第408話 駆けつけた四季島

えーっと……


名前持ち化した時のことは、四季島には話したし

その後の事だよな


気がついたら狭間の世界にいて、佐々木さんに協力してもらって帰ってきた……

あれ?

それだけ?


いやいや、もっと話すことあるだろ……?

えっと……佐々木さんの事は何て説明すればいいんだ?

確か、本人曰く

強い未練を残して死んだ名前持ちで、……ってそれくらいしか知らない!?

知らなすぎだろ!?


どうしよ……

こういう時、名前持ち特有の『かくかくしかじか』で説明できないのが面倒だ


さて、どうしたものか……

説明を考えて頭を抱えていると、病室のドアが勢いよく開いた!?


ビクッとそっちを見ると

息を切らしたスーツ姿の四季島が立っていた


俺「四季島?」

どうしたんだ?

その、色々と


四季島「ほ、本当に戻ってる……のか」

そう言ったよね?


俺「うん」

何か忙しかったのかな……?

呼びつけて悪い事しちゃった?


四季島「とりあえず直ぐに検査だ」

えー……


俺「健康だよ?」

元気そのものだし


四季島「自己申告は必要ない」

そうなの?


俺「検査、受けなきゃダメ?」

四季島「当たり前だろう!!」

そんな怒るなよー……


俺「分かったよ」

間違いなく健康体なんだけど……



四季島の迫真の説得で、俺は検査を受けることになった

どうやら、緊急でも対応できるように3交代制で常に人を配置してあったみたいだ


俺「徹底してるなぁ……」

正直、ちょっと引くわー


四季島「彼女たちの為だ」

あ、俺の為じゃないんだね


俺「じゃ、行ってくる」

四季島と一旦別れて、怒涛の検査フルコースを味わう












そして検査を終えて、四季島と合流する

四季島は紙の束を手に俺を待っていた


四季島「本当に、一般的な健康体の名前無しだな……」

だから、言ったじゃん


俺「その手に持ってるのって」

四季島「ああ、お前のデータだ」

そっか


俺「異常なんてないだろ?」

あ、見ても俺には分からないから紙束ソレはいらないです


四季島「ああ、そうだな……それが異常だ」

えぇ……

俺っていつから病弱キャラになったの?


俺「何で健康なのが異常なんだよ」

今までだって健康的に過ごしてきたじゃん


四季島「……そうだな。立ち話も何だ、座ってゆっくり話すか」

そう言って四季島は、どこかへ歩きだす

座って話すのは賛成だから、黙って後ろを付いて行く



そのまま案内されたのは、何か懐かしい気のする応接室だった


四季島「ここでいいだろ」

カードキーで開錠して、中へ入る

それぞれ離れすぎず近すぎない距離に座る


俺「それで、何が異常なんだよ?」

健康が異常ってどういう事だ?


四季島「そうだな……。お前から活性化したネームド-DNAが失われていた」

それって……


俺「良い事なんじゃないのか?」

何かマズイのか?


四季島「勿論お前にとって良い事だろう。名前持ち化する危険が減ったんだからな」

なら、いいじゃん!


俺「異常だって言うから、心配したけど全然大丈夫そうじゃん」

大げさだなぁ、四季島は


四季島「お気楽だな……いいか?」

な、なんだよ?


四季島「この結果は、真逆の事も突発的に起こりうるという事なんだぞ?」

真逆の事?


四季島「要するに、お前の名前持ち化現象はという事だ」

え……?

そうなの?


俺「それは……メンd、大変だな」

ああ、大変だ


四季島「そこで、お前に聞くべき事がある。どうやって名前無しに戻った?」

どうやって話せばいいかなぁ




とりあえず、簡単にだけど説明してみるか

きっと、四季島なら俺の下手な説明でも理解してくれるだろ?

頭いいんだし

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