第317話 まさかの再登場

自分の席に着いて教科書とノート筆記用具を机に入れる


さて……眠いけど、頑張って起きてないとな


普段より少し早く担任が入って来て、立っていた生徒が慌てて着席する


担任「あ~、既に知っている奴もいるだろうが転校生が来たぞ」

噂の転校生か

何処のクラスに入るんだろな


B「先生!!美少女ってホントですか!?」

おい、女子生徒から恨まれる事言うなよ……

後でどうなっても知らないぞ


担任「そう、だなぁ……名前持ちの女子生徒だ。美少女かどうかは主観が大きいから先生としてはコメントを控える」

おお、見事に肯定も否定もしない返答だ

立場上『美少女だ』と言えば、他の生徒と比べた扱いになりかねない

しかし『違う』と言ったら、本人を傷付けてしまう


B「名前持ちキター!」

テンション高いなぁ……

普段の陰キャ具合はどうしたんだ?


担任「B、お前は廊下に立ってろ」

珍しく処罰を……!?


B「な、何でですか!?」

いや、今の発言のせいだろ


担任「五月蠅いからだ。静かに出来るなら大人しく席に座ってろ。あと口を開けるな」

先生どうしたんだ?

普段以上に投げ遣りな感じがするけど……


B「はーい。黙って座ってます……」

さすがのBも廊下に立つのはイヤなのか


担任「待たせてすまなかった。入っていいぞ」

ん?

名前持ちの転校生って……うちのクラスに編入するの!?

嘘だろ!?

このクラス、もう3人も名前持ちいるんだぞ⁉

そこに4人目!?

他のクラスに割り振ったりしないのか⁉


転校生「失礼しまーす!」

堂々と前のドアから入って来たのは、ウチに制服を着た名前持ちの女子だった


担任「それじゃ、自己紹介をして」

促されて黒板に名前を書いて振り返る


転校生「はい!皆さん初めまして!元アイドルの東の雲と書いてシノノメ!東雲アイです!これからはクラスメイトとして仲良くしてください!お願いします!」

ペコリとお辞儀をして、完璧な自己紹介をする


なんでだ⁉

何故、東雲さんがここに!?


南城「あれ?しののめ……さん?」

ちょっ、声かけちゃ


東雲「え……?もしかして、あの時の!?」

あちゃぁ……


南城「うん!久しぶりだね!千秋だよ!南城千秋!」


東雲「え?千秋さん!?なんで⁉」


南城「なんでって聞きたいのは私の方だよ!さっきアイドルって言ってたけど、辞めちゃったの?」


東雲「そっちは一時的にお休みしてるの」

引退じゃなくて休止か


堀北「なんで、この学校に?」

気になってたけど、ストレートに聞いた⁉


東雲「え⁉アナタも!?」

そして、声をかけられてやっと堀北さんに気付いた⁉


堀北「ええ、お久しぶりね。堀北春香よ」

と一応の自己紹介をする


東雲「嘘!?春香ちゃんも!?」

よし、このまま流れで四季島も自己紹介しとけ

そして、俺は影を薄くしてできるだけ気付かれないようにするから!


東雲「凄い!知り合いが2人も……これで彼がいれば安心なんだけど」

見回すが、俺の名前無し力mobりょくで全然気付く様子はない


東雲「いないみたいね……えっと、編入の理由は秘密です!コレはトップシークレットなので、聞かないでください♪」

アイドルの笑顔で編入理由を誤魔化したけど……どうせ何か炎上したんだろうな


担任「南城と堀北、知り合ってたのか?」


南城「はい!プールで偶然会って」

偶然……?

まぁ、偶然なのか


堀北「仲良くなりました」

微笑んでるけど、目が笑ってない気がする

俺からは見えないけど……


担任「そうか。なら、南城と堀北どっちでもいいが東雲に校内の案内とかしてくれるか?」


南城「はーい!」

真っ先に南城さんが返事をして立ちあがる

そう言えば、席ってどこが空いて……

教室を見回すと、後ろ側のドア近くの席が一つ空いていた

誰かの席だった記憶はないから、多分事前に用意してたんだな


担任「東雲の席はあっちの後ろだ。視力とか問題ないか?」


東雲「大丈夫です。両目2.0です」

目はいいのか


後ろの席へ向かい、東雲さんが着席したのを見計らって

担任が出席をとる

出、席……!?


あ……やべぇ……コレはダメだ!

さすがに返事をしない訳にはいかない!

でも、返事をすれば俺がいるのがバレる……!?


どう、する……?

考えろ……考えるんだ……!

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