第352話 化粧の記録

洗面所で化粧を落として、部屋に戻る


俺「ただいまー」

さて、次はどうするのかな


堀北「ええ、それじゃ次はコレとコレとコレで試していくわ」

はいはい、了解

違いが分からないから、お任せするよ


俺「あ、そうそう。妹から俺の衣装の候補の画像貰ったよ」

朝送ってもらった画像を堀北さんにも見せる


堀北「へぇ、可愛いわね」

うん、俺も可愛いと思うけど


俺「これ、男なんだってさ」

信じられる?


堀北「え?ほんとに?」

ほんとほんと


俺「そうらしいよ。そんでその服を明日買いに行きたいってさ」

まぁ、実際に売ってるか分からないし


堀北「そう。それは楽しみね」

俺は全っ然楽しみじゃないんだけどね⁉


俺「それで、多分だけどこの服着る事になると思うんだ。化粧はどんな感じになるかな?」

事前の打ち合わせは大事だし


堀北「そうね……この服だと、コッチの方が合うかもしれないわ」

うん?

違いが分からない……


俺「そっか。それじゃ、やってもらっていいかな?」

そんで、終わったら昼飯にしようかな


堀北「ええ、任せて」

再び俺に化粧を施す堀北さん


俺はじっと化粧が終わるのを待つ

時々手を止めては角度を変えて確認作業をし、また俺の顔に化粧品を付けていく


そうして待つこと50分……やっと納得のいく出来になったのか、頷いた


堀北「こんな感じ、かしらね」

手鏡を渡されて、自分の顔を確認する


鏡に映ったのは、さっきとは打って変わって血色の悪い顔色をした俺だった


俺「なんか……、なんて言えばいいのかな……」

正直に言えば、先にやってもらった化粧の方が良い気がするんだけど


堀北「顔色が悪く見える?」

そう!


俺「うん」

これで良いの?


堀北「さっき見せてもらった洋服のイメージと合わせてみたの。ほら、写真の人もそんな感じの化粧してるでしょ?」

言われて、画像をよく見てみる


た、確かに……

単純に体調不良かと思ったけど、よく見るとコレ化粧なのか


俺「凄いね、パッと見ただけでそこまで判断するなんて」

これ、妹も気付いてたのかな?


堀北「化粧する人は、すぐに分かるのよ。ほら、ココとかコッチも化粧してるのが分かるでしょ?」

あ~、ほんとだ


俺「流石、堀北さんだね」


俺への化粧は、もう完璧なんじゃないかな


堀北「ふふ、そんな褒められると照れてしまうわ」

いやいや、凄いよ


俺「さて、次は……」

化粧落として、昼飯にしようかな


堀北「あ、ちょっと待って!写真いいかしら?」

え?

この顔で?


俺「な、なんで?」


堀北「記録しておくの。後で見返して変えた方が良い所とか見つけるためにね」

そ、そこまでする?


俺「そんなに気合入れなくても」

どうせ、妹の文化祭の1ステージだけなんだし


堀北「どうせやるなら、徹底的にしたいの。ダメかしら?」

う~ん……

化粧に関してはコッチから頼んだ事だし……


俺「わかったよ」

堀北さんって、案外凝り性なんだなぁ


堀北「ありがと。それじゃ撮るわね」

スマホで撮るのかと思ったら、まさかの小さいデジカメだった⁉


俺「わざわざ持って来たの?」


堀北「ええ、スマホよりキレイに撮れるのよ」

そう言いながらパシャパシャと化粧された俺の顔を撮影する


右側、左側、正面、更に斜め右と斜め左

色んな角度で撮って、その場でちゃんと撮れてるか確認する



堀北「これだけあれば、大丈夫ね」

そっか、よかった


俺「大丈夫だとは思うけど、誰かに見せたりはしないでね?」

そういう事しないって信じてるけど……


堀北「大丈夫よ。千秋と妹ちゃんには見せなきゃだけど、他の誰にも見せたりしないわ」

そっかー

できれば、その2人にも見せてほしくはないんだけどなー


俺「うん。頼むね」

拡散されなければ、もういいかな


堀北「ええ、もちろんよ」

うん

堀北さんに限って、間違っても拡散するような事はないだろうし


俺「それじゃ、落としてくるね」


堀北「ええ」

あ、そうだ


俺「時間もちょうどいいし、お昼ご飯にしようかなって」

どうかな?


堀北「あ、それなら私手伝うわ」

有難い申し出だけど


俺「もう殆ど準備出来てるから、リビングで待っててくれるかな?」

後は焼くだけだし


堀北「そう?」

うん


俺「化粧してくれるお礼だから、気にしないで待っててね」


堀北「そういう事なら、楽しみにさせてもらうわね」

あ~、そこまで凄いものじゃないんだよね……


俺「味は期待しないでね。至って普通だから」

クッキーは、まぁ、それなりに美味しく作れる自信はあるけど

ご飯系はあんまり作らないし、そこまで拘って作ってないからさ


堀北「そうなの?」

そうだよ


俺「そんなに作り慣れてないからさ。まぁ、食べれる物なのは確かだけど」


堀北「そうなのね、わかったわ。ふふ、あんまり期待し過ぎないように気を付けるわね」

そうしてください


ドアを開けて、一緒に部屋を出る


俺は洗面所で顔を洗ってからキッチンへ向かい


堀北さんにはリビングで待ってもらう






さて、焼きますか!

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