第309話 堀北さん観察

顔を洗ってから、部屋に戻ると


3人はファッション雑誌やノートを広げて話に華を咲かせていた


俺「何話してるの?」


妹「あ、おにぃ」


南城「えっと、今は衣装について話してたんだけど……これなんてどうかな?」

そう言って俺に見せたのは、雑誌の1ページ


『めちゃモテ女子!最強コーデ』

と書いてるところだった


ファッション雑誌なんて見なれない俺にとって、何がどう最強なのか分からないんだけど

特別可愛いとかは思わないな……


俺「えっと……どうなんだろう……?」


南城「う~ん、そっかぁ。じゃあコレは却下だね」

え?

そんなあっさり?


俺「いいの?」


南城「え?うん。だって、着るのは君なんだし。君がイイと思ったやつが1番だと思うからね」

そういうものなのか……


俺「だけど、俺がイイと思っても骨格的に似合わないって事もあると思うけど?」

その場合はどうするんだ?


妹「その時は……その時考える!とりあえず、私と千秋先輩で候補を見つけるから、その後おにぃに選んでもらう予定だよ」

最後は俺が選ぶのか

まぁ、着たくないモノを無理矢理着せられる心配がないのはよかった…かな


俺「わかった」

さて、それじゃ次は


俺「堀北さん、もう1回する?」

メイクの練習


堀北「ええ、やるわ」

俺はまた堀北さんの正面に座ってじっとメイクが終わるのを待つ


真剣な表情でコスメメイク道具を吟味して、テーブルに並べていく


多分さっき使ったのとは別のモノなんだろうけど

俺には何がどう違うのか、全くわからない


堀北「それじゃ、動かないでね」

言われた通り動かないように気を付ける


妹と南城さんはずっと雑誌の1ページ1ページを入念に確認しながら読んでいく

そして、所々でノートにメモを書いて話し合いをしていく


堀北さんは、さっきと同じようにベースからやり直すみたいだ


目線だけを動かしても見える範囲はそこまで広くない

自然と見るものは限定されていく


南城さんや妹を見るには、少し顔を動かしたい

でも、動かないでと言われてるから動かせない


見慣れた部屋には、視線を注ぐ物なんて置いてないし


結果、俺の視線は堀北さん1人に注がれる


間近で堀北さんの顔を見続けると、普段は気付いてない事を見つけることができる


新しい発見1

睫毛が長い


新しい発見2

二重だった


新しい発見3

左耳の近くに小さなほくろがある


新しい発見4

薄っすらと化粧をしてるみたいだ



じーっと観察をしていたら、堀北さんの顔が少く紅くなってきた

どうしたんだ?


堀北「その、ね。あんまりじろじろ見られると、恥ずかしいのだけど……」

おお、バレてた!?


俺「ゴメン!」

失礼だったよね


堀北「あ、別にイヤだったわけじゃないのよ?ただ、その、あんまりにもじっと見られてたから」

気分を悪くしたかと思ったけど、違ったのか……?


俺「えっと、ごめん。気を付けるよ」

見るなって言わないって事は、少しくらいなら見ててもいいんだよね?


化粧が終わるまで、もう暫くかかりそうだし

あと2、3個は新しい発見ができるかな?

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