第277話 いよいよ、本番だ

そして、とうとう午後の部第一競技

『新・応援合戦』が開幕した


先行は団長同士のジャンケンで負け、白組に持って行かれた

気落ちする団長さんを、みんなが気にしないでいいと笑って励ます


そして、白組の応援ステージが始まった


曲は俺すら知ってるアイドルグループの人気曲だ

そして、衣装は市販品の安物を着ていた


人数は本家とは違いやや少ないものの、10人程はいる

そして、ダンスは見事に揃っている


歌はまさかの口パクだった

結構激しいダンスだし、あんな状態じゃまともに歌う事もできないか


超が付く程の有名曲だからか、紅組の生徒も楽しんでるのが見て取れた


少しばかり、不安を感じるけど……

俺達の選んだ曲だって負けてないはずだ

衣装だって本格的だし

歌も生歌だ

勝ってる、はず!


でも……

人数は圧倒的に向こうの方が多い

ダンスはこっちのがお遊びに見えるレベルだ


流石名前持ちのプロデュースだな

歌に関して言えば、名前持ちと比べると特別上手いってことはないから無理してまで歌う必要はないし

容姿は統一感があり、グループ的にはプラスになる

曲のチョイスも全体的に好評だ


少ないリソースを上手く使って、最大限のパフォーマンスを披露してる




最後のサビになり観客見ている生徒達も最高の盛り上がりを見せている


最高潮のまま、白組のステージが終わった

もう殆どの生徒は白組の勝ちを確信しただろうな……


そんな中、俺達紅組応援団はステージの準備を進める


視線を感じ、自分のクラスメイト達の居る辺りを見ると

BとDが俺をガン見していた……

もしかして、バレてる?

四季島に続いてアイツらにもバレた!?

しかし、もう後のは引けない……本番3分前だ


隣に居るYさんを見ると、少しだけ震えている気がした


俺「Yさん、大丈夫?」


Y「え!?うん!ダイジョブだよ?」

明らかに緊張してるな……

俺も緊張してるから、とやかく言えないんだけど

もうちょっとリラックスしないと……


俺「そ、そっか。俺めっちゃ緊張しててさ……ちょっと手握ってくれないかな?」

冗談ぽく言ってみる


Y「うん。いいよ!」

緊張しすぎてまともな判断が出来ないのか、迷わず俺の手を握るYさん


何故か指を絡めて、所謂恋人繋ぎにまでする


Y「実は、私も緊張してて……」

震える手を重ね、お互いの体温を感じ、手汗で濡れる


俺「いよいよだね」


Y「うん。途中で抜けちゃって、みんなに心配かけちゃったけど……その分、今頑張らないと!」

きっとそんな事皆気にしてないけど……


俺「そうだね。一緒に頑張ろう」


お互いに手を強く握ったまま、出番を待つ


そして遂に、その時間がやってきた


団長がマイクで掛け声の事前アナウンスをする


最後に一緒に盛り上がりましょう!!と言って締めくくり


音響担当に指示を送る


イントロが流れ始め、しかし観客でこの曲を知ってるのはごく一部だ

何の曲だろうと疑問に思い周りに聞く人や、白組の余韻に浸り聞いてない人が目立つ


そんな中、俺とYさんが観客の前に登場する


真っ先に反応があったのは、衣装だ

この衣装の完成度に、白組はおろか紅組の生徒まで驚く


そして、俺達が登場すると同時に掛け声担当の男衆が


『うおーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!』

と雄叫びを上げる

男衆は全員お祭りで着るハッピを羽織り、背中に“紅組勝利”の文字を背負う


男衆の雄叫び歓声に手を振って応える


定位置に到着し、ちょうどイントロが終わる




さぁ、始めよう!俺とYさんのステージを!

俺の……俺達の歌を聴けぇーーーーーーーーーーーーー!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る