第289話 絶対絶命……!

どうするべきか……


プランA

出入口のとこに居る女子を倒し、ドアから逃げる

……1対1ならなんとかなるだろうけど、背後から刺されて死亡


プランB

目の前の2人を何とかして倒す

……刃物を持った2人組を相手に、俺が勝つなんて不可能


プランC

交渉して、Dさんだけでも助けてもらう

……その場合、俺は確実に死ぬし本当に助けてくれる保障もない


プランD

屋上から飛び降りる

……着地に失敗すれば死ぬ、成功しても骨折して動けなくなる




困ったな……

どのプランもリスクが高過ぎる

生存ルートがほぼ無いってのは、詰んでるよなぁ



女子1「そろそろ終わりにしよっか」

女子3「最期に言い残す事あったりする?」

辞世の句なんて、用意してないっての!


俺「この手は使いたくなかったけど……仕方ないか」

何も考えてないけど、中二病時代に培ったヤバめのセリフを言ってみる

油断とか動揺してくれないかなぁ……


女子1「何かする前にヤるよ!」

女子3「うん!」

2人が同時に襲い掛かってくる!?

ダメだったかぁ


二人が襲い掛かってくるスキを突いて、包囲を抜けて少しでも距離を取る

空振りに終わった攻撃にめげず、追いかけてくる2人から屋上を右へ左へ逃げ回る



何とかギリギリ切られないように、躱して逃げ続ける

それも、そろそろ限界かな……

疲れて何度も転けそうになる


腹括る死を覚悟する前に、やれる事やっておくか!


すぅーーーーーーと

大きく息を吸い込んで……


俺「誰かーーーーー!!!!助けてーーーーーー!!!!」


大声で助けを呼ぶ!!

いつも通りの他力本願!!


俺の声は確かに響いた

しかし、上手く聞き取れた人は果たしているのだろうか……

そして、イタズラではなくちゃんと伝わっているだろうか……



女子1「うるさっ」

女子2「バカじゃないの!?」

近くで俺の叫びを聞いた2人が悪態を吐く

バカはお前らだよ!!

逆恨みで俺の事殺すとか言っちゃってさ!!



叫んでみたけど、ほんと誰か来てくれないとマジでヤバイんだよね……!


女子3「やぁーーーー!!」

急に振り下ろされたカッターナイフが俺の腕にかすり、皮膚を切り裂く

痛みというより、焼けるような熱さが俺を襲う


俺「あっつぅ……」

油断した……

叫んで動きが鈍ったとこを狙われた


傷を抑えて、女子3から距離を取る

動くたびに痛みが腕を駆け上がる


指先まで血が伝い、屋上に血痕が落ちる



女子1「ナイス!」

アウトだよ!!



そろそろマジで限界っぽい……

切られた腕が痺れてる感じがするし

ちょっとずつ角に追いやられて……もう逃げ場がない




ただ、逃げ回ったおかげで向こうの体力も結構奪えたみたいだ

お互いに肩で息をするくらい疲弊してる




これなら、もうワンチャンあるかもな

トドメを刺される直前に……最期の悪あがきできるかもしれない



女子1「いい加減、死にな!!」

振り上げられたペティナイフに陽の光が反射してキラリと輝く

視界の隅には倒れて動かないDさんが見える


振り下ろされる瞬間、世界がスローモーションの様に感じた

あの刃が俺に刺されば、さすがにお終いかなぁ

もし俺がやられて後でも……助けが来てくれればDさんは助かったりしないかなぁ


まさか、こんな終わり方をするなんて思わなかったな……




俺に振り下ろされる刃を何もできず、ただ茫然と見つめる

残念ながら目測を誤って外れたりはしてくれなそうだ

正確に俺の身体に向かって振り下ろされてる


今から避けようとしても、間に合いそうにない

まさに『絶体絶命』


恐怖に目を瞑り、来る痛みと死から目を背ける

その瞬間……


バーーーーーーン!!!

と大きな音が屋上に響く

あまりの音の大きさに驚いて、全員が動きを止める

寸での所で俺に届くことなく止まった刃

音の正体を確認しようと、そちらに視線が集まる


目撃した俺達全員が、信じられない現象を目の当たりにして思考が一時停止する


屋上の床にうつ伏せに倒れ動かなくなった女子2……半壊し全開になったドア……そのドアにくっきりと着いた足跡


まさか、屋上のドアが蹴破られた!?




そして、それを成した人物たちがゆっくりと屋上に出てくる

女子1と女子3は明らかに動揺していた

俺に向けていた刃物を新たに現れた人物に向けてしまうほどに


そして俺も、自分の目を疑った

夢幻じゃ、ないんだよな……?


女子1「こ、こっちに来るな!!」

女子3「なんで……なんでよ……」



屋上に登場したのは……

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