第274話 おやすみなさい……

保健室に入ると、当たり前だが先生がいた


先生「どうしたー?」

回転する椅子でくるりと周りコッチに向く先生は

俺達を見て早々に


先生「帰りなさい。ここはホテルじゃないぞー」

そう言って椅子を戻して俺達から視線を外した


俺「いや、何言ってるんだよ……」

仮にも先生が言っていい言葉じゃねーだろ?


Y「ちょっと仮眠させてもらいにきましたー。ベッド借りますねー」


先生「いや、体育祭の最中だろ!?」


俺「ちょっと寝不足で……出番まで寝させてもらえませんかね」

ベッドで眠れるなら、願ったり叶ったりだ


先生「寝不足?もしかして興奮して眠れなかったのか?ガキかよ……」

今日の先生は、少し機嫌が悪いみたいだな

出直そう

仮眠なら教室でも出来るし


俺「Yさん、ダメみたいだから寝るのは教室とかでいいよ」


Y「え、でも……寝不足、なんでしょ?」

まぁ、そうだけど


俺「倒れる訳じゃないから大丈夫だよ。本番まで少し休めれば何とかなるからさ」


Y「先生!なんで仮眠取らせてくれないんですか!ベッド空いてるんですよね!?」

なんでYさんがそこまで怒るの!?

もう、面倒だからいいんだけど……


先生「ケガでも病気でもない生徒がサボりに来るから、仮眠とかは原則禁止なんだよ。倒れるほどじゃないなら、ベッドは使わせられないよ」

そういう事かぁ


俺「わかりました。失礼しました……」

頭を下げて、保健室を出ようとした途端

急な眩暈で、前の方へ倒れそうになる


うわぁ、何だコレ……気持ちわりぃ


Y「A君!?大丈夫!?」

ちょっと吐き気がしたけど、大丈夫……吐くほどじゃない


俺「うん。ダイジョブダイジョブ……ちょっと眩暈しただけ」

こりゃ、本番で倒れないようにしないとマズイな


先生「馬鹿か!倒れそうなら最初からそう言え!何強がってるんだ!」

強がってたわけじゃないんだけど……


俺「すいません……」

Yさんに支えられて、何とか立ち上がる


先生「まったく……奥のベッドを使え」

え?


俺「いいんですか?」

さっきはダメだって……


先生「倒れる程体調が悪い生徒を休ませるのが、仕事なんだよ。場合によっては早退させるからな」


俺「大丈夫です。少し寝れば回復すると思います」

ただ徹夜明けってだけだからな


先生「それなら、さっさと寝なさい」

カーテンを開けてベッドへ案内してくれる

さっきまでとは打って変わって、優しく対応してくれる先生


Y「よかったね。それじゃ、休もっか」

なぜかYさんも一緒についてくる


俺「え?」

先生「君は元気そうだけど、もしかして体調が悪いのかな?」


Y「いえ、全然元気ですよ?ただ、時間になったら起こすので一緒にいようかなって」

付きっきり!?


先生「それなら時間になったらまた来なさい。君…確かYさんと言ったね?」


Y「はい」


先生「応援団の他の人にこの事を説明してきてもらうよ。もし体調が回復しなければ、出場はさせられないからね」

マジかぁ

結構練習頑張ったのにな……


Y「わ、わかりました……それじゃ、また後でね」


俺「うん。Yさん、ごめんね」


Y「大丈夫だよ。それじゃ、ちょっと説明に行ってくるね。バッチリ寝て、元気になってね!」


俺「うん」

名残惜しい雰囲気をさせつつも、団長たちに俺が仮眠を取ると話しに行ってくれた


先生「ほら、寝れば回復するんだろ?さっさと寝ろ。そして俺の手を煩わせずに帰れ」

Yさんが居なくなった途端、そんな言い方するのかよ!?


俺「それじゃ、少し眠らせてもらいます……」


保健室のベッドへ潜って、俺はすぐに眠りについた

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