第411話 病室からスイートへ

俺「えっと……信じてもらえますか?」

佐々木さんや狭間の世界のこと


健太郎「ああ、私は信じるよ」

よかった


太一「父さんがそこまで言うなら」

四季島も信じてくれたみたいで、なによりだよ


俺「それで、俺はこれからどうしたら?」

帰るべきだよね?

もう治ったんだし


健太郎「もう遅い時間だ、今日はこのまま泊まっていきなさい」

そんなホテルみたいな感じでいいの?


俺「いいんですか?」


健太郎「もちろんだ。部屋を手配するから、荷物を持ってきなさい」


俺「わかりました……えっと、病室どこだっけ?」

四季島、教えてくれ……!


太一「一緒に行ってやるから安心しろ」

よかった!


俺「サンキュー」


四季島に案内してもらって一度病室へ戻る



荷物と言ってもスマホや財布だけで、カバンなんかは妹が家に持って帰ってくれてある


ポケットに貴重品を入れ、準備が終わる

俺「おっけ、大丈夫」

忘れ物はないよ


四季島「なぁ、これどうしたんだ?」

そう言って四季島が俺に見せたのは、薬の錠剤が入っていた包装だった


俺「どうしたって、知らないけど……」

そんなゴミ、俺は知らないけど

ここ病院だし、あってもおかしくないんじゃないか?


四季島「そうか……、明日もう一度別の検査がいるかもな」

えぇ!?


俺「なんで!?」

また検査しなきゃダメなの!?


四季島「そうだ、もしかしたら再度入院してもらうかもしれん」

健康なのに!?


俺「どういうことだよ!?」

わけわかんねぇよ!


四季島「この包装は、研究中の薬のものだ。名前無しを名前持ち化する、な」

それって……


俺「どうしてここにあるんだ?」

副作用があるとか言ってたやつだよな!?


四季島「わからない。しかし、ここにあっちゃいけないのは確かなことだ。だから、検査をする必要がある」

マジかよ……


俺「はぁ……」

検査なんて、そんなにたくさんやりたくないんだけどな……


四季島は薬の包装をポケットへしまい、行くぞと病室を出る

俺は、戻れた喜びがよくわからん薬のせいで台無しにされて

気分が沈んだ状態でトボトボと後を付いて行く



四季島の後を付いて行くと、とある廊下を境に消毒液とか病院特有の匂いがしない場所へ着いた


四季島「こっちは来賓用の施設だ。簡単に言うとホテルだな」

病院の中にホテル、か……


俺「すげー」

どんだけ広いんだよ……




四季島に案内され、到着したのはフロントの用な場所だった

中には健太郎さんが、受け付けのコスプレをして立っていた


太一「父さん、何してるんですか?」

頭を抱えたくなる光景に、四季島が苦言を呈する


健太郎「何って、フロントの仕事だ」

それって、偉い人がやる事じゃないよね!?


太一「なんでそんな事をしてるんですか、と聞いてるんです」


健太郎「それは秘密だ。さて、使ってもらう部屋だが、空いている部屋がコレしかなくてね。ここを使ってくれ」

出された鍵はカードキーだった

なんか『最上』て書いてあるんだけど……


俺「えっと……」

もしかして、最上階って意味かな?

わぁー、眺めが良さそうだなー


健太郎「太一、案内しなさい」

太一「はい」


もうツッコミもせず、父親の奇行をスルーすることにしたみたいだ


四季島に案内してもらったのは…………専用のエレベーターで上がった最上階

部屋数は1つのみ、1F全部が部屋になってる所だった


俺「うわぁー……」

これ、絶対に高い部屋だ!!

スイートルームとか言うやつだろ!?


四季島「今日はここに泊まってくれ」


俺「ここに……泊まるのか?」

本当に?


四季島「不満か?」

いや、不満というわけじゃないんだけど


俺「高そうだなぁって」

いくらするんだろ

何十万?何百万?


四季島「値段の事は気にするな。請求することはないからな」

え?

ほんとにいいの?


俺「落ち着かなそうだな……」


四季島「それじゃ俺は、父さんに薬の事を相談してくる。部屋から出るなよ?」

お、おう


俺「わかった」


四季島のお父さん、ここしか空いてなかったって言ってたけど……

嘘だろ

絶対他にも空いてる部屋あっただだろ!?


広すぎて落ち着かねぇよ!!!!





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