第420話 みんなが到着した

最初は一方的に入れられまくったが、途中でこのゲームのコツを掴んだ俺は

何とか1ゲームを勝ち取ることができた


監視者「1ゲーム取られてしまいましたね」

少し残念そうに言うってことは、1ゲームも俺に譲る気は無かったって事だよね?

そんな相手から1ゲーム取れたのは、結構俺にしては頑張った方じゃない?


俺「いやぁ、強いですね……」

手加減無しって最初に言ってたけど、マジで一切容赦なかったな


監視者「すいません。勝負事は手を抜けないんです」

自分ルールか何かかな


俺「謝る必要ないですよ。ゲームなんですから、楽しみ方は人それぞれです」

そのガチ勢っぽい感じ、嫌いじゃないですよ


監視者「楽しみ方、ですか」

あれ?

ゲーム楽しくなかったかな?


俺「そうです。ゲームは娯楽です、楽しむモノですよ」

たまに自分が負けると、不貞腐れたり機嫌が悪くなる人もいるけど

真剣にやっていれば、そういう事もある

ただ、勝つ為にチートしたりは絶対にダメだけど


監視者「その……もう1ゲームいいですか?」

なんだ、楽しかったんじゃん

俺が弱すぎて退屈にさせちゃったかもって一瞬考えちゃったよ


俺「もちろん!次こそは勝ちますよ」

目標は5ゲーム中2ゲームを取る!

さぁ、勝負だ!!




結果は……また1ゲームしか取れなかった

1人反省会スタート!

俺が取れたのは1ゲーム目だった

でも、その後は一切通用しなかったな

すぐに、対応してくるからな……俺の思い付きの作戦は、奇襲みたいなモノか

もっと、ちゃんとした作戦を立てないとダメだな


監視者「えっと、もう1戦いいですか?」

もちろん!


俺「いいですよ!」

2ゲーム狙っていくよ!



しかし結果は、完敗……

今度は1ゲームすら取れなかったな


ま、まぁ、仕方ない……なんせ俺は今とっても疲れてるからな!

体力ないから、体を動かすゲームはしんどいんだよな……

それに引き換え、監視者さんはスゲーな

少し汗はかいてるけど、息は全然乱れてないし


俺「どうしたら勝てるんだ……?」

早くしないと、妹とか四季島が来ちゃうな

そうなると、勝ち逃げされる

ゲーム好きとして、1勝くらいはしておきたい


監視者「大分お疲れのようですね」

まぁね


俺「でも、まだまだイケますよ。やりますか?」

てか、逃がしませんよ?


監視者「そうですね、ではもう1戦」

よし!


俺「次こそはっ……!!」




それからかなりの時間、連続でプレイし続け

夢中でゲームに興じていたら、途中で監視者さんがピタリと一時停止した

そのお陰で俺に1ポイントが入る


俺「どう、しました?」

ひぃ、しんどい……

ちょっと休憩できるのはありがたいな


監視者「はい、はい、ただいまホテルの部屋です」

うん?

誰かと話してるな

って事は、また襲撃者とかが来たのか!?

折角ゲーム楽しんでるのに!!


監視者「皆様が到着されたようです。これから上がって来られます」

皆様?


俺「それって」

もしかして、時間切れってことか……?


監視者「太一様と、アナタの妹さん、後ご友人が」

あ~あ、もう終わりか……


俺「わかりました。それじゃコレが最終ゲームですね」

何とかして勝つ!


監視者「そうですね。いきますよ!」




最終ゲームは、途中まで互角だったがやはり体力の差が酷かった

監視者さんも肩で息するくらいに疲れてきてたけど……

それ以上に俺がもう動けないくらい疲れていた


結果は、監視者さんの勝利


俺「あーー、負けたぁーーー!!」


監視者「ええ、私の勝ちです。でも、最後は凄かったですね。危うく負けてしまうかと思いました」

嘘だぁ

全っ然余裕だったじゃん!

でも、まぁ


俺「楽しかったですね」

初めてやるゲームだけど、ここまで楽しめるなんて最高だよね


監視者「……ええ、はい。楽しかったです」

さて、思う存分遊んだし

部屋を出て待つかな


道具を片付けて、部屋を出ると

ちょうど四季島達と鉢合わせになった


俺「はぁ、はぁ、いらっしゃい」

まだ息が整ってなくて悪いね


四季島「すごい汗だな」

うん?

ああ、これな


俺「なかなかハードな運動だったからな」

あれ、いいゲームだよな


監視者「太一様、おかえりなさいませ」

汗を拭きながら監視者さんも出てくる


四季島「なっ!?」

なんか四季島が驚いた顔してるけど、どうしたんだ?


監視者「あ、すいません。久しぶりに激しいプレイでしたので」


四季島「お、お前ら……」

それにしても、四季島だけか?


俺「他の面子は?」

妹とか


四季島「廊下で待ってもらってるが」

なんだよ、入ってもらえばいいじゃんか

四季島の横を通り抜けてドアを開ける


四季島「ちょっ、ま」

俺「みんな、やっほー」

ドアを開けるとそこには

妹、堀北さん、東雲さん、メイドの江藤さん、仁科さん、BとD、後ろの方で隠れるように南城さんも来てくれていた


妹「おにぃ、なんで汗びっしょりなの?」

うん?


俺「遊んd、運動してたからな」

みんな学校行ってる間、遊んでたなんて言ったら狡いって言われそうだな


妹「へぇ、そうなんだ……」

俺が運動するのがそんなに珍しいか?

……珍しいな


俺「まぁ、いいから入りなよ」

部屋は広いからさ


部屋に招き入れると、部屋には四季島と監視者さんが待っていた


俺「えっと、まずは……心配かけてごめん!」

直角に腰を折って頭を下げる


妹「おにぃ」


俺「なんだ?」


妹「私達は別に、怒ってないよ」

え?


俺「そうなの?」

てっきり心配かけすぎだって怒られると思ってた……


堀北「そうよ。むしろ私達の方が申し訳ないと思ってるわ」

うん?


俺「なんで?」

なんかされたっけ?


仁科「私達が無茶させちゃってたからね……ごめんね」

無茶?


俺「いやいや、そんな事ないよ」

皆、多少強引なところはあるけど、本気でイヤだったことなんて全然なかったから……


B「その、なんだ……。これからは、俺達とも遊ぼうぜ」

それは勿論そのつもりだけど


俺「なんでBとDもいるんだ?」

いや、来てくれて嬉しいんだけどさ


D「お前の事情こと、聞いたんだよ。四季島からな」

それって


B「名前持ち化する病気だったんだな。原因不明って不安だろうけどさ、俺達で良ければいつでも相談に乗るからな」

病気?

ま、まぁ、病気みたいなモノなのか?


俺「ありがとな、すげー嬉しい」

最近全然遊べてなかったからな……

目一杯この2人と遊びたいと思ってたんだよ


南城「あのね、Aくん」

あ、南城さん……

そうだ、早く謝らないと!!


俺「南城さん、ごめん!!」

何をどう謝っていいのか分からないけど、兎に角ごめん!!


南城「え?……違うの、謝るは私の方なの……ごめんね、Aくん」

涙を流しながら謝る南城さんに、俺だけが狼狽える

皆、訳は知ってるって感じだけど


え?


どういうこと?

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