第414話 寝ぼけた妹

翌朝、6時と微妙な時間に目が覚めた


俺「さて、起きるか」

顔を洗って、服を着替える


あ、そうだ

妹はもう起きてるかな?


スマホを手に取ると、お知らせのランプがチカチカと点滅していた

誰からか、連絡が来たか

多分妹だろうな


画面を点けると、新着メッセージが35件来ていた……

な、なんだよ……この件数は!?


メッセージアプリを開くと、妹から10件以上

他にも堀北さん、仁科さん、東雲さんからも来ていた

あいつ言いふらしたな!?


ったく、しょうがねー奴だなぁ


今日は起きてるかな?

まぁ、寝てたら起きるまでかければいいか


妹へ電話をかけると


数コール後に

妹『ふぁい……』

と眠そうな声が反ってきた


俺「おはよう、まだ寝てたか」


妹『ふぇ?』

完全に寝ぼけてるな……


俺「お・は・よ・う!」

起きてくれないか?


妹『その声は……おにぃ?』

そうだぞー


俺「そうそう、起きたか?」

やっと起きたか


妹『あはは、なぁんだ夢かぁ……おにぃ、愛してるぅ~』

……お前、夢の中でそんなこと言ってたのか


俺「そうかそうか、ありがとうな」

起きてくれよ……


妹『むぅ、なんで今日は『俺も、愛してるよ』って言ってくれないのぉ?』

夢の中の俺にそんなことを言わせてるのか……

と言うか、普段どんな夢見てるんだよ


俺「家族として、愛してるぞ」

俺にとって家族は大事だからな


妹(むぅ~~、なんで今日はそんな事言うのー!いつもみたいにしてよー!』

いつもみたいってなんだよ……知るかよ


俺「そろそろマジで起きてくれよ」

話が進まないだろ


妹『なんで現実みたいなこと……うん?』

現実だからな


俺「夢じゃないから、早く起きてくれ」

なんかめんどくさくなってきた……


妹『……え?もしかして、おにぃ?』

お?

やっと起きたか


俺「ああ、おはよう」

起きたみたいだな


妹『……………………………………………………っっっっっ!!!!!!!!』

なんか、イヤな予感が……!

慌ててスマホを顔から遠ざける


すると離したにも関わらずハッキリと『いやぁーーーーーーーーー!!』

と妹の悲鳴が聞こえてきた


これ、耳着けてたらヤバかったな……


悲鳴が収まってから警戒しつつスピーカーに耳を着けなおす


俺「あ~、大丈夫か?」

ゴソゴソと物音が聞こえるが、声が聞こえてこない

まさか、スマホが壊れた?

だとしたら、より面倒なことになるな……


妹『お、おにぃ……?』

お、生きてた


俺「ああ、大丈夫か?」

スマホ、壊してないな?


妹『さっきの、夢は』

俺「夢じゃないな」

現実だ


妹『しに、たい』

いやいや、落ち着けって!


俺「大丈夫だって!寝ぼける事くらい誰にだってあるだろ!?」

どうしてそうなる!?


妹『だっておにぃ本人になんな……、もういやぁ…………』

まずい!

このままじゃこいつ泣く!?


俺「大丈夫だって!誰にも言わないから!な?な?」

今泣かれたら、簡単な説明すらできないだろ!?


妹『ほんとに?』

涙を堪えてくれてる今がチャンスだ


俺「ほんとほんと!」

はぁ、焦ったぁ


妹『なら、愛してるって言って!』

えぇ~~~……


俺「それ言えば、いいのか?」

そしたら、平常心に戻ってくれるのか?


妹『うん』

ったく、しょうがねーな……


俺「1回だけだぞ?…………愛してる」

あーー、もう!

恥っずかしいぃーーー!!


妹『えへへ、ありがと……元気出た』

それは良かったな!

その分俺の精神が削れたがな!


俺「それで、なんで電話したかだけど」


妹『そうだよ!おにぃ、昨日の夜の電話!』

覚えてたか


俺「そうそう、その件だ。俺、名前無しに戻れたから」

多分、今日の検査が終われば帰れるから


妹『ほんとに!?ほんとに戻れたの!?』

嬉しそうな声出しやがって


俺「本当だよ。今日、まだ検査あるけどな。それが終われば帰れると思うぞ」

検査も、1日がかりって程のものじゃないだろうし


妹『良かったぁ……』

って、おいおい泣くなよ!


俺「母さんにも伝えといてくれるか?」

説教は帰ってからにしてもらいたいからさ


妹『うん!』

よしっと


俺「それじゃ、皆にも一応連絡入れなきゃならないから」

また後でな

と言おうとしたら


妹『え?まだしてなかったの?』

してねーよ

お前が寝ぼけたせいで、時間めっちゃかかったんだろ……


俺「ああ」


妹『じゃ、じゃあ!私が最初?』

最初?


俺「いや、最初は四季島だな」


妹『そうじゃなくて!千秋先輩とか春香先輩には』


俺「まだだよ。これから連絡入れんだから、もう切るぞ?」


妹『私が先……えへへ』

何喜んでんだよ


俺「当たり前だろ、家族なんだから」

さて、もう切るぞ?


妹『あ!待って!先輩たちには私から連絡入れるね!』

あ、そうだよ


俺「お前、堀北さん達に何か言っただろ?」

めっちゃメッセージ来てたんだけど?


妹『あ、うん。おにぃから連絡あったって……』


俺「はぁ、あのな……そのせいで俺のスマホにメッセージが滅茶苦茶来たんだが」

どうしてくれるんだよ


妹『ごめんなさい……、今度こそちゃんと伝えるから安心して!連絡は私に任せて!』

なーんか、不安なんだけど……

検査が何時からかわからないし、連絡途中で検査になったらダメだしな


俺「分かった。それじゃ頼むな」

不安だけど!


妹『うん!あ、検査終わったら私に連絡くれる?』

元々、終わり次第連絡はするつもりだったけど


俺「なんで?」


妹『そしたら私から先輩達に連絡するから』

なんだよ、連絡係りしたいのか?

まぁ、俺としては手間が省けるから良いか


俺「分かったよ。それじゃ、頼むぞ」

通話を終えて、一息吐く


あ~~……何か疲れた……


ベッドへ仰向けに倒れて天井を見上げる

とことん高そうだなぁ

そんな感想しか出ない、自分のボキャブラリーが情けない……



ちゃんと勉強しないとな……

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