第418話 検査を終えて

監視者「中々やりますね」

襲撃してきた男は何も応えず、ただ戦う意思を示し続ける


監視者「話す気ははいってことか、なら私にも考えがある」

そういうと監視者さんが懐へ手を入れる


まさか、銃!?

そんなの病院ここで撃ったらダメでしょ!!


相手の男もすぐに反応して間合いを詰める


そして、監視者さんが出したのは……




小さなスプレー缶だった?

そんな小さなスプレーで何する気なんだ!?


監視者さんは躊躇いなく男へスプレーを噴射した!

間合いを詰めに行った男はもろにその中へ入ってしまう


吸い込んだ男は、その動きをピタリと止め動かなくなる


俺「な、何が起きたんだ?」

襲撃者と監視者さんの2人が、同時に動かなくなった……


まさか……死んじゃったわけじゃ、ないよね?


監視者「はぁ、何とかなりましたか」

パントマイムみたいに、突然監視者さんが動きだした!!!


俺「よかった、生きてた……!」

ピクリともしないから、本当に死んじゃったのかと思った


監視者「そりゃ、生きてますよ。いやぁ、完全武闘派な人は強いから嫌いですよ……まったく」

えっと……


俺「大丈夫ですか?」


監視者「え?はい。問題ないですよ。ちょっと失礼、J2、J4強力な方の拘束具を持ってきなさい。対象は油断ならない強さです」

途中で無線でやりとりをして、仲間へ連絡をとる


俺「あの……、1つ2つ聞いてもいいですか?」

もしかして、なんですけど……


監視者「どうぞ」


俺「何者なんですか?」

もしかして、凄い人?


監視者「特秘隊です。社長より、総隊長を任されてますが」

総隊長!?


俺「そ、それって」

隊員を全部纏める立場の人なんじゃ……


監視者「特秘隊のトップですよ。驚きましたか?」

そ、そりゃ!


俺「びっくりですよ!」

第一に“俺”なんかの所に来たのが、総隊長だなんて思うわけないでしょ!

第二に総隊長が現場の最前線に来てるなんて思わないし!

第三に……一見すると(ちょっと変わった)普通の女性が総隊長だなんて思わないって!!


監視者「そうですか、ふむふむ……君は驚くと、そんなポーズを……良いデータが取れました」

やっぱり、ちょっとじゃなくてかなり変わってる人かも……!


俺「そ、それは四季島に言うんですか?」

自分ですら気付いてないレベルのことまで……


監視者「いえ、ただの趣味ですから。お気になさらず」

なんだ……趣味かよ……

って、なんで俺のデータなんか集めてるの!?


俺「あ、後……さっきのスプレーって何ですか?」

かけられた相手、全然動かないんですが……


監視者「ああ、あれは秘密兵器ですよ。吸い込んだ人は、一定時間一切の身動きを封じらます。まぁ、多用はできませんが便利なものです」

秘密兵器!?


俺「ヤバイ薬だった!?」

俺も近くにいたんだけど!?


監視者「確かに、危険な薬ではありますけど……デメリットもありますから。効果時間は長くて30分、噴射されて2~3秒で薄まって無害になり、複数回吸い込むと耐性ができて効果がどんどん弱くなる。とデメリットもそれなりにあるんですよ」

それ、確実に初見殺しじゃん!!


監視者「もっと効果が強ければいいんですけどね」

いやいやいやいや!


ダメだ、この人……なんか怖くなってきた……


監視者さんと話していると、スーツの人たちに囲まれたお医者さんがこっちに向かってきた


医者「け、怪我はないかい?」

怯えきってるけど、もしかしてそっちも襲撃されたのかな……

だとしたら、申し訳ないな……


俺「大丈夫です。それより、早く検査に」


医者「そ、そうだね。検査室はもうすぐだから」

そっか、やっと着くのか


俺「それじゃ、行きましょう」

移動を再開すると、お医者さんを守ってたスーツの人達はその場に残り

一緒に来てくれるわけじゃないみたいだ






お医者さんに連れられて入ったのは、もう見慣れた検査室だ


俺「ここに来るの、何回目かなぁ」

ほんと、すごい場所だよな……

1部屋にこれだけ検査機材を詰め込んでる場所なんて、他にないんじゃない?


ほぼ全ての検査がこの1部屋の中で完結してる……

ここの広さって、どれくらいなのかなぁ

もしかしたら、体育館より広いんじゃないか?


医者「それじゃ、検査を始めるよ」


俺「はい、お願いします」

CTやレントゲン、採血なんかの検査をして

今回は終わりだった


俺「もう終わりですか?」

いつもなら、何の検査かわからないけど他にも色々やってたけど


医者「今回は、これで終わりだよ。お疲れさま」

あ、そうなんだ


俺「ありがとうございました」

よし、後は自由時間かな!


検査室から出て、伸びをすると


監視者「お疲れさまです」

おわっ!?


俺「あ、どうも」

外で待っててくれたのかな?


監視者「1つよろしいですか?」

な、なんだろ……?

また俺の癖の話かな?


俺「はい?」

監視者「油断し過ぎです!いくら検査室の中は安全と言っても、不審者が紛れていたり襲撃者が乗り込んで来てもおかしくないんです!もっと警戒心を持っていただかないと!」

せ、説教!?

てか、中での様子をそこまで知ってるってことは……


俺「ずっと見てたんですか?」

検査中も!?


監視者「当たり前です!それが私の仕事ですから」

いや、まぁ、そうなんだろうけど……


俺「そ、そうですか……あの、なんで気配を消してるんですか?」

監視なら、別に気配は消さなくてもいいんじゃないかな?


監視者「その方がカッコいいからですよ」

え……?


俺「かっこ、いい?」

何言ってんの?


監視者「ええ、そうです!」

いや、自信満々に言うことじゃないでしょ!?


俺「監視する上で、気配を消す必要はないんですか?」

かっこいいだけ?


監視者「ないですよ?」

ないのかよ!!


俺「じゃあ、気配は消さないでください」

居るか居ないか分からないんじゃ、安心できないんで


監視者「なっ!?正気ですか!?」

なんで正気を疑われたのか分からないけど


俺「俺はいたって正気です」

アナタには若干の狂気を感じますけどね……


監視者「わ、わかりました……」

なんで渋々なんだよ!

気配を消す手間が省けるんだから良いだろ!?



それにボディーガードが付いてるって思わせられれば、下手に襲撃しよう

なんて思わないだろうし

威嚇できて、襲撃が減るならそれが一番いいんだよ!!




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る