第273話 ば、バレた!?

体育館から撤収した後


校庭では、200m走がやってた


1着白組、2着紅組、3着白組と

やや白組優勢な状況が実況者の声で聞こえてくる


団長「まずいわね……」

そうかな?

応援団の出番の時には点差が開きすぎて逆転不可能でした

なんて事にならないなら、優勢だろうと劣勢だろうと問題ないと思うけどな


団長「こんな僅差じゃ……」

なんで僅差で不服そうなの!?

こういう時、接戦って良いと思うけどな


俺「負けてないんだから、問題ないんでは?」


団長「寧ろ、負けるなら徹底的に負けておいてくれなくちゃ!」

どういうこと!?


俺「いや、意味わからないですよ!?」


団長「大差で負けて、心が折れそうな紅組を応援団私たちが奮い立たせて……大逆転!ってならないじゃない!!」

妄想乙


俺「いやいや、そもそも心折れそうなくらい負けない方がいいと思うんですけど!?」

心折れちゃったら、終わりでしょ!?


団長「輝かしい応援団長としての功績が、霞んじゃうじゃない!!」

そんな功績ほしいの!?


俺「それじゃ、白組応援しますか?」


団長「何言ってんのよ!私達は紅組の応援団よ!白組なんて応援するわけないでしょ!?」

めんどくせーな、おい


俺「そーですか」

もう、いいや

どうでも……







Y「ねぇねぇ」

お?

Yさんから話しかけてくれた!?


俺「ん?なに?」


Y「あっちでA君の事めっちゃ見てる人いるよ」

はぁ!?

咄嗟にYさんの後ろに隠れる


俺「だ、誰?まさかBとD?バレた?」


Y「ううん。B君でもD君でもないよ」

そ、そっか……良かった……


俺「だ、誰だろ……?」


Y「四季島君」

は?

唐突にどうしたんだ?


俺「四季島がどうした?」

どうせ、女子に囲まれながら観戦してるんだろ?


Y「四季島君が、見てるんだよ。A君のこと」

はぁ!?


俺「いやいやいや!それは俺じゃなくてYさんを見てるんだよ、きっと!」

まさか……こんなに距離の離れた位置からでも見抜いたのか!?

俺がAだという事を!?

怖っ!!


Y「ううん。A君が見られてるんだよ。だって、A君が私の後ろに隠れた途端見るの止めたよ」

なん……だとっ!?

もうバレたのか!?


いくら完璧にメイクしても、やはりすぐにバレるのか……!?


俺「帰りてぇ……」


Y「大丈夫だよ!他の人は誰もA君だとは思ってなさそうだから!」

でも、みんなの前まで行けば……さすがにバレるだろーなぁ

はは……もう、どうしようもねーよ


俺「終わった……」


Y「ん~、バレてないと思うけどなぁ」

そんな気休めはヤメテくれ

もう夢も希望もありはしないんだ


俺「出番まで、少し寝てくる……」

そういえば今日、寝てないんだった……


Y「私も一緒に行っていい?」


俺「なんで?」


Y「時間になったら起こす人は必要でしょ?」

あ~、確かに……


俺「うん。必要かな」


Y「寝る場所、どこか当てはあるの?」

寝る場所?


俺「どっかの教室でテキトーに」

それで問題ないでしょ


Y「なら、私良い場所知ってるよ。案内してあげる」

ほう、それは助かる


俺「うん。案内よろしく」






Yさんについて行った先は……まさかの保健室だった!?


確かにベッドもあるし、うるさくないし


寝るには適してるけど!


怒られないか!?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る