第321話 お昼休みに入っても……
休み時間になる度、別のクラスから男女分け隔てなくやってきては東雲さんに声をかけていく
それを全て笑顔で対応する東雲さん
昼休みになっても変わらず、やってくる生徒に手を焼いていると
南城「東雲さん!ご飯どうする?」
と南城さんが助け舟を出した
東雲「千秋!えっと、今日はお弁当なのだけど……」
助け船に気付いてパーッと表情が明るくなったが、すぐに営業スマイルに戻る
自分が弁当を持って来てても、南城さんも弁当を持って来てるとは限らない
と思ったのだろう
南城「よかった~!私もお弁当持って来てるんだよ!」
その一言で、南城さんと東雲さんが一緒に昼食を食べる事が確定する
そこに割り込もうなんて、普通の
そして、俺は普通の名前無しなので黙って南城さん達を見送ることにした
東雲「そうなんだ⁉じゃあ、どこで食べる?」
教室以外で、だろうなぁ
無難に行くなら屋上だろう
それ以外だったら……どこだろうな、この学校ってあんまりそういう場所ないよなぁ
堀北「私もご一緒していいかしら?」
まぁ、南城さんが行くなら堀北さんも行くよな
東雲「もちろんよ!嬉しいわ!!」
3人の美少女が一緒に昼飯を食べる光景か
それはそれで、見物客が集まりそうだな……
南城「やっぱり屋上かなぁ」
いつも通りなら、それ以外の選択肢はないよね
南城さん達の会話を聞いて、数人の男子生徒が真っ先に教室を後にした
多分、屋上で場所取りでもする気なんだろうな
話しかけられそうにないと分かると、女子の大部分は解散していき
残ったのは、少数の女子と諦めきれない男子達だ
もう一押しあると、全員を諦めさせられるんだけど……
そんな都合良くは……って事が起きるのが
教室のドアを開けずんずんと1人の名前持ちが入ってきた
仁科「ねぇ、プールの時の子が来てるってホント!?」
教室を見渡せば分かるだろうに、その手間すら惜しんで南城さん達に声をかける
よっぽど気になってたんだろうな
南城「ホントだよ!ほら!」
と言ってくれたのも聞かず、自分の目で既に発見していた仁科さんは
人をかき分けて、東雲さんの所へ行き
東雲「え?え?何?」
手を握った
仁科「久しぶりだね!!また会えて嬉しいよ!!ねぇねぇ、今時間ある!?ある!?」
久しぶりに仁科さんの押しの強い所を見たな……
東雲「えと、これからお昼に」
お弁当の入った巾着袋を持ち上げると
仁科「それ、お弁当?」
プールで会った時とは別人のような仁科さんに若干怯えながら頷く
南城「豊、ちょっと落ち着きなよ!」
流石に見かねた南城さんが仁科さんを止める
仁科「千秋も一緒?」
止めに入った南城さんに、東雲さんと一緒にお昼を食べるのか聞く
南城「そうだよ。春香も一緒だし……豊はどうする?」
念の為聞いておくと
仁科「行く!と言うか来て!!」
ん?
来て?
堀北「来てってどこに?」
仁科「家庭科室!あそこならゆっくり話せそうだし!!」
なるほど……
仁科さんの権限があれば、家庭科室を個人使用しても怒られないのか……
便利だなぁ
堀北「そう、ね。家庭科室なら落ち着いて食べれそうね」
南城「いいね!東雲さんもいい?」
東雲「だ、大丈夫よ」
本当に大丈夫かなぁ
仁科「それじゃ、家庭科室に出発ー!!」
かなりテンション上がった状態の仁科さんを先頭に
南城さんと東雲さんと堀北さんが付いて行く
仁科さんの
諦めきれず残っていた生徒達も三々五々に散って行った
さて、俺は……
B「あれ?お前行かなかったのか?」
そういうお前こそ学食行かないでよかったのか……?
まぁ、いいか
俺「ああ、たまには1人で食べるのも悪くないだろ?」
むしろ良いだろ?
B「ふ~ん、あっそ。んだよ……家庭科室での会話をリークしてもらおうと思ってたのに……」
おい、本音が漏れてるぞ
俺「さて、俺も場所を変えようかな」
東雲さんの情報なんて一切持ってないけど、友達だって言っちゃったし
(Bみたいな)変な奴に絡まれるのも面倒だし
B「ん?どこ行くんだ?屋上なら満員だぞ?」
満員かよ……
俺「あ~……じゃあ、たまには部室行ってくるわ」
なんか、夢で部室に行ってた気がするし
部室に行けって虫の知らせ的な何かだと思うんだよな
B「部室って……あ、文芸部だっけか?」
よく覚えてたな……
俺「そうそう。それじゃ、後でな」
弁当を持って1人旧校舎を目指した
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