第300話 プレゼント何がいいかな?

夕飯を食べた後、俺は妹を部屋に呼んだ

妹「おにぃ、何の用?」


俺「ああ、ちょっと相談があってな」

相談できるのが妹だけってのは、ちょっと悲しいんだが

背に腹は代えられない


妹「相談?珍しいね。おにぃが私に相談するなんて」

珍しい?


俺「そうか?」


妹「そうだよ!」

そうなのか……

そういえば、妹に相談ってあんまりしないな


俺「そうか。それで、相談の内容なんだが……南城さん達に何かプレゼントできないかなって思ってさ」


妹「え?なんで?」

なんで、って

なんで一気に興味無さそうにするんだよ?


俺「日頃の感謝の気持ちというか、なんというか」

そういうのだよ


妹「ふ~ん。それを私に聞くの?おにぃに振られた私に?」

お前の場合、振ったとかそういう問題じゃないだろ……?

妹なんだから……


俺「何か良いアイディア無いか?」

出来れば具体的なモノで


妹「そんなの、と思うけど?おにぃからのプレゼントなら何であろうと喜んで受け取ると思う」

そりゃ……あの二人ならそうかもしれないけどさ


俺「何が一番喜んでもらえるかなって」

できればちゃんと喜んでもらえる物を贈りたい


妹「う~ん……先輩達って名前持ちだし、私よりもおにぃの方が長く一緒にいるし先輩達のこと詳しいんじゃない?」

そうでもないんだよなぁ


俺「いや、俺男だし……女子の好きな物なんて、分かんねぇよ」

特にあの2人は、俺を好きになるくらい変わってるし


妹「はぁ……、よくそれでプレゼントしようなんて思ったね」

う゛……


俺「それで、何かないか?」

これ以上痛いとこを突かれる前に、決めちゃわないと


妹「そんなすぐには思いつかないよ!」

あ~~~~……


俺「そっか。そうだよな。それじゃ、ちょっと考えてみてくれないか?何か思いついたら教えてくれればいいから」

それまで、俺も自分なりに考えてみるか


妹「あっ!」

ん!?

早速思いついたか!?


俺「なんだ?」

何を思いついた!?


妹「エンゲージリング!」

えんげ……?


俺「なんだ、それ?」

リングだから、輪っか?


妹「え、おにぃ知らないの!?」

そんなドン引きするような常識レベルの事か!?


俺「何か聞いた事はあるんだけど、それが何かまでは分からないな」

くそっ……自分の知識が全て常識だとは思うなよ!?


妹「婚約指輪のことだよ!何で変な知識は持ってるのに、こういう事は知らないの!?」

婚約、指輪……!?


俺「流石に、婚約指輪なんてプレゼントできねぇよ!」

まだ学生だぞ!?


妹「ぜ~~~~ったいに喜ぶのに」

そりゃ、喜ぶだろうけど!

そうじゃねぇよ!


俺「そんなのは、将来でいいんだよ。もっと学生らしい何か無いのかよ」


妹「う~ん……おにぃって、手先器用な方だよね?」

まぁ、不器用ってわけじゃないと思うけど

器用でもないぞ?

いきなりどうしたんだ?


俺「それがどうかしたか?」


妹「それじゃ、何かアクセとかしてあげたらいいんじゃない?」

アクセって、アクセサリーだよな?

作るって言っても……


俺「素人の俺にできるわけないだろ?」

何言ってんだよ……


妹「大丈夫だよ。説明書と材料がセットのキットとか売ってるし」

キットかぁ

説明書通りに作ればいいなら……プラモ感覚で出来るだろうか……?


俺「でも、どんなのがあるか俺知らないからな……」

しかし、妹がせっかく提案してくれたんだし

挑戦してみるか……?

できる気はしないが


妹「なら、今度一緒に見に行こうよ。プレゼントって急ぎじゃないんでしょ?」

見に行くだけ、行ってみるか

そしたら何かプレゼント向きな物が売ってるかもしれないし


俺「そうだな……頼めるか?」


妹「いいよ!でも、一つだけ条件があります!」

まーた、それか


俺「なんだよ」

どうせ、何か買えって言うんだろ?

自分の小遣いあるくせに……


妹「私にも何か作ってよ。練習のでもいいから」

はぁ?

まぁ、でも、練習用に作ったモノなら……どうせ処分するしかないしな


俺「わかったよ。ただし、上手くできてなくても文句言うなよ?」

練習で作るんだし、最初は上手くいきっこない


妹「言わないよ!おにぃが作ってくれるなら、文句なんてないよ」

そうか、後悔しても知らないからな


俺「それじゃ、買い出しは今度の休みでいいか?」


妹「うん。楽しみにしてるからね」

ウキウキしながら部屋から出て行ったが……練習の物でも、貰えればそんなに嬉しいものなのか?


よくわからないが、まぁ……これでプレゼントは何とかなりそうだな

よし!

今日はもう寝よう!


明日は南城さん達が来るし、早めに起きて部屋の掃除しておかないとな


スマホでアラームをセットし、腕と首を気にしながら眠りについた

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