第413話 健太郎さんの趣味

健太郎「何だろうか?」


俺「さっき、なんでホテルの受け付けをしてたんですか?」

普通、しないでしょ?


健太郎「ああ、それは私の趣味のようなものでね」

趣味?


俺「そうなんですか」

変わってるなぁ


健太郎「君に初めて会った時に話しただろう?」

うん?

そんな話したっけか?


健太郎「私は人を試すのが趣味なんだよ」

……あー、そういえばそんな事言ってたっけ?

四季島と仲がめっちゃ悪いって、騙されたような


健太郎「あの場所は、試験場にもってこいなんだよ。横柄な者や、狡い者なんかは直ぐに判断できるからね」

なるほど……


健太郎「これからも善き取引相手となるか、試してるのさ。もし、あの場で私に酷い態度を取るようなら……今後は取引をしないようにするんだよ」

へぇ……

ちゃんと意味があったのか


健太郎「それに、打ち切りの交渉をする時のが最高に気持ちいいんだよ」

心底楽しそうに言ってるけど、それ悪戯っ子っぽいですよ!


太一「あー……ふざけてるように見えるかもしれないが、これが中々効果的らしいんだよ。従業員や会社を守るのに、適してるらしい」

四季島が俺に念を押すが、俺自身としては

健太郎さんのやり方に賛成だ

守ることのできる力がある人が、先頭に立って相手を見極めるなら

後ろで守られてる人たちは安心するだろうから


俺「わかりました。ありがとうございます」

ちょっと変わった人だけど、変人や奇人じゃないみたいだ


健太郎「さて、それじゃ君はもう部屋に戻っていいよ。場所わかるかな?」

えーっと……


俺「多分、大丈夫です」

あー行って、曲がって上がれば着くはずだから


健太郎「そうか、ならもう部屋へ帰りなさい。太一、分かってるな?」

太一「はい、父さん」

なんかまた……険悪な雰囲気になってない?

これもまた俺を試すために演じてるのかな?


まぁ、俺は部屋に帰れって言われたから関与しないけどさ

親子間の問題だし







来た時と逆順を辿って、広すぎる部屋へ戻ってきた


俺「さて、風呂入るか」

えーっと風呂場は……?

あ、ここか!

Bath roomと書かれたドアを発見し、開けてみる


俺「嘘、だろ?」

完全に予想外なんだが?

いや、ちょっと豪華な風呂場ってを予想した俺が間違っていたのか


ジャグジーに檜造り、五右衛門と3つもあるし……天井が硝子張りなのか空がよく見える

でも、なんでか曇ってないんだけど?

普通湯気とかで曇ったり結露したりするはずだよな……


どういう技術だよ……


シャワーは壁際に普通にあるけど、数がおかしいだろ

なんだよ6個って……!

ここって、6人用の部屋だったのか!?

しかも、頭の所が全部違うし!


ま、まぁいいや……とりあえず体洗おう

備え付けの石鹸類は、どれも高そうな者が揃えて置いてある

シャンプー、リンス、コンディショナー、ボディソープ

全部、メーカーが一緒だ

【SHIKISHIMA】しきしま


こんな物まで作ってたんだな……


その石鹸を使うまで、俺は信じてなかった事があった

“使う石鹸で、髪や肌に大きな違いが出る”


本当だったんだな……

少しは違いがあると、そう思ってはいたけど

こんなに違うものなのか……


これは、妹に謝らないとダメかもな……

ずいぶん昔に、何使っても変わらないって言ったけど

俺は間違っていたみたいだ……



髪は艶々に肌はスベスベになった

名前無しだから、特に見た目の変化は大きくないけど

肌に関しては、自分で触って違いが感じられる……


すげぇ……!!



一通り洗い終わり、いよいよだ

どれに浸かろうかな……

なんか、楽しくなってきたな!


どうせなら全部試してみるか!!

まずは~、あれだ!


五右衛門風呂!

キャラが入ってたアニメもあったけど、まさか自分が入れるとは思ってなかったな

さぁーて、では……


すのこに足を乗せ、中へ入る

お湯は少し熱いな……

肩まで浸かって、天井を仰ぎ見る


きもちいいぃ


さて、それじゃ次は……

逆上せないうちに、他のも試さないと


次はジャグジーかな

手摺のある場所から入って、泡の出てる場所へ背中を預ける

ゴボゴボゴボと数ヵ所から出るお湯が背中や腰、肩を刺激する

まるでマッサージ機みたいだな


これはこれで……いいな

お湯の温度は少しぬるいかな?


背中の血行がよくなって、少し痒くなってきたところで3つ目へ移動する


最後は……檜風呂だ

近づくと、檜の良い香りが入ってくる


あんまり長く入ると逆上せちゃいそうだな……

少しだけ、少ーしだけ入って上がろう


そーっと浸かって、縁に肘を乗せる


俺「ふぅ~……」


気持ちいいなぁ……

温度的にはココが一番合ってる気がする



結局満足するまで浸かってしまい

倒れないまでも、逆上せてしまった……


うぇ……気持ち悪い……


風呂場から出て、備え付けの浴衣へ着替える

バスローブもあったけど、俺としては浴衣の方が好きだし



体がポカポカで、眠気が襲ってくる


俺「ふわぁぁぁ~……はぁ」

さて、寝るか



ベッドルームに行くと、見たことのない大きさのベッドが置いてあった

これ……もしかしてキングサイズ?

ほんと、何でもありだな……


まぁ、いいや

そんな事よりも今は、眠い!


でっかいベッドへダイブして、そのまま何もせず瞼を閉じて睡眠に入った

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