第417話 検査を終えて

医者「大丈夫かい?」

心配そうに話しかけてくれるお医者さん

しかし、すでに俺の頭痛は無くなっていた


俺「あ、はい。なんかもう大丈夫みたいです」

さっき連行されて行った奴……のせいなのか?


医者「そうか、なら良かった。念の為、少し休んでから検査をしようか」

いや、もう全然大丈夫です!


俺「大丈夫です。早く検査終わらせたいので、お願いします」

もし、妹が来た時まだ検査中なんて言ったら

要らぬ心配をかけるし


医者「本当に大丈夫なのかい?」

そんな慎重にならなくても大丈夫ですって


俺「はい、問題ないです」

検査終わらせて、早く何か食べたいし


医者「分かった。でも、少しでも具合が悪くなったらすぐ報告すること。いいね?」

はいはい


俺「分かりました」

さっ、始めよう

健康な人間の健康診断を!



渋々といった感じではあるけど、お医者さんも納得してくれて

そのまま検査の部屋まで案内してくれた


今の会話も、全部聞かれてるのかなぁ







検査は、簡単なものばかりだった


体調を崩すような事は勿論なく、全部を問題なく終わらせる


時間にして、3時間ほどで終わり昼食を食べて良いことになった





と言うわけで、現在午後1時過ぎ

病院に併設されたレストランで食事を摂っている

2人で…………



俺「あの、なんで一緒に食べてるんですか?」

監視者さん!


監視者「アナタを守るためです」

守る?


俺「何から?」

飯食べてるだけなんだけど?


監視者「アナタの食べる物に異物が混入されないように、監視してます」

それは一緒に食べてる理由になるのか……?


俺「そ、そうですか」

監視者さん、気付いてないかもしれないけど……

すっっっっっっっごく、目立ってますよ!!


なんで、みんなと一緒じゃない時まで視線に怯えないといけないんだよ……

ビシッとスーツを着こなす女性と、普段着の俺じゃ目立ってしょうがないんだけど!?



監視者「いいから早く食べてしまってください」

のんびり食事もできないなんて……


でも、逆らうと怖いし……何よりこの視線の中じゃ、味わって食べるなんて無理


俺が回りの視線を気にしてる間に、監視者さんは完食していた

慌ててご飯を口へ突っ込み、俺も食べ終える


俺「ごちそうさまでした……」

今度来るときは、1人で来よう……


監視者「それでは、一度部屋へ戻りましょう」

部屋に?


俺「分かりました……あ、会計」

いくらかな?


監視者「大丈夫です、ここは経費で落とせますから」

そう言うと、監視者さんは1人でレジまで行き

しっかり領収書を発行してもらってきた


俺「いいんですか?」

俺の分まで?


監視者「構いません。これも仕事の内ですから」

そうなの?

俺との食事が仕事って、変な感じがするな……


監視者「H1からH4、応答を」

うん?

いきなり訳分かんない事喋りだした!?

……無線かな?


監視者「店内にいた不審人物をマーク、危険人物だった場合応援を呼び確実に捕縛しろ」

え?

店内に不審人物なんていたの!?


俺「気付かなかった……」

てか、俺の事を狙ってる人ってホントにいるの?

実は全部演技でした!とかそういう落ちじゃないの?


監視者「次の角を曲がりますよ」

え?

そっちってホテルの方と別方向じゃ?


とりあえず、言われるまま角を曲がる

すると、廊下の先は行き止まりだった


やっぱり、道違うじゃん!

引き返そうと振り向くと、監視者さんと誰かが対峙していた


監視者「アナタはそこでじっとしててください」

睨み合いはすぐに終わり、監視者さんが先に動く!

その動きに対応して、対峙していた人も動き出す


監視者さんが掌底を打ち込む

しかし、相手はそれをいなしエルボーを放つ

監視者さんが、相手の肘を押さえて受け止る

そこへ相手は手刀を振り下ろす!

監視者さんは、体をずらして回避し一度距離をとる


俺「だ、大丈夫ですか?」


監視者「問題ない、君は安心してそこにいなさい」

何か強がってない!?

ホントに大丈夫なの!?


「ふっ!」

相手は一息で監視者さんとの距離を詰めて、連続で攻撃を繰り出す


それを監視者さんは、受け止める


俺「このままじゃ……」

監視者さんが負ける!!

俺に何かできないか!?


戦いに参加するのは論外だ

邪魔にしかならない


ドスッドスッと鈍い音が聞こえてくる


どうする?

どうすれば……俺に何ができる?


廊下の先は行き止まりだし、途中にある部屋は倉庫みたいなものだ

鍵がかかってるだろうから入れる可能性は低い

大声で助けを呼ぶ?

いや、無関係なお医者さんや看護師さんが来たら危険だ


俺が頭をフル回転させてる間も、監視者さんは打たれ続けている


この相手は……

監視者さんを上回る身のこなし、多分何かしらの格闘技マスターした人だ

ただ、格闘技なんて俺全然知らないから勝つ方法なんて見当も付かない


どうする?

このままじゃ、監視者さんが……



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