第303話 本題は……

俺「あのさ……今日2人を呼んだのは、2人に言いたい事があったからなんだ」

どうか、聞いてほしい


堀北「私も、君に聞いてほしい話があるの」

俺に、聞いてほしい話?


南城「あのね!まずは春香の話聞いてあげてほしいの!」

うん……?

南城さんがそこまで言うってことは、何か大事な話なのかな


俺「えっと、うん」

それじゃ、お先にどうぞ


堀北「ありがと……。私の話はね……昨日の屋上でのことなの」

やっぱり、その話か


堀北「あの時ね……私が言ったことは、全部本心なの……」

そっか

まぁ、そんな気はしてたけどさ

俺を好きでいることへのリスク、だよな


堀北「君を助ける為とは言え、あんな事を言っちゃったから……」

それを気にして、帰りの時様子がおかしかったのか


堀北「ごめんなさい。私みたいな名前持ちネームド……怖いわよね」

ん?


俺「え?」

それは……違うよ


堀北「君が怖いと思う名前持ち、そのものだったわよね」

そっか……そういう事か

自分の都合で名前無しを抹消する名前持ち

確かに、俺が一番怖いと思う存在だ


堀北「私みたいな怖い名前持ちに好かれてるなんて、イヤだと思う……だけど、ね……私は……君の事が、好きなの……君に拒絶されようと、きっと私は……好きでい続けちゃう……ごめんなさい」

何か、話が捻じれたみたいに曲がってるな


堀北「だけど、許してほしいの……君を好きでいることを。君を想う気持ちを……私が諦めがつくまででいいから……お願い」

辛そうな表情で、そんなことを言う堀北さん


俺「あのさ、堀北さん」

テーブルの上にある堀北さんの震える手をそっと握る


堀北「えっ?」


俺「俺を守ってくれてありがとう。こんな俺を、好きになってくれてありがとう」

あ~、もう!恥ずかしいっ!!


堀北「……!?」

潤んだ堀北さんの瞳が、俺を映す


俺「堀北さんが不安に思ってた事、全然知らなくてごめん」

あんなにも不安に思ってたなんて、全然気付かなかったよ


俺「こんな思いやりの足りない俺を、許してくれるかな」


堀北「私……好きでいていいの?君のこと……まだ諦めなくて、いいの?」


俺「こんな俺でよければ、だけどさ……ちゃんと答えは出すけど、もう少しだけ猶予をくれるかな?」

堀北さんと南城さんに、聞く


南城「うん、いいよ」

堀北「ええ、待ってるわ」

良かった……これで懸念してた事が1つ片付いたな


俺「次は、俺の話聞いてくれるかな」


南城「うん」

堀北「何かしら?」


俺「えっと……俺さ、二人に負担ばっかかけちゃってさ……それに今まで気付かなくてさ……だから、まずはごめん」

頭を下げる


俺「好きになってくれたのに、俺からは何もお返しできなくてごめん」


俺「2人がどんな覚悟で俺を好きになったのか、考えなくてごめん」


俺「いつまでも、返事できなくてごめん」


俺「俺の我儘で、危険でも名前無しを抹消しない選択をさせてごめん」


俺「2人の好意に、甘えすぎてた。……ごめん」

まだまだ謝らないといけない事はあるかもしれないけど

とりあえず、ここまで


次は

俺「それと……」

俺「返事を待ってくれて、ありがとう」

俺「約束を守ってくれてありがとう」

俺「いつも助けてくれてありがとう」


あと、1つ


俺「俺を好きになってくれて、本当にありがとう」


南城「うん……」

堀北「っ……」


俺「今日は、2人に感謝を伝えたくて呼んだんだ。いつもいつも、助けてもらってばっかりで何の役にも立たない俺だけど……これだけは伝えたかったんだ」


俺「2人の気持ち、すっごく嬉しいんだ。最初は困ってたけど、今は嬉しいんだ。2人が俺を好きだって言ってくれて、嬉しいんだ」


南城「よかった……ほんとはちょっとだけ不安だったんだ」

不安?


南城「君が危険な目に遭うのって、基本私達のせいだから……そのせいで嫌われちゃったらどうしようって」


南城「でも、そんな心配はしなくていいんだよね?」


俺「うん」

心配はないよ



むしろ俺の方が心配だよ

見限られて、捨てられるかもしれないし


そうならない様、気を付けないと……

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