第310話 母さん乱入!?

堀北さんにメイクをされている途中

唐突に部屋のドアがノックされた!?


母「ちょっといいかしら~?」

ダメ!!


俺「ちょ、待っ!」

『て』の一音を言う前にドアは開け放たれた……


母さんが目撃したのは……楽しそうに雑誌を捲る南城さんと妹

そして、堀北さんに化粧される俺……


母「何、してるの?」

見ないでくれ!!


堀北「あ、えっと、これは……」

どう説明するべきか、さすがの堀北さんも咄嗟には言葉が出てこない


南城「あ、お母さん!お邪魔してます!」


母「え、ええ。それでコレは」

説明を求める母さん

そりゃ、息子が化粧されてたら何があったか知りたいよな


妹「お母さん、これにはわけがあるの」


母「わけって、罰ゲーム以外よね?ね?」

そんなのは心配しないで大丈夫だよ!


妹「文化祭で……ある事をするんだけど、おにぃに手伝ってもらう事になって」

そっか

バンドしてるって母さんにまだ言ってないのか


母「ある事?」


俺「そうそう。それで、ちょっと化粧する必要があってさ。堀北さんにお願いしてやってもらってるんだよ」


母「兄に化粧させる必要がある用事って、何なのよ?」

そんなに気になるかぁ……


妹「えっと……」


俺「本当は本番まで秘密にしておくつもりだったんだけど」

妹「おにぃ……!」

言っちゃダメか?

なら、仕方ないな


俺「実はさ。文化祭で仮装する事になってさ。その為に化粧が必要なんだよ」

言ってみれば、俺がやる女装は仮装の類だ

ステージ上でだけその格好をするから、仮装で問題ない!


母「仮装?」


俺「そうそう。ちょっとしたコスプレだよ」


母「そういう事ね。あんた、趣味に全力過ぎるのよ……」

趣味に全力注がないなんて、人生損するからね


俺「そういう訳だから、罰ゲームでも何でもないよ」

納得してくれたみたいだな


母「なら一先ずは安心ね」

一先ず?


俺「まだ何かあるの?」

一応は納得してくれたよね?


母「本気でその顔で人前に出るの?」

え?


俺「どういうこと?」


堀北「ごめんなさい。また失敗しちゃったの」

あ~、なるほど!

まぁ、まだ2回目だしね!

練習あるのみってことで


俺「しょうがないよ。初めての事してるんだし」

男子に化粧をするって、まず無いことだよね


堀北「どうして上手くいかないのかしら……」

そんな落ち込まなくても大丈夫だよ

まだ2週間くらいあるんだし


母「あら、全然分からない?」

ん?


堀北「そうですね……普段通りの手順でやってるはずなんですけど」

手順に間違いはないはずなのに、上手くいかないのか

難しいな


母「だからよ。春香ちゃん、普段自分にやってるまま化粧してるでしょ?」

何がダメなんだ?


堀北「え?はい」


母「貴方は名前持ちの女の子なのよ?そこの男に同じ様にやっても上手くいきっこないわよ」

可愛いと冴えないを強調するのは、酷くないかな?


堀北「でも、それしか私分からなくて」


母「なら、私が教えてあげるわよ。名前無しの化粧の仕方ってやつをね」

おお!

さすが母さん


俺「年の功ってやつだな」

うんうん


母「何か言った?」

何で母さんはそんな怖い声出すのかな?

ん~……?

もしかして、何かマズイ事言ったか?


俺「何でもないよ、母さん。そんな事より化粧を教えてくれるって」

どうするんだ?


母「まずはアンタはその化粧落としてきなさい。その間にこっちは準備しておくから」


俺「はーい」

さて、本日2度目の化粧落としの洗顔だ

さっき落ちにくい部分は分かったから、そこから重点的に洗っていこう


俺が部屋を出て廊下に出ると部屋の中が少し騒がしくなっていた

何か面白い話題でも出たのかな


少し気になるけど、今は化粧を落とさないとな


俺は再び1階の洗面所へ向かった

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