第318話 交流タイム

さぁ、どうする?


もう時間は無いぞ……


代わりに返事をしてもらう?

誰に?どうやって?

頼む時間が無い


どうする!?



B「せんせー!空いてる席ないみたいだし、全員出席してまーす!」

ナイス!


担任「あ~、そうだな。それじゃ授業の準備を」


B「せんせー!?」


担任「今度はなんだ?」


B「東雲さんと交流の時間をください!!」

おいおいおい……Bはどうしちゃったんだ?


東雲「え⁉私?」

ほら、東雲さんも驚いてるぞ?


担任「はぁ……この分の遅れは次の授業で詰め込むからな?」

先生⁉

それでいいの!?


B「よっしゃーーー‼」

意気揚々とBが立ち上がり東雲さんの方へ行く

教室にいる全員がその光景を見守る中、Bは


B「ファンです!!サインください!!」

ノートとペンを突き出して頭を下げた……

お前、ファンだったのかよ!?


東雲「ごめんね!今の私はアイドルじゃないからサインは書かないの!復帰する時には書くから、待っててくれる?」

なるほどなぁ

今はただの女の子ですってことか

でも、それでコイツが納得するのか?


B「そっか……うん。そうだよね。ゴメン」

え?案外あっさりと引き下がったな


東雲「ごめんなさい」

そんなに謝る必要なんてないと思うけど……


B「いいんだ……!!だって復帰してくれる、帰ってきてくれるんでしょ?」

ふむ

復帰してくれるという言葉だけで満足なのか

それが本当かどうか分からないのに?


東雲「……っ!ええ、もちろんよ!この私を甘くみないでもらえるかしら?必ずトップアイドルの座を奪ってみせるから!」

立ち上がってそう宣言した東雲さんは、いつか見たアイドルスマイルを浮かべていた……

それと、奪うんじゃなくてトップへ返り咲くって言えばいいんじゃないか?

そんな事だから炎上するんだよ?


B「おお!東雲神降臨!!」

なんだよ東雲神って……


東雲「……あっ、えっと、その……騒がしくしてゴメンなさい」

正気に戻った東雲さんは“しまった”という表情を浮かべ大人しく着席した


担任「え~……とりあえずBは廊下に立ってろ」


B「ええ!?」


担任「静かにできないなら廊下に立つと、約束したよな。廊下で頭冷やしてこい」


B「う……はい……」

トボトボと廊下へ出るBを、クラスの全員が冷たい視線で見送った


担任「もし五月蠅くするようならお前ら廊下に立たせるからな」


生徒一同「「はーい」」


担任「それじゃ、東雲に迷惑にならない程度に交流するように」

そんな風に言われたら、話しかけにくくなるって……


担任「どうした?何もないなら授業するぞ」


その発言に慌てて立ち上がったのは南城さんだ


南城「東雲さん!」


東雲「何かしら?」


南城「どうしてこの学校にしたの?」


東雲「ここの校長先生と父が古い知り合いなの。それでよければ来ないかって」

なるほど……

つまり、校長は俺の敵だな!?


南城「そうなんだ⁉凄い偶然だね!」


東雲「え、ええ。そうね。あの、私からも一つ聞いていいかしら?」


南城「何かな?」


東雲「その、……はどこのクラスにいるのかしら?」

ここにいまーす……

南城さん、頑張ってはぐらかして!!


南城「彼……?え?いるよ?ほら、そこに」

俺を指さしてしまう南城さん……!!


やっぱ、南城さんは嘘が吐けないかぁ


東雲「え⁉」

指さされた場所を見る東雲さんが、俺の存在に気付く


俺「や、やぁ。久しぶりだね……」

もう会わないと思ってたんだけどな!!


あれから一切連絡もなかったし!!


東雲「あ~!!見つけた!!」

見つかったぁ……


D「マジかよ……Aの奴、東雲さんとも?」

男子「許せねぇ……」

男子「美少女ハーレムかよ、クソが……」

男子「東雲さんまでアイツの毒牙に……」


違う!!


俺「えっと、東雲さん?」


東雲「何?」


俺「この場で一つ確認したいんだけど、いいかな?」


東雲「うん。何かしら?」


俺「俺達はだよね?」

特に友達って部分を強調する


東雲「え、ええ!そうね。私達は友達よ。どうしてそんな事確認したの?」

大事な確認なんだよ……


俺「みんなに変な誤解されるのは、困るでしょ?」

特に俺が!


東雲「それも、そうね」


俺「みんなとも友達になって、楽しい学校生活を送れるように頑張ってね」

もちろん、俺以外のクラスメイト達と楽しんでね!

俺は自分の事で手一杯だからね?


東雲「君っては、優しいのね!さすが私の1人目の友達ね!」

なにが“さすが”なのか分からないよ⁉


南城「あ、それと豊……プールでパフェくれた子覚えてる?」

豊って、仁科さんか

あんまり下の名前で呼ばないし呼ばれてるの聞かないから忘れてたな……


東雲「ええ、とっても美味しかったから覚えてるわ」


南城「別のクラスだから、後で会いに行こうね!」


東雲「ええ、是非会いたいわ」


堀北「その時は、私も一緒に行くわ」

ん?

堀北さんも一緒に……?

南城さんだけだと、説明に不安が残るってことかな?


東雲「ありがと!」


名前持ち同士の会話が一区切りついた所で、次は名前無しの女子たちが東雲さんの方へ群がって行く


あれこれ質問したり、遊ぶ約束したりする


後10分で授業が終わる頃になって、やっと名前無し男子に順番が回ってきた

勿論俺は行かないけどな


質問したり、友達になってくださいと言ったり

付き合ってくださいって告白する勇者バカがいたり

と色んな奴が話しかけてるけど

一切表情を崩さずに終始笑顔で対応する


さすが、元アイドルだなぁ


ファン対応は心得てるってことか



まぁ、この様子なら俺の方に飛び火する事もないだろうし


少しは安心だな……

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