第291話 助かった……!?

俺「そろそろ観念してくれない?」

どう足掻いても、四季島に勝つのは不可能でしょ?


女子1「煩い!」

すいませんねー


女子3「ねぇ、どうすればいい?」

俺の首に当ててるカッターナイフを離してくれるといいなぁ


女子1「計画は台無し……全部あの裏切者のせい……でも、まだできるはある」

まだ、何か企んでるのかよ!?


女子3「できること?」

どうせ碌なことじゃないんだろうな……


女子1「堀北!」

何するつもりだ!?


堀北「何かしら?」


女子1「コイツの命、助けたい?助けたいよね?大好きだもんね?」

明らかに挑発してる……

堀北さんがこんな挑発に乗るわけないけど、俺の命を引き合いに出されたら……


堀北「そうね。私に何をしてほしいのかしら?」


女子1「飛び降りて死ね」


堀北「……そう。あなたの狙いは元から私達だったのね」

!?


女子1「……そうよ!アンタ達が消したのは、私にとって大切なヒトだった!!アンタ達ネームドが身勝手に振る舞う代償を!今ここで!払わせる!!」


堀北「そう……それはだったわね」

ざん……ねん……?


女子1「ふざけんじゃないわよ!!自分がやった事分かって言ってるの!?人を殺したのよ!?」


堀北「残念だけど、私に罪の意識はないわ。だって、貴方の大切なヒトって名前無しmobでしょ?そんなの、覚えてないわよ」

どうしちゃったんだよ!?

そんな事言うような人じゃないだろ!?

嘘だよね!?ね!?


女子1「そう……アンタにとって、名前無しってのはその程度の存在なの……なら、コイツの事殺してもなんとも思わないのね……」


堀北「そんな事言ってないわよ?私にとって大切なのは彼だけ!それ以外の名前無しmobがどうなろうと……興味ないのよ」

冷たい目で言い放つ言葉は、棘だらけだ

今目の前で話してる相手すら、どうでもいいと思ってる

同じとして、見られてない……恐怖


女子1「っ……!?本気で言ってるの!?この世界に9割はいる名前無しが、どうでもいいって言うの!?」


堀北「ええ、どうでもいいわ。寧ろ、私は聞きたいわ。貴方にとって世界の9割の人ってどんな存在なの?戦死、餓死、病死、自殺、他殺いろいろ死因はあるけど、その全てに同じように悲しめるの?助けたいって思えるの?」

そんなの極論過ぎる……


女子1「当たり前でしょ!?」


堀北「なら貴方は、今も悲しいの?こんな事してていいの?今も刻一刻と世界のどこかで誰かが死んでるのよ?」


女子1「それはっ……」


堀北「今、貴方たちがしてる事は何?私怨の復讐でしょ?そんな事してる人に、説教されたくないのだけど?」


女子1「煩い!煩い!煩い!煩い!煩ーーーい!!」


堀北「どうしたの?ソレしか言えなくなっちゃったの?」


女子1「それ以上喋るな!喋ったら殺す!」


堀北「貴方の言い分は正しいわよ。まさに正論よね?それに、復讐したい気持ちも分かるわ……それで?この後はどうするのかしら?彼を人質にして逃げる?それとも殺すの?」


女子1「喋るなって言ったでしょ!」


堀北「貴方は、口では平等を謳い……その実、彼を殺そうとしてる。残念だけど、貴方には勝ち目なんて無いのよ……最初からね」


女子1「まだよ!コイツを殺して、私達が味わた悲しみを」

そう言って、俺を殺す様に女子3に指示しようとしたが……

言い切る前に、女子3がカッターナイフを手放した


女子1「何!?」


慌てて堀北さんから視線を外し俺の方を見ると、そこには自由になった俺と

スーツの男が立っていた

女子3は、その場に力なく倒れ伏している


女子1「誰!?」


「四季島社長のSPをしております、ヤマトでございます。以後お見知りおきを」

ヤマトさん!?


ヤマト「では失礼して」

ひょいっと俺を抱え上げて女子1から離れて四季島のトコまで移動する

男一人を抱え上げたままの動きとは思えない軽やかさだった


そして、そっと下ろしてくれるヤマトさん


四季島「ありがとうございます、ヤマトさん」


ヤマト「いえ、これくらいお安い御用でございます」


堀北「ふぅ……なんとか時間稼ぎできたわね」

時間稼ぎだったの!?


四季島「大変な事頼んでごめん、堀北さん」

堀北「彼の為よ」

四季島が考えた作戦だったのか


四季島「そう、だな……」

そんないがみ合わなくても……


俺「ありがと……二人とも」


四季島「これっきりにして欲しいな」

堀北「助けられてよかったわ……」


後で、南城さんにもお礼言わないと……



なんだろ……ホッとしたら……力が抜けて……


その場に座り込んでしまった

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