第389話 見知らぬ街

気がつくと、俺は人気の無い街中にいた


俺「ここは、どこだ?」

見た事のない場所、どうしてここに居るのか分からない


とりあえず歩くか



探索がてら周辺を見て回ってみる




歩いても歩いても、誰にも合わないな




あ、公園だ


まぁ、誰もいないだろうけど……ベンチくらいあるだろ

少し休もう












ベンチに腰かけて、空を見上げる


どんよりと曇った空からは、雨でも降ってきそうな感じがする

知らない場所だと、雨宿りする場所すら分からないんだなぁ



心細いな……





ぼーっと空を眺めていると、キィーキィーと何かが軋むような音が聞こえる

視線を下げて音のした方を見ると、ブランコがあり


そこに女の子が1人座っていた⁉


俺「え⁉」

いつから?

俺がココに入った時は居なかったのに?




これは、声かけてみるしかないな


ベンチから立ち上がりブランコを揺らす女の子の元へ行く


俺「やぁ、ちょっといいかな?」

目線を合わせて話しかけると


女の子「へんしつしゃ?」

う~ん……


俺「違うよ?」

最近の子は警戒心強くて、安心だね


女の子「そっか。それで、なんのようですか?」

めっちゃ冷静⁉


俺「ここ、何処かな?」

住所とか分からないかな?


女の子「もしかして、おにーさん……まいご?」

違っ、わない?


俺「う、うん。そうかも」

知らない場所にいて、困ってるからね

客観的に見て、迷子だよね


女の子「え?ほんとに?」

ほんとほんと


俺「うん」

だから助けて


女の子「えっと、ここはこうえんです」

それは知ってる!


俺「ここの近くには何があるかな?」

目印とか交番とか、そういうのの場所が知りたいんだけど


女の子「えっと……がっこう!」

学校⁉

って事は校門の辺に名前があるはず!


俺「それはどっちの方にあるの?」

やっと手掛かりが手に入ったな!


女の子「あっち!」

指さした方角には、山が見えた


俺「もしかして、山の上?」

登山はキツイな……


女の子「ちがうよ!あれはうらやまだよ?」

裏山って事は学校は手前にあるのか⁉

よっしゃ!


俺「ありがとうね。とりあえず行ってみるね」

いやぁ、助かったな


女の子「あ、まって!」

うん?

ぴょんっとブランコから下りて俺の足元へ近付いてくる


俺「どうしたの?」

一応、しゃがんで目線を合わせる


女の子「わたしもついていってあげる!」

え?

なんで?


俺「いやいや、知らない人に付いて行っちゃダメって教わらなかった?」

自分で言うのもアレだけど、赤の他人なんだから一緒に来たらダメだよね?


女の子「だいじょうぶ!だって、おにーさんはへんしつしゃじゃないんでしょ?」

それも自称だからね?


俺「もし嘘だったらどうするの?」

そしたら、誘拐されたりしちゃうんだよ?


女の子「え?うそなの?」

いや、変質者じゃないけど……


俺「嘘じゃないけど、そうやって嘘吐く人もいるから簡単に信じて付いて行っちゃダメなんだよ」

初対面なんだしさ


女の子「おにーさんは、たぶんだいじょうぶ!」

多分なんだね


俺「なんでかな?」


女の子「う~ん、なんとなくそんな気がする!」

そっかぁ

なんとなくかぁ

これ、公園から連れ出しただけで誘拐とか言われない?

大丈夫?


俺「わかったよ。それで君、お名前は?」

しょうがないな……


女の子「ささき らんこ!」

佐々木、乱子ちゃん……?


あれ?

その名前、どっかで聞いたな……

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