第421話 驚愕の事実とみんなの思い

涙を流す南城さんに俺が困惑していると


四季島「春香ちゃん、もういいか?」

うん?


堀北「そうね。お願いできるかしら?」

何を⁉


四季島「ああ。それじゃ説明するか」

説明?

なんで四季島が?


俺「どういう事?」

南城さんが泣いてる理由を、堀北さんと四季島は……いや、俺以外みんな知ってるって事か?


四季島「お前が名前持ちネームド化して消した男だが」

あいつが、どうしたんだ?


四季島「発見されたぞ。あの建物で」

え?


俺「…………え?」

発見、された?

死体が見つかったとか?


四季島「お前は、相手を消滅したと思ってるだろうが、生きてたんだよ」

う、嘘だろ……

確かにあの時、あいつが消えるのを見てたのに⁉


俺「そ、そんなはず……俺はあいつが消えるのを見て」

だから、俺は……


四季島「消えたのはそう見えただけで、実際はただ隠れただけだったんだよ」

隠れた、だけ?


俺「でも」

四季島「でもじゃない!アイツは生きてるんだよ。なんで自分の事ってなると鈍いんだよ……」

鈍、って酷い言いぐさだな!


俺「そんな言い方しなくたって」

四季島「いいや、鈍いんだよ!なんでお前は気付かなかった?いつもなら気付いててもおかしくないだろ!」

何に気付けってんだよ!


四季島「お前が、アイツを消したと思ったのは目の前から消えたからだろ?」

そんなの、当たり前だろ!


俺「それが違うって言うのかよ!」

だったら、アイツは……俺が消した奴は何処へ消えたんだよ!


四季島「お前達名前無しmobは、気配を消せるんだろ!だったら、お前の目には見えてないだけだって可能性があっただろ!」

気配を、消して……⁉


俺「そんなご都合主義な可能性なんて……有り得ないだろ!」

あるわけがない!


四季島「ご都合主義か……。お前からしたら、そうなんだな」

どういう事だよ


四季島「でもな!あの時、お前は名前持ち化していた!」

そうだ!


俺「だから、アイツを消せたんだ」

なのに、生きてるなんて嘘を信じるわけないだろ!!


四季島「名前持ちにとって、世界は残酷で……優しいんだよ。お前だって知ってるだろ?」

残酷で、優しい?


四季島「お前が思ってるよりも、世界は名前持ちに優しいんだよ。ご都合主義を許してくれるくらい」

そ、それじゃ……


俺「あいつ、生きてるのか?」

ほんとに?


四季島「ああ。お前は、誰も消滅させ消してなんかいなかったんだよ」

本当に、そうなのか?


俺「信じられないな……」

だって、アイツが消えた時のボスの顔は……マジだった

仲間が消された怒りに満ちてた


四季島「これを見てもか?」

そう言って懐から1枚の写真を取り出した

その写真には……

車椅子に乗った名前持ち……ボスの男と

後ろに名前無しの……俺が消したと思った男がいた


俺「これは」

いつの写真だ?

隠し撮りしたみたいだけど……


四季島「これは今日の昼過ぎに撮影されたものだ。この男で間違いないな?」

間違いない、あの時俺が消したはずの男だ


俺「あ、ああ……ほんとに生きてたのか」

良かった……


四季島「ここから話すのは確証の無いことだが……あの時、名前持ち化したお前は中途半端だったのかもしれない。相手を消滅させる能力ちからは持っていなかったんじゃないか?」

最初から、俺には誰も消滅させられなかったって事か?


四季島「その分、身体能力なんかが強化されていた。死にかけた状態から、名前持ち化したんだろ?なら、変化に一番影響を受けるのはお前の身体だ」

死にかけだったから、生存する方へ変化がブレた?


俺「そう、なのか……」

だとしたら、俺は謝りに行った方がいいのか?


四季島「俺からの説明と解説は以上だ」


俺「四季島、ありがとな」

わざわざ調べてくれたんだろ?


堀北「ね、A君?」


俺「何?」


堀北「千秋のこと、許してあげてほしいの」

許すも何も……


俺「全然怒ってないよ。それに、俺の方こそ……」


堀北「あの時、私たちを助ける為に君自身が一番忌避してた事をしてくれた。こんな風に言うとおかしいかもしれないけど、嬉しかったわ」

堀北さん……


仁科「私たちは、救ってくれた君に感謝してるよ」

東雲「そうよ。ま、私は1人2人消そうと気にしないけれど」

江藤「お嬢様……、帰ったら再教育です」

そっか


D「確かに俺たち名前無しmobにとっては消滅は、一大事だけどさ」

B「俺らとしては、GJだったと思うぜ。何せ南城さん達を救ったんだからな」

B!D!


妹「おにぃは、おにぃだから」


南城「ごめんね」

俺「いや、俺の方こそ」


南城「……あの後ね、みんなと話したの。君が名前持ち化したままだったらって」

俺「うん」


南城「私も含めて、みんな君を想う気持ちに変わりはないって……確認できたの。だから、ね」


俺「うん」


南城「また仲良くしてくれる?」


俺「こちらこそ。これからも仲良くしてくれると嬉しいな」

仲直りって言ったら、これだよね


手を差し出す


南城さんと握手を交わす



堀北「これで一件落着、ね!」

南城さんと繋いだ手の上から堀北さんも手を重ねる


仁科「うん!そうだねっ!」

さらに手を重ねられて、重みが増す


東雲「面白そうね、私も混ぜて!」

隙間から割って入ってきて一番上に手を重ねる


南城「ちょ、ちょっと!みんな重いよ⁉」

腕キッツい……!

さっきまでゲームと言う名のスポーツしてたから、腕の力限界近いんだけど……!!


俺「ちょ、ちょい待ってっ、限界!ギブ!ギブ!」

なんで南城さん手離してくれないの⁉

南城さんが離してくれないと……!


四季島「その辺にしておかないと、こいつの腕が捥げるぞ?」

助けて、四季島ぁ!


東雲「そしたら、捥げた腕は私がもらおうかしら」

何猟奇的な事言ってんの⁉


南城「ダメ!絶対あげない!」

いだだだだだ!

離してってば!!

掌が砕ける!

力強すぎだってば!


離して!


ほんと、ヤバイって!


ミシミシいってるから~~~~~!!



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