第335話 朝っぱらから……

制服に身を包み、リビングへ下りると妹が朝飯を食べていた


俺「おはよ」


妹「うん、おはよ」

さて、今日の朝飯は……ん?シリアル?

嫌いじゃないけど、珍しいな


自分の席に出されていた皿にシリアルをジャラジャラ入れて、牛乳をかける


スプーンで掬って口へ運ぶ

うん……普通だ


がりがり、ズルズル、もぐもぐ……


俺「ごちそうさまでした」


母「あら、もう食べ終わったの?」

食後、すぐに母さんが弁当を持ってリビングに顔を出す


俺「うん。あ、お弁当ありがと」

弁当を受け取ってカバンに入れる


母「今日も部活?」

あ~、どうだろ……


俺「一応はそのつもりなんだけどさ」

実際に行けるかどうかは、分からないな


母「じゃ、遅いつもりでいるわね」

そっか


俺「うん。早く帰ることになったら連絡入れるね」

そうすれば、夕飯の支度とかしやすいよね?


母「そうしてちょうだい」

うん


俺「さて、そろそろ来る頃かな……」

南城さん達


母「そうね。あ、そうそう……何だったかしら」

何だよ⁉


俺「もうボケてきてる?」

母さんも年には勝てないって事かな?


母「断食でもしたいの?」

飯抜き⁉


俺「ごめんなさい」

それはあんまりだよ……

ちょっとした冗談じゃん


母「アンタが変な事言ったせいで、思い出せなくなったじゃない」

え⁉

俺のせい!?


俺「元から、思い出せ…なんでもないです!ごめんなさい!」

母さん……

俺の頭を拳骨で殴っても思い出せないから……絶対に止めてください、お願いします


母「はぁ……、もやもやするわ」

思い出せそうで思い出せない事ってあるよねー

母さんが記憶力を活性化させようとしてると

ピンポーンと来客を告げるチャイムが鳴った


俺「来たみたいだね。それじゃ、行ってきます」

カバンを肩にかけ、玄関を開ける


妹「あ、おにぃ」

ん?


俺「どうした?」


妹「……ううん、なんでもない。行ってらっしゃい」

そうか?

何か言いたげだったけど……


俺「行ってくるな」

頭を撫でてやる


妹「もう、髪乱れちゃう……」

そうは言うが、手を振り解こうとはしない


ピンポーン!ピンポーン!


あ~、もう!今行くってば!


俺「はーい」

ガチャリと玄関を開けると、そこにはいつも通り南城さんと堀北さんがいて


俺「おはよー……ん?」

何故か仁科さんもいて


南城「おっはー!」

堀北「おはよう」

仁科「おはよ!」


何故か、家の前に黒い車が一台停まっていた……

四季島かな……?


車から出て来たのは……東雲さんだった⁉


東雲「グッモーニン!」

英語⁉


江藤「おはようございます。皆様」

運転席からは江藤さんが現れる


こ、この狭い空間に……名前持ちが5人!?

いやいやいやいや……おかしいだろ

ここだけ、別世界かん半端ないんだけど⁉

ご近所さんから、変な目で見られるよ!!


俺「ど、どうして今日は皆揃って?」

仁科さんも、普段は遠回りだからって家までは来ないのに……


南城「えへへ……ごめん、私のせい」

まぁ、そうだよね

近く来て小声で報告しなさい


俺「何したの?」

怒らないから言ってみなさい


南城「昨日ね、豊に呼ばれて皆で家庭科部でお茶会してたんだよね」

あ~、お茶会だったんだね


南城「私が口滑らしちゃって……毎朝君を迎えに行ってるって言っちゃって」

なるほど、理解した


俺「そっか。それは、何と言うか……しょうがないな」

南城さんだし


南城「え?怒ってない?」

怒るわけないじゃん


俺「もちろん怒ってないよ。ただ、南城さんは口が軽いなぁって」

そう思っただけ


南城「う……ごめんなさい」

まぁ、反省してるみたいだし


俺「言っちゃったのは、しょうがないけど……なんで東雲さんが家の場所知ってるの?」

まさか、家の場所まで言っちゃったとか?


南城「た、多分だけど……先生が」

あ~……そっか

そうだった!

南城さんと堀北さんが家に来た時も、そうだった!

あの先生、個人情報とかの意識低いんだった!

くそっ……


東雲「こそこそ何話してるの?私も混ぜて!」

それはちょっと……


堀北「何でもないわ。それより、学校行きましょ」

仁科「そうだよー。皆揃って遅刻なんて、イヤだよ?」

それは、イヤだな……

メチャクチャ目立つじゃん


俺「そうだね。行こっか」


江藤「では、私はこれで」

え?

江藤さん帰っちゃうの?

なら東雲さんを引き取って行ってくれると助かるんだけど


東雲「ええ、ここまでありがと。また帰りに連絡するわ」


江藤「はい。失礼します」

車に乗り込んで、そのまま走り去る江藤さん……

やっぱ、そうだよね……


あ~……東雲さん変装とかしてないけど、大丈夫なのかなぁ



何故か俺は、美少女を4人連れて登校する事になった


後ろから刺されたり、通り魔に遭ったりしなきゃいいなぁ……

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