第409話 2度目の説明

なんとか下手なりに頑張って説明した俺に対して


四季島「そうか……で、どこからが夢の話だったんだ?」

信じてくれてない!?


俺「全部だよ!」

四季島なら信じてくれるって思ってたのに!!


四季島「悪いが、そんな荒唐無稽な作り話をしてる場合じゃないんだ」

作り話じゃねーよ!!


俺「信じてくれよ!?」

どうして信じようとしてないんだよ!?


四季島「無理だ、さすがにそんな非科学的なことはな」

確かに非科学的だけど!

それが事実なんだから、しかたないだろ!!


俺「お前なら信じてくれると思ったから話したってのに……」

なんて奴だ!


四季島「もし仮にそれが事実だとして、お前が言った狭間の世界とかいうのがあるなら……なぜ今まで誰一人発言してない?」

そんなの知るかよ!


俺「俺にそんなこと言われたって、分からねぇよ」

でも、事実なんだよ……

確かに俺の記憶の中には、って名前持ちの事が残ってるんだ

狭間の世界あの場所で一緒にいた子の記憶が、想い出があるんだ


四季島「原因は不明なまま、か」

居たんだよ……

絶対に居たんだ


四季島への説明が失敗して、落ち込んでいると会議室にノックの音が鳴る

四季島がスッと立ってドアへ応対しに行く


四季島が中へ招き入れたのは、四季島の親父さんだった!?


健太郎「やぁ、久しぶりだね」

この人、雰囲気が威圧感あって苦手なんだよなぁ……


俺「は、はい。お久しぶりです」

椅子から立ち上がって直角にお辞儀する


健太郎「そんなに畏まらないでくれよ」

なら、その怖い雰囲気をどうにかしてくれ


太一「父さん、そんな話をしに来たわけではないのでは?」

そうそう、何しに来たの?


健太郎「ああ、もちろん。君が名前無しmobに無事戻れたと聞いてね。様子を見に来たんだよ」

あ、それだけ?

なら元気なんでお引き取りください


太一「父さん、会議はどうしたのですか?」

え?

こんな時間まで会議なんてやってるの!?

もう、夜11時半だよ!?


健太郎「そんなもの、私が『終わりだ』と言えば終わりだからな」

それ、いろんな意味で大丈夫なの!?


太一「またですか。そんな事ばかりしてると、役員の方々から叱られますよ……?」

ホントに大丈夫なの!?


健太郎「その時はちゃんと謝るから大丈夫さ。さて、雑談はこの辺にして本題といこうか」

本題あるだ!?


健太郎「どうやって君が名前無しに戻ったか、教えてくれるかい?」

それはもう、息子の方に言ったんだけど……?


俺「もう太一くんには話しましたけど……」

もう1回最初から話さないとダメ?

どうせ信じてもらえないのに?


健太郎「そうなのかい?」


太一「はい。でも、にわかに信じられるものでは」

嘘は言ってないってのに


健太郎「どんな話だったんだ?」


太一「それが、狭間の世界とかいう場所に行っていたとか」

それが事実なんだよ!


健太郎「ふむ、狭間の世界?それはどんな場所なんだい?」

興味が沸いたみたいに、聞いてくるけど……

どうせ信じてないでしょ?


俺「詳しくは俺にも分かりませんけど、強い未練を残した人が辿り着く場所だったはずです」

最初に俺がされた説明は、そんな感じだったけど


健太郎「なるほど……。その様な場所は、確かに信じがたい。しかし、君が嘘を言ってるようには見えない。だから、私にもっと詳しく説明してくれないか?」

一応は、信じようとしてくれてるってこと?


俺「わかりました。まず、自分から行くのは無理っぽいです」

今まで、佐々木さんに呼ばれて行く感じだったし

佐々木さんが選んで呼び込む感じだったのかな


健太郎「なるほど。となると、勝手に飛ばされる感じかい?」

あ、そうか

普通はそう考えるのか……


俺「違います。招待?されるんです」

たまに拉致っぽかったけど


健太郎「招待?それは誰かが君を招いたと、そういう意味でいいのかい?」

そうそう


俺「そうです。俺を招いてくれたのは、名前持ちの女の子でした」

今頃、どうしてるかなぁ


健太郎「ほう、名前持ちの女の子か。その子の事は聞いても大丈夫かい?」

もちろん、大丈夫だけど

なんでそんな確認するの?


俺「大丈夫ですよ。友達ですから」

まぁ、最後に信じてもらうためだし


健太郎「では、聞かせてくれ」

はいはい


俺「彼女の名前は佐々木 乱子さんです」

恋に生き、死んだ

純粋な女の子だ


健太郎「さ、佐々木 乱子……だとっ!?」

え!?


なんでそんな驚愕してるの!?


それと顔、めっちゃ怖くなってるんだけど!?


おい、四季島!

お前の親父さん、ちょっと様子がおかしいぞ!!

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