第354話 洗い物の後
プリンを食べ終えて、二人で並んで食器を洗う
俺がスポンジで汚れを落として、堀北さんが濯いで水切り台に並べていく
俺「はい」
と渡して
堀北「ええ」
受け取って泡を流す
二人分の食器を流れ作業で片付けていく
俺「手伝ってくれて、ありがとね」
お陰で早く終わったよ
堀北「いえ、これくらいはお安い御用よ」
そうかな
俺「さて、それじゃ部屋戻ろっか」
まだ化粧の続きするんだよね?
堀北「ええ、そうね……それはそうと、今日は妹ちゃんは?」
妹?
俺「朝早く出掛けたよ。何処に行くかは聞いてないけど」
何か用でもあったのかな?
堀北「そ、そうなの?」
そんな意外だった?
俺「うん。何か用でもあった?」
なら電話すれば出るんじゃないかな
堀北「いえ、そういう訳じゃないの……じゃあお母様は?」
母さん?
俺「仕事だよ?夕方まで帰ってこないかな」
なんか急な欠員が出たから、大変だって昨日言ってたし
堀北「そうなの⁉えっと、じゃ、じゃあお父様は?」
父さん……!?
俺「最近は帰ってきてないよ?」
仕事忙しいのかな……たまにフラッと何の前触れもなく帰ってくるけど
最近は全然連絡もとってないなぁ
堀北「そ、そう……」
どうしたんだ?
俺「何かうちの親に用事でもあった?」
伝言しとこうか?
堀北「いえ、そうじゃないの……」
何かちょっとギクシャクしてる?
俺「大丈夫?」
もしかしてハンバーグ口に合わなかった?
堀北「え?ええ、大丈夫よ」
う~ん……まぁ、本人が大丈夫って言ってる
気にしすぎるのも、ダメだよなぁ
俺「そっか。それじゃ化粧の続きよろしくね」
話ながら階段を上がって直ぐに部屋に着く
中に入って所定の位置につく
さて、次はどんな化粧かなぁ
堀北「えっと……もしかして、だけど」
ん?
俺「何?」
もしかして?
堀北「今、2人っきり?」
あ~……うん、そうかな
俺「そうだね。でも、気にしないでいいよ」
友人同士で気楽に、ね?
堀北「気にしないでって、そんな事言われても……」
何をそんなに気にするんだろう?
俺「気になる?」
堀北「ええ……私だって、君の事好きなのよ?君と2人っきりで、平静にしてられる程小さな愛じゃないのよ?」
いや、そんなつもりで言ったんじゃないんだけど……
俺「えっと……」
どうしよ
言われて気がついたけど、堀北さんと2人っきりで家にいる状況って初めてだな
俺も、何か気になってきた……
堀北「君の気持ちが私に向いてないって事は分かったけど、それでも私の気持ちは変わらないの」
いや、そういう訳じゃないよ⁉
俺「いや、そんな事はないよ⁉その、言われるまで気にしてなかったんだけどな……堀北さんに指摘されて、俺も何か落ち着かなくなってきちゃった」
化粧する時、見つめ合う感じになるから余計に意識しちゃうな……
堀北さんの顔真っ直ぐ見れない
堀北「そ、そうなのね……その、一旦落ち着きましょう」
そ、そうだね
俺「うん。少し落ち着こう」
深呼吸しよう
すーーーーーーーーーー……と鼻で吸い込むと、いつもと違う匂いを感じる
自分の部屋なのに、自分以外の匂いが混じってる
考えるまでもない……これは、堀北さんの香りだ
そ、そうだよな
こんだけ近い距離に居るんだし……
香りで余計に意識しちゃったな……
平静に……平静にならなきゃ……!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます