第297話 学校へ戻った
学校に着く少し前
俺「あのさ、南城さん」
南城さんに、聞きたいことができた……
南城「どうしたの?」
俺「えっと……、もしもの話しなんだけどさ」
こんな事聞いたら、悪いとは思うけど……
南城「うん?」
俺「もしも、俺がまた誰かに命を狙われたらさ……その相手を
聞かなきゃならないんだ……
南城「……なんで、そんな事聞くの?」
冷静に努めた声で、聞き返してくる南城さん
答えたくない事を、聞こうとしてるんだな
俺「うん……ちょっと気になってさ」
南城「今日の事、気にしてる?」
うん
俺「そうだね……」
南城「そっか。私は先生呼びに行ってて、戻ってきたら終わってたから……彼女達が何で君を狙ったのかとかよくわかってないんだけどね」
俺「うん」
南城「もし、また君を狙うって言うなら……次は無いよ。絶対イヤだけど、例え君に嫌われたとしても……君の命を狙う相手に容赦はしないよ」
そっか……
南城さんも、そうなんだ
堀北さんと一緒で、俺の為なら……
南城「もし、あの子達が諦めないなら……どんな手を使ってでも、君を守るよ」
真っ直ぐな瞳で、俺を見つめて宣言した
嫌われる覚悟をして、俺を守る
約束を破って、俺に嫌われたとしても……それでも、俺の命を優先してくれるんだな
好きなヒトに嫌われるって、死ぬほど辛いことなのに……
俺に……そこまでの価値があるのか?
とても、そうは思えない
でも、そんな事言っても……きっと『好きだから』って言ってくれるんだろうな
好きな相手に嫌われても、好きを理由に守る
どうして、そこまで好きでいられるんだよ……
俺は、二人にどうしたら恩返しできるかな
二人の覚悟に、強い想いに、どうしたら報いることができるかな
運転手「まもなく学校へ到着致します。1つ頼み事をしてもよろしいでしょうか?」
ん?
俺「なんですか?」
難しい事と力仕事じゃなければいいんだけど
運転手「太一様に、駐車場でお待ちしております。とお伝えくださいませんか?」
なんだ、そんなことか
俺「分かりました。それくらいならお安い御用です」
運転手「ありがとうございます」
まもなく、車は校門の前に停車した
車から下りて、校門を通り昇降口へ向かう
変なことを聞いちゃったせいか、南城さんの元気がない
空気が若干重い気もするし……やっぱ聞かなきゃよかったかなぁ
でも、聞いておいてよかった気もする
2人の気持ちを知れたからこそ
俺も2人にちゃんとお礼を言える
南城さんと堀北さん、2人には負担をかけっぱなしだし
何か、プレゼントでも贈りたいな
俺の気持ちは……まだ固まってないけど、物で申し訳ないけど
ささやかな感じで、サプライズプレゼントしたいな
何なら喜んでくれるかな?
お菓子……ばっかりじゃダメだよなぁ
後は、俺にできる事って何だろ……?
妹にでも、相談してみるか
女子へのプレゼントだし、一応は女子である妹なら何か良いアイディアあるかもしれないし
そうと決まったら、今日は帰ったら相談だな
昇降口に着くと、そこには堀北さんと四季島とヤマトさんが待ってくれていた
南城「春香、ただいま」
堀北「ええ、お帰り」
四季島「怪我はどうだった?」
俺「大丈夫だよ。あ、今度診察料とか払わないといけないから請求書用意しておいてほしいんだけど」
ヤマト「その心配は無用でございます」
俺「え?」
どういうこと?
ヤマト「貴方からは、お金以外のモノを頂いてますので」
お金以外のモノ?
なんだ?
俺なんかしたっけ?
四季島「お前の血液や遺伝子情報だ。お前の協力で研究は順調に進んでいると、研究員たちが感謝してたぞ。その謝礼をどうしようかと、父が話してたんだ」
謝礼って……
そんなのいらないのに
俺「謝礼なんて受け取れないよ」
四季島「そう言うと思って、俺から謝礼に関しては却下しておいた」
おお、それは助かる
四季島「その分、ウチの病院にかかる時の費用は全額免除にするよう言っておいたんだ。だから今回の事もお金は必要ない。安心してくれ」
そっか
なんだかんだトラブルで怪我してる事も多いし
俺としては、ただただありがたいんだけど
俺「全額免除って、いいのか?」
四季島「もちろんだ。それに、お前1人程度無料で診てもウチの経営は揺るがない」
さすが大病院だな
俺「わかった。ありがとな、四季島」
四季島「ああ」
改めて考えると
四季島の病院に無料で診てもらえる権利って……凄いな
まぁ、できればケガも病気もしたくないんだけどな……
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