第356話 完敗だ……
完敗だ……
一方的に表情を読める俺の方が有利のはずなのに……⁉
俺「な、なんで……?」
なんで勝てない?
いや、何で負ける?
堀北「ふふ、楽しいわね」
余裕そうだな……
俺「あのさ、堀北さん」
答えてくれるかな?
堀北「何かしら?」
俺「どうして、そんな強いの?」
透視能力でもあるんじゃない?
堀北「このゲームって、相手の手にあるカードを予想すれば勝てるわよね?」
まぁ、そうだけど……言うほど簡単な事じゃないよ?
俺「どうやって、俺の手札を完璧に予想したの?」
そんな事できる?
堀北「ただの観察と考察よ。君だから、勝てたの……千秋程じゃないけど、君の事よく見てるから」
なるほど……?
俺「それって、最初から俺に勝ち目は無かった……?」
いや、観察と考察って……俺
表情を読むなんて不可能だよ⁉
どんな観察眼してんの!?
堀北「ふふ、そんな事ないけど……君にあんなに見つめられて、さすがの私だって平常心じゃいられないわ」
え?
俺「分からなかった……」
平常心じゃなかったの⁉
堀北「そりゃ、恥ずかしもの。できるだけ隠したのよ?」
隠し方上手すぎだよ
俺「そ、そうだったんだ」
言われてみれば、確かに顔が少し強張ってるような……?
堀北「その……改めて見つめられると照れちゃうわ」
視線を逸らす仕草が、ちょっと可愛いな……
俺「あっ、ごめん」
つい観察し過ぎた……
堀北「いえ、その……ダメというわけじゃないのよ?」
流石に失礼だったよね
俺「さてと……それじゃ、次どうしよっか」
他のゲームでも勝てる気がしないし、もう別の事する?
堀北「そうね……そろそろ、本題に戻りましょ」
化粧でいいんだよね?
俺「うん。そうだね」
もう夕方になるし、後1回か2回で時間切れかな
堀北「ええ、それじゃ再開するわよ」
おう!
俺「よろしく」
堀北さんに化粧を施されて、鏡を見る
今日2回目にしてもらったやつとほぼ同じ?
俺「うん……?」
どう違うか、全然分かんないな
堀北「ベースを少し明るくしたのよ」
なるほど?
俺「ごめん、全然分かんない」
変わった?
堀北「そうね。さっき撮った画像と比較してみて」
スマホ画面の中の俺と鏡に写った俺を見比べる
……確かに、若干変わったかな?
俺「うん、少し変わったね?」
多分だけど……
堀北「それじゃ、今日はこのくらいにしておきましょうか」
もうお終いでいいの?
俺「時間的にまだ1回くらいはできそうだけど?」
やらないの?
堀北「あんまり繰り返すと、肌に良くないの。だから、今日はもうお終いよ」
そっか
俺は気にしないんだけど
俺「堀北さんがそう言うなら」
まぁ、いいか
堀北「それじゃ、化粧落としてきて。私は片付けしてるから」
了ー解
俺「それじゃ、顔洗ってくるね」
1回に下りて洗面所で化粧を落とす
さて、この後どうしようかな
化粧をしっかり落として顔を拭きながら洗面所を出ると、ちょうど玄関が開いた
帰ってきたのは妹だった
妹「あ、おにぃ!ただいま!」
もう帰ってきたのか
俺「おかえり」
それじゃ、また後でな
階段を上がって自室を目指す
妹「今から部屋行っていい?」
何か用でもあるのか
俺「いいぞ」
堀北さんもいるし、挨拶くらいはしに来い
妹「やった!すぐ行くね!」
と言って自分の部屋に入っていった
俺「化粧落としてきたよー……って何してるの?」
部屋に入ると、堀北さんが俺の枕を抱きしめていた
もしかして、やっぱり眠いの?
無理させちゃってた?
堀北「あ……いえ、その……これはね」
眠かったのかな……
妹「おにぃ、入るよー!」
ドアを開けて妹が俺の部屋に登場する
妹「……春香先輩、何してるんですか」
そんな冷たい言い方するなよ
堀北さん、眠いのに無理してたんだよ
堀北「違うの!これは、その」
妹「言い訳なんて聞きたくないです」
堀北「待って!違うの!」
なんでか2人が言い争いになりそうになってる……
俺もいるんだけど、忘れてない?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます