第320話 Bの知る江藤さん

俺「え、江藤さん!?」


江藤「おや、君はあの時のA君でしたか」

俺の事覚えてるんだ……


B「え、えええ、えええ、江藤様!?」

だから何で様付けなんだよ……?


江藤「A君、彼は?」


俺「友達のBです。なんか東雲さんのファンらしくて」

いや、ほんとに居たんだなぁ……ファン


江藤「そうでしたか。お嬢様の事応援してくださりありがとうございます」

キレイなお辞儀をしてくれる江藤さん

礼儀正しいなぁ


B「い、いえっ」

こいつ、東雲さんの時以上に何緊張してんだ?


江藤「それはそうと、何故私の事を?」


B「それは、東雲さんのSNSで度々触れられてましたから。直接お会いできて光栄です!」

あ~、なるほどね……


江藤「お嬢様がSNSで私の事を……?初耳ですね」

これ、また怒られる流れなんじゃ……


B「えぇっ?そうなんですか!?」


江藤「参考までにどの様な内容が書いてあったか教えてもらえますか?」

表情が段々険しくなってきてる、気がする……


B「はい。えっと最近のだと……『負担を増やしてごめんなさい』ってのと『いつも江藤を頼りにしてる』って、てっきり江藤様へ向けた手紙のつもりなのかと……」

なんだ、それ……


江藤「お嬢様が……そう、ですか」

険しかった雰囲気が、一転して優しそうな空気をまとい口角が少しだけ上がる


B「他にも」

まだあるのか……


江藤「いえ、もう結構です。それはそうと、何故私を様付けするのかですが」


B「あ、それは俺達が勝手に付けてるだけなんですけど……アイドルの東雲さんを陰ながらサポートし続け、俺達ファンに出会わせてくれた恩人だからです!!」

なるほど……?


江藤「そうですか、だいたい分かりました。ですが、これからは私に様付けはおやめください」


B「わ、わかりました……」


江藤さんとBの会話が一区切りついたら、次の授業を報せるチャイムが鳴った


江藤「では、皆様しっかりと授業を受けてきてください」

あれ?

そういえば江藤さんは、何しに来たんだ?

BとDが教室に戻るが、俺は1人残って江藤さんに質問した


俺「江藤さん、東雲さんに会って行かないでいいんですか?」

東雲さんに会いに来たんだと思ってたけど……


江藤「ええ、君や彼が居るなら安心できますからね。それでは、私はこれにて失礼します。お嬢様の事頼みましたよ」

え……

頼みましたよって言われても……


俺「が、頑張ります……」

何すれはいいんだ?


江藤「はい。私の業務はお嬢様の送迎なので、帰りにまたこちらへ来ますね」

それだけ言うと、江藤さんは教室から離れて行った


廊下を歩く姿は、まるでモデルの様だけど……そっちは多分遠回りだと思うなぁ

反対の方が職員室も来客用の玄関も近いんだけど……


まぁ、もう行っちゃったし…いっか


先生「おーい、早く教室入れー」

背後から先生に声をかけられて、俺も慌てて教室に戻り次の授業の準備をした


さて、江藤さんが来てた事

東雲さんに言った方がいいのかな……?


言った方が良い気もするけど、そもそも話しかけられるかなぁ……

多分、次以降の休み時間は他のクラスからも来るだろうし

その対応だけで、休み時間は潰れちゃいそうだよなぁ


有名人って、大変だなぁ……

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