第388話 まさかのフルコース

夕飯の前に、部屋の電話に連絡が来た

通話の内容は体調や食欲に関してだけど、体調が悪いわけではないから食欲も変わらない


単純に問題ないです。と答えたんだが……


コレは、驚きを通り越して……呆れてしまうな


病院食と絶対に違うだろ、コレ


目の前に食卓を眺める


机一杯に並んだのは、前菜、メインが2つ、サラダ、デザートのフルコース

何で?


俺「あの、コレって」


給仕の人「太一様から、と申しつかってます」

おもてなし?


俺「四季島か……」

明日からは普通に定食とか、牛丼を頼もう


給仕の人「お気に召さないなら、他の物へ代えましょうか?」

え?


俺「いや、もったいないんで頂きます。でも、明日からはもっと庶民的な感じでお願いします」


給仕の人「畏まりました」

ほっ……


俺「いただきます」

食べようって思ったけど、これ使

フォークとナイフとスプーンが沢山ある……


俺「えーっと……」

どうしようかな

テキトーに使っていいかな


給仕の人「カトラリーはご自由にどうぞ。マナーなど不要です」

あ、そうですかぁ


それじゃテキトーに使いやすいサイズのフォークを使って今度こそ


俺「いっただきまーす」


一口目を食べた瞬間、コレは間違いなく一級品の味だと分かった

申し訳ないが、昼に食べたパスタ屋の味が霞んでしまう


次々と口へ運び、サラダ1つをとっても美味しくてそれなりに量があったけど

普通に食べきれてしまった


俺「ふぅ、美味かったぁ。ご馳走様でした」

給仕の人が食べ終わった食器を片付けてくれる


給仕の人「明日の朝ですが、食事は抜きになります」

え?


俺「どうして?」

これ、最期の晩餐だったの⁉


給仕の人「検査の為に必要な処置です。お昼は普通に食べれますのでご安心ください」

あ、そういう事か


俺「了解です」


給仕の人「22時まででしたらご連絡いただければ、お飲み物などご用意致しますので申し付けください」

至れり尽くせりだなぁ


俺「分かりました。ありがとうございます」

後でコーヒーか紅茶頼もうかな


給仕の人「お水はそちらのサーバーをご利用ください」

あ、使っていいんだ


俺「わかりました」


給仕の人「では、明日の朝は10時から検査なので9時に起こしに参ります」


俺「了解です」


給仕の人「失礼します」

淡々とした事務的な人だったな




さて、とりあえずドアから顔を出して周りを確認する


よしよし、誰もいないな



疲れの取れる新薬、試してみるか

水はサーバーから用意してっと……


えーっと詳しく見てなかったけど、包装に文字が何もないな

たまたま印刷されてない部分だったのか?


パチッと錠剤を出して表裏を確認する

何も書いてないな

たまに薬って文字が彫ってあるけど、何もないタイプなのかな



一通り観察して、口に入れる


水を口へ含み、薬と一緒にゴクリと飲み込む






うん?








なんだ?









何か、ふわふわしてる……?









眠いと言うか、コ…レは……意識が……途切れ……







そこで記憶が無くなった

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る