第362話 電車で移動して

仁科「お、お待た……せ……」

息を切らして到着した仁科さんを歓迎したのは、東雲さんだ


東雲「思ったより早かった!凄い!凄い!」

思ったより早かったって何?


仁科「え、っと……今日は、何…するの?」

え?


俺「聞いてないの?」

呼ばれたのに?


仁科「え?うん、東雲さんが急いで駅に来てって今朝連絡してきて……」

おいおい、どういう事だよ


俺「東雲さん?」


東雲「うん!それで、今日は何するの?」

……東雲さんも把握してない?


俺「えっと、南城さん?」

どういう事かな?


南城「えっと、ね……今日の朝に遊ぼうって連絡来たから、予定あるからって断ったの」

うん、そこまでは正しいね


東雲「千秋ちゃんの予定って、きっと君絡みだと思ったから詳しく聞き出してみたの!」

これは……南城さんを責められないな

寧ろ同情を禁じ得ない……


南城「ごめんね」

いや、まぁ、そういうことなら


俺「しょうがないよ。とりあえず、みんな一緒に行くって事でいいのかな?」

本当は良くないけど……


東雲「もちろんよ!」

仁科「それで、どこ行くの?」


俺「さて、それじゃ駅入ろうか」


俺達一行は改札を抜けて構内へ入り、ホームへ向かう



仁科「ねぇ、どこ行くの?」

大丈夫、危険な場所じゃないはずだから


南城「えっと、どこだっけ?」

おっと、南城さんは場所知らないのか


妹「大丈夫です!私が案内しますから」

そうそう、大丈夫大丈夫


仁科「だから、どこ行くの⁉」

あんまりな対応を見かねて堀北さんが耳元で囁いて教えてあげたみたいだ


仁科「え?どういう事?何しに行くの?」


俺「それは、着いたら分かるから」

誰も口にしないでね


東雲「楽しみね!」

1人でワクワクしてるね……





ホームに着くとちょうど電車が来たタイミングだった

その電車に乗り込んで、車内の注目を集めたまま約30分耐えて

やっと、目的の駅に到着した


目的の駅は下手するとはぐれそうなくらい混んでいた


俺「しっかり掴まってろ」

妹にトートバッグに掴まらせる


妹「うん」

俺と妹がはぐれなければ、他は何とかなるからね

そこにいるだけで目立つメンバーだし


なんとかはぐれないようにして改札を出て、一息つく


俺「こっちは混んでるんだなぁ」

うちの地元とは大違いだな


妹「そうだね……」

人に揉まれて少し疲れたよな


俺「えーっと、みんなは……あ、いた」

南城さんと堀北さん、仁科さんと東雲さん

それぞれ2人1組になってるみたいだ

あの人集りをかき分けて会いに行かなきゃダメなのか……


俺「キツそうだなぁ……」

でも、このままじっとしてても埒が明かないし

行くしかないか


妹「うん……」

こいつ、大丈夫かな


俺「絶対に離すなよ?」

妹「うん!」

よし、行くぞ!


俺が人をかき分けて進み、妹は必死について来る


揉みくちゃにされながら人混みを抜けて、南城さん達の真ん前へ出る


俺「ふぅ……何とか着いたな」


南城「良かったぁ、途中で見失なちゃって焦ったよー」

いや、そんな焦る必要なんてないよ


俺「向こうの方に仁科さん達がいるから、合流しよ」

と言うか、早く移動しよ!


堀北「そうね」

サクッと逃げるように移動する


だって、集まってた人達の視線が俺達に刺さってきてるからね!

いつもの事なんだけど……ほんと、違う土地ってだけでこうも不安になるもんなんだな


怖すぎる!!


早く仁科さん達とも合流して目的のお店に向かおう

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