第326話 部室へ避難

今日最後の授業が、もう間もなく終わる


10...9...8...7...6...5...4...3...2...1


キーンコーンカーンコーン


先生「もう時間ですか……では、次の授業はこの問題の続きからです。予習しておくように」

自分のミスのせいで時間が足りなくなったくせに……

終わらなかったからって予習するように言うのは、どうなんだよ


今日の授業が終わり、後は担任から連絡事項とかが無ければ即解散だ


運動部の奴等は、カバンを背負った状態でスタンバイ済み

帰宅部はイスにすら座らず、カバンを手に起立して待っている


それ以外のクラスメイト達は、普通にイスに座って担任が来るのを待つ


俺は、いつでも動けるように荷物は手に持ってイスに座ったまま待つ


担任「あ~……今日は特に連絡事項はない。はい、解散」

顔だけだして、一言だけ告げてそのまま教室に入りもせず廊下へ消えてった


担任の声を最後まで聞いたのか怪しいレベルで、運動部と帰宅部が教室を走って出て行った


そのどさくさに紛れて、俺も混ざって教室を脱出する


よし、東雲さんにはバレてない!



下校する帰宅部に紛れて昇降口の方へ行き、俺だけはそのまま廊下を直進する



突き当りを曲がり、人気のない廊下を一人で駆け抜ける


旧校舎、通称・部活棟の階段を一段飛ばしで駆け上がり

最奥の部室へ向かう


人の気配なんて一切ない、まさに僻地と言うべき場所に文芸部の部室はある

そして、今日の俺にとっては避難場所シェルター


俺「ふぅ、ミッションコンプリート……」

第一ミッション、教室から一人で部室に逃げ込む。完了!


後は、ここで一定以上の時間を過ごして東雲さんをやり過ごすだけだ


部員「えっと……おめでとう?」


俺「いたんだ……⁉」

気付かなかった……


部員「居たよ?私が居なかったら、ココの鍵開いてないよ?」

そりゃ、そうか……


俺「気付かなくて、ごめん」

無視したつもりじゃないんだけど……


部員「気にしてないよ。それより、何が『ふぅ、ミッションコンプリート』なの?」

真似しないで!!

何か真似されると恥ずかしいんだけど⁉


俺「実は……転校生から俺、狙われてるらしいんだ」

またも命の危機なんだよ


部員「え……ほんとに?」

なんで信じてくれないの⁉


俺「本当だよ。クラスメイトが教えてくれたんだ」

怖い話だよ……この学校に転校してきたのは偶然だって嘘まで吐いてさ


部員「ふ~ん、それは大変だね!」

他人事だからって、軽く言ってくれるな……


俺「そこで、ここに暫く匿ってもらいに来たんだ」

ここなら誰も来ないし


部員「もちろん、いいよ!歓迎するよ!!どのくらいいる?2日⁉3日⁉」

何で日付単位なんだ⁉


俺「いや、最終の下校時刻まで」

ここにいれば十分だと思う


部員「あ、あはは。そうだよね!」

そうだろうよ


俺「って訳で、時間はたっぷりあるからさ」

昼休みに読んだ本の続きは……?


部員「うん、用意してあるよ。はい、コレ」

おお!

これが次の巻か!!


俺「それじゃ早速読ませてもらおうかな!」


昼にも座ったイスに腰かけて、カバンを床に置き表紙を捲る

あ~~、楽しみだなぁ……


次はどんな事件や謎があるのかな~!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る