第313話 夕飯は鍋
夕飯は時期的はまだまだ早い鍋だった
俺「なんで鍋?」
まだ暑いよ
母「千秋ちゃん達も一緒に食べるなら、こういうモノの方がいいでしょ?」
なるほど、そういう理由か
南城「私お鍋好きです!」
なんて言うか、南城さんは美味しいモノは全部好きそうだな
堀北「私も好きです。色々食べられてお出汁も美味しいですよね」
母「二人とも優しいわねぇ」
悪かったな、気が利かなくて
俺「もう、何でもいいよ。早くご飯にしてよ」
腹減ったよ
母「あと少し煮えたら食べられるから、ちょっと待ってなさい」
なんだよ
まだ出来てないのかよ
妹「あ、私手伝うよ!」
そう言って食器棚から小皿を持ってきて俺達の前に並べていく
南城「ありがとー」
堀北「ありがとうね」
妹「はい、おにぃ」
俺「おう、サンキュー」
南城さん堀北さん俺の順番で小皿を用意して最後に母さんと自分の分の小皿を置く
更にお客さん用の箸を2人に出し、俺達にはそれぞれ自分用の箸を用意する
ご飯の準備を終えて着席したところに、母さんが鍋を持ってきた
母「はい、お待たせ」
やっと出て来た鍋は白菜やキノコ、つくねなんかが沢山入った所謂ちゃんこ鍋だった
俺「美味そう」
さて、まずは誰から取るかだけど
ここは、お客さんである南城さんと堀北さんに先を譲るのがセオリーかな
2人がよそうのを待っているが、一向に手を出さない……?
もしかして遠慮してるのかな
だとしたら先どうぞって声かけた方がいいか
声をかけようとした時、母さんが予備の椅子を持ってきて座る
母「あら、どうしたの?食べないの?」
妹「えっと、先輩達お先に」
南城「え、いいよ。妹ちゃん達が先で」
俺「いや、2人が先で」
堀北「ううん。私たちは後で」
譲り合いで、両者一歩も引かない
母「あなた達ねぇ……ほら、器寄越しなさい」
寄越しなさいと言いながら、勝手に俺の分の小皿を持っていき
鍋の具材とスープをバランスよく盛っていく
母「はい」
器を俺の前に戻し、次は妹の分を盛り
南城さん、堀北さんの分も盛っていく
最後に自分の分をよそい
母「いただきます」
と言うと、それに倣って俺達も
俺「いっただきまーす」
妹「いただきまーす」
南城「いただきます!」
堀北「いただきます」
一斉にいただきますをして、箸を付ける
まず一口
良く煮えた具材を口に入れる
ハフハフと熱々の具材を冷ましながら咀嚼する
出汁の効いたスープ、それが滲み込んだ具材
その両方の旨味が口の中一杯に広がった
俺「うまい……」
なんだコレ
今までで一番美味いんじゃないか?
妹「うん、おいしい……」
南城「お店の味みたい!」
堀北「とっても美味しい!」
母「それは良かったわ。どんどん食べてね」
そんなの言われるまでもなく食べるよ
それからは黙々と具材を口へ運び、噛みしめて
空になった器にお替りをよそい
また食べる
そして、5人で食べ進めると容易く鍋の中身は空になった
母「それじゃ〆の雑炊にするわよ~」
鍋を一旦キッチンへ持っていき、ご飯と卵を入れて少し火にかける
ぐつぐつとしてきたら火を止めて、再びリビングへ運び込む
その間に妹が人数分のレンゲを配膳し
雑炊はおたまで母さんが器へよそってくれる
つやつやのご飯と半熟卵、少し残った具材が絡み合って
全てに出汁の効いたスープが滲みる
これは、食べる前に分かるやつだ
絶対に美味い!!!!!
予想違わずの美味さを堪能し、お腹いっぱいになる
俺「ふぅ~……美味かった。ごちそうさま」
妹「ごちそうさまぁ……」
南城「美味しかったです!!」
堀北「ご馳走様でした」
母「お粗末様でした」
まだ暑い日が続いてるのに鍋なんて、と思ってたけど
これは……最高だったな
母さん、ありがと!!
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