第416話 監視者さんって……

監視者「それはそうと、私が声をかける前に電話されていた相手はどなたですか?」

電話してた相手?


俺「妹ですけど」

それがどうかしたのか?


監視者「妹さんでしたか」

なんかメモってるけど、誰に電話したかも監視するのかな?


俺「ええ、それが何か?」

今後は電話する相手を言っておいた方がいいのかな?


監視者「いえ、新しく発覚したことを報告するだけですので」

新しく発覚したこと?


俺「何かありましたか?」

妹が朝弱い事とか?


監視者「ええ、まさか電話で妹さんに愛を囁くほど仲が良いとは知りませんでした」

……あ!


俺「誤解です!!」

そんなことまで聞いてたの!?


監視者「いえ、私はしっかりと聞きましたので」

電話の時くらいは聞かないようにしてくれないの!?


俺「あれは、妹を落ち着かせるためで」

とにかく説明しないと!


監視者「なるほど。離れ離れで寂しがっている妹さんを慰めていたんですね!」

んな事、一言も言ってねーよ!!!


俺「違ーーーーう!」

この人もか!

なんで、ひとの話を聞かない人ばっかりなんだよ!!


監視者「まさか……、妹さんとは遊びで?」

何が、まさか……だよ!!


俺「違うってば!!いいから一旦俺の話を聞いてくれ!!」

そして、そのメモした部分は破り捨ててくれ!!


俺「いいですか!?妹に電話したのは、俺が名前無しに戻れたからそれを伝えるためです」


監視者「でしたら何故なんて言ったんですか?」

それも今説明するってば!!


俺「それは、電話したらアイツが寝ぼけてて!訳分からん事口走って!それを俺に聞かれたって錯乱して!それをなんとか落ち着かせる為に言ったんです!分かりましたか!?」


監視者「なんだ……、そんな事でしたか」

なんでそんなガッカリしてんの!?


俺「分かってくれて何よりです」

キレそう……


監視者「それはそうと、そろそろ検査の時間です」

はぁ、やっとか


俺「分かりました。移動すればいいんですか?」


監視者「そうですね、もう少ししたら検査の担当者が迎えに来ますから。3……2……1……」

カウントダウンと同時に

コンコンとノックされる


俺「は、はーい」

「失礼します、これより検査になります。準備はできてますか?」

ぴったり来た!?


俺「あ、はい。大丈夫です。すぐ出れます」

「それでは、行きましょう」

白衣を着た人に従って部屋を出る

あれ?

そういえば、あの人は?

見回しても、どこにも見つけられない……

どこに行ったの!?

まさか、消えた!?


「どうかしましたか?」

俺「いえ、そのさっきまでそこにいた人が」


「何を言ってるんですか?」

あれ?

何?どういう事?

もしかして、本当に幽霊!?


俺「あはは……まさか、ね」

「問題がないようでしたら行きますよ?」

問題がないといえば、ないのかな……?


俺「あ、はい」

後で四季島に相談しよう


白衣の人に連れられて、病院の方まで戻ってきた


そこで不思議な感覚がおきた


俺「あの人、何か見たことあるような……?」

どこだ?

多分つい最近なんだよな……

検査の人の中にいたのかな?

ゔっ……痛っ

頭痛い、なんでだ?


「だ、大丈夫ですか?どうしました?」

俺「急に頭痛が」


「すぐに担当の先生を呼んできますから、じっとしててください」

白衣の人が先生を呼びに走り出す

すると、頭痛の原因になった人物が俺に近づいてくる


よれよれの白衣、疲れ果てた顔

何処だ?

何処かで、絶対に会ってる!


「おやおや、大丈夫ですかな?」

俺「ええ、まぁ……」

胸騒ぎがする……


この人とは、近づいちゃいけない気がする!!


俺「大丈夫ですから」

離れてくれ


「そんなお辛そうにしてる方をほっとけませんよ」

いいから、俺から離れてくれ!


「ああ、そうだ。こちらの薬はどうですか?楽になりますよ?」

薬……?

なんだ……、この薬……、見たことある気がする……

でも、薬なんて見分けつかないのに……


「ほーら、口を開けて」

無理矢理にでも俺にその薬を飲ませようとしてくる


監視者「今だ!捕らえろ!」

うん!?

監視者さんの声!?


「いででででで!何しやがる!!離せ!私が誰か分かってるのか!」

白衣の奴が、一瞬でスーツの男に取り押さえられる



監視者「もちろんだ。だが上級研究員だろうと私達には関係はない」


「関係ないだと!?」


監視者「お前こそ、私にそんな口を聞いていいと思っているのか?」


「たかがSPごときが舐めた口聞いてんじゃ……ま、まさか……」

抵抗する力をあげる白衣の人

しかし、取り押さえたスーツの人の方が何もかも上だった

一切隙が生まれない


監視者「そうだ、私達はその辺いるSPなんかじゃない」


「…………特秘とっぴ隊!?」

突飛隊?


監視者「その略称を知っているなら、話が早い。そう、私たちは特別秘密保護部隊。抵抗は無駄だ、大人しく投降しろ」

なるほど、密保護部隊で

特秘とっぴ隊か


「くそっ!なんで特秘隊が出てくんだよ!!お前ら人前に姿を出していいのかよ!?」

え?

忍者か何かなの?


監視者「今回の任務は、その必要がある。お前みたいな奴をと命令を受けている。もちろん手段は私に一任されている。意味はわかるな?」


「この、クソ犬が!」


監視者「犬、ね……こいつ、命は不要らしい。例の部屋に連れて行け」

地雷ワードは犬、か


「お、おい!止めろ!止めっ」

バチバチバチとスタンガンを首に当てられて意識を失う白衣の奴

荷物の用に肩に人を担いで運び出すスーツの人


監視者「出来るだけ多くを吐かせろ。方法は任せる、最悪死んでも構わん」

え?


「了解」

と一言だけ告げて、廊下を曲がってどこかへ運んで行ってしまった


俺「あ、あの」

死んでも構わないって


監視者「君は気にしないでいい。これが私たちの仕事だ」

いや、え?

気にしないでいいって言われても……


監視者「ほら、医者が来たぞ」

それだけ言うと、監視者さんはまた姿を消した



もしかして、すぐ近くで常に監視してるって事?

どういう技術!?


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