でも、くれるなら貰っちゃおうっかな……えへへ、ありがと」

よし、1つ捌けたな


俺「それじゃ、俺は教室戻るけど」

仁科さんはまだ続けるの?


仁科「うん。これ先生に提出する奴だから、完成させちゃわないと」

そっか


俺「それじゃ、妹から連絡きたらすぐ仁科さんにも報せるね」

多分、大丈夫なんじゃないかなぁ


前にカラオケで会った時は、南城さんと堀北さんに物怖じせず話しかけてたっぽいし





家庭科室から小さな包みを9つ持って、教室へ戻る

なんとか次の授業の1分前に戻ってこれた……


俺「間に合ったぁ」


B「おい、どこ行ってたんだ?」

D「トイレか?」

お、ちょうどいいトコに来たな


俺「いや、家庭科室だよ。コレ昼休みに作ってたんだ」

クッキーを1袋づつBとDに渡す


B「くれんの?」


俺「そうそう。ちょっと作り過ぎちゃったんだよ」

だから気にせずもらってくれ


D「……ハハ、どうせなら好きな女子から言われたいセリフだな」

……そうだな


俺「なんか、すまん」

夢を壊しちゃったか


D「いや、いいんだよ。サンキューな」

B「お前の作るクッキー美味いから、嬉しいぜ」


俺「お、おう」

後は、南城さんと堀北さんだな

って先生来ちゃったな

渡すのは授業終わってからだな







6時間目の授業は、眠気に耐える時間だったが

なんとか寝落ちせずに乗り切った


あの先生の声っていうか話し方って、なんか眠くなるんだよなぁ



先生もいなくなった事だし、スマホを確認するかな


さて、妹からの連絡は……お、来てるな


えーっと……



妹 来て大丈夫だって


俺 サンキュー


妹 むしろ来てほしいって言ってるくらい


俺 そうなのか?


妹 うん


俺 それじゃ後でな




よしっと

それじゃ仁科さんにメッセージ送るか


俺 行って大丈夫みたいだから

  昇降口で待ち合わせしよ


豊 おっけー



よし、仁科さんも大丈夫と


下校前の連絡事項を担任が伝えにくるけど……何もないと毎回ドアのところで

顔だけ出して


担任「今日も連絡事項はなし。以上、解散」

入ってこないまま居なくなる


生徒的にも楽でいいんだけど、先生としてそれはアリなのか?



というわけで、うちのクラスは早々に部活へ向かう奴や帰る奴が一斉に教室を出ていく


俺も荷物をまとめる


そこへ南城さん達がやってくる


堀北「連絡返ってきたかしら?」

来たよ


俺「大丈夫だってさ」

南城「やった!」


俺「それと、コレ今のうちに渡しておくね」

クッキーを渡す


南城「美味しそう!」

堀北「かわいいわね」


俺「それじゃ、行こっか。仁科さんには昇降口でって言ってあるから」


南城「うん!」




俺達は、3人揃って昇降口へ向かった

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