第323話 まさか……

教室に戻ると……混沌が支配していた


泣き崩れる数人の男子(Bを含む)

空を眺め茫然自失となる男子達(Dを含む)

頭をかかえる女子が半分


それをどうする事もできず見ている他のクラスメイト達


俺「な、何があったんだ……?」

怖い……!

関わりたくないけど、このクラスでの出来事だし

何か、凄いイヤな予感がする!!


こういう時こそ、クラスのリーダーの四季島が力を発揮するはず!

四季島を探すと、どういう訳か見当たらない⁉


こんな時にどこに行きやがったんだよ!!

もう少し見渡しやすい場所に移動しようとした時、足に何かがぶつかった


通路にカバンか?

ったく邪魔だなぁ


蹴ってしまったモノを確認すると……人だった⁉

人を蹴ったのならマズいと謝ろうと思ったけど

……途中でやめた

謝る意味ないな

見当たらないと思ったら……こんなトコにいたのかよ、四季島!!


でも、なんで床に?

なんか落ち込んでるみたいだけど……また南城さんとか堀北さんに怒られたのか?


俺「おい、四季島」

聞こえるか?


四季島「今は……話しかけないでくれ……」

そうか

そんなにショックな事があったのか


俺「でも、そこは通行の邪魔だから退いた方がいいぞ」

また蹴られるぞ?


四季島「…………うぅ」

ノソノソと動き、通路から壁際へ行く


ふむ……何か余程の事があったみたいだな

ってのはそうそう滅多に起きるもんじゃない

何かキッカケがあるはずだ

そして、今日の中でキッカケになりそうなのは……東雲さんだな


普段は炎上してるけど、今日は地獄を作ったわけか

凄いなぁ……


俺関係ないよね?

とりあえず話を聞けそうな……堀北さんに聞いてみるか


堀北さんの前まで行くが、どういう訳か堀北さんが俺に気付いてくれない


俺「堀北さん?」

どうしたの?


堀北「え?あ、えと、ごめんなさい……何かしら?」

あれ?何か余所余所しいな

もしかして俺だって気付いてない?


俺「何があったの?」

まぁ、何があったか聞ければいいか


堀北「東雲さんが……彼を……狙っているって……」

東雲さんが彼を狙っている?

狙撃とか暗殺的な話しだと、物騒極まりないんだけど……


俺「彼って?」

予想と違うとイイナー


堀北「A君よ、決まってるでしょ?」

あ~……


俺「やっぱ、俺かぁ……」

ヤダなぁ……また命狙われるの?

しかも今度は名前持ちが相手とか、マジで死にかねないんだけど……


堀北「え……?」

ここでやっと俺に気がついた堀北さん


俺「なんか、また迷惑かけそうだね。ごめん」

先に謝っておこう


堀北「えっ?えぇ!?」

そんなに驚く事!?


俺「それで、今回はどの位危険そうかな?」

命に関わるくらいヤバイなら、もう引き籠りたいんだけどな


堀北「かなり、危険よ……千秋だって焦るくらい」

南城さんが焦るくらい危険なのかぁ

もう、自主的に休学した方が安全な気がしてきた


俺「そんなに危険なんだ……そういえば南城さんは?」

どこに行ったの?


堀北「千秋なら、対抗するために特訓に行ったわ」

そっか

南城さんが特訓か……そうとうヤバイみたいだな


俺「どっか逃げたり隠れたりした方がいいかな?」

自分の身の安全は、できるだけ自分でなんとかしたいし


堀北「逃げる……そうね、準備はした方がいいと思うわ」

そっかぁ……

まさか、転校してきた名前持ちが刺客だったとは思わなかったな


俺「うん、わかった。それじゃ準備はしておくね」

幸いなことに、東雲さんはまだ教室に戻ってきてないし

今の内に帰り支度して、早退できるようにしておこうかな


自分の席に戻り帰り支度をしてると……

背後に気配を感じ、振り返る!


東雲「わ⁉どうしたの?」

な、なんだと⁉

背後を取られてた⁉

マズイ……このままじゃ、俺の命が……


俺「いや、なんでもないよ?それより、東雲さんの方こそどうしたの?」

背後に忍び寄ったりして


東雲「ふふ、君のこと観察してたの」

楽しそうに嗤う東雲さんに、背筋が凍るような気持ちになった……

俺を観察?

もしかして、東雲さんは暗殺者か何かなのか?

ターゲットの行動を把握し、確実に仕留める

プロの殺し屋なのか……

確かに、それなら南城さんが慌てて特訓に行くのも納得がいく


俺「観察?俺って何の変哲もない名前無しだよ?」

どうして観察なんてするのかな……?


東雲「それは、ちょっと違うわね」

断言した⁉

俺に名前持ちの遺伝子が混じっているのを知っている⁉

マズイな……


なんとかして、この危機的状況を脱しなきゃ……

どうする?


背後を抑えられて、迂闊に動けないし

走って逃げようにも……南城さんすら敵うか分からない相手だぞ?


どうする……どうすれば……助かる!?

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