第272話 最後の練習だ!
教室で、完璧な女装を施された俺は……空を眺めて心を落ち着かせる事にした
あ~、今日もいい天気だなぁ……
ぞろぞろと教室にメンバーが入ってくると、俺を見て『おぉ……』と声を漏らす
いつの間にかYさんもどっかで着替えを終えて、衣装姿になって教室に戻ってきていた
全員が集まったところで団長が声をかける
団長「みんな、揃ったわね?」
一同が頷く
団長「とうとう、この日がやってきたわ」
団長「みんなで、勝利を勝ち取るわよ!!」
「おーーー!!」
全員の士気が上がったタイミングで、教室のドアがノックされた
「失礼しまーす。紅組の応援団長さんいますか?」
団長「私よ。あなた、生徒会の……何の用かしら?」
「あ、はい。体育館の使用許可が下りたので、伝えにきました」
団長「今から使えるの?」
「はい。えー、今から10時までは紅組が使用できます。10時以降は白組が使用するようですので、交代をお願いします」
団長「わかったわ。ありがと」
ぺこりとお辞儀をして、生徒会の使いっぱしりの男子は戻って行った
団長「それじゃ、本番同様の練習するわよ。最終リハに出発よ!」
「おーー!」
紅組応援団メンバーがまとまって移動する
俺は集団の内側の方へ隠れされながらの移動になった
集団として注目は集めていたけど、俺に視線が来ることは少なく済んだ
まぁ、俺に配慮したってわけじゃなくて
本番まで出来るだけ隠しておいてサプライズ的にしようという魂胆みたいだけど
結果的に、俺は助かったから何でもいいや
体育館に着くと、早々に団長が声を上げる
団長「さあ、配置について!音響担当者は再生の準備!掛け声班は一定の間隔を開けて並んで!主役二人はコッチから、中央に向かって入場からやるわよ!」
一斉に動いて、自分の役割の位置に移動する
俺も団長が指示した場所に行き、出番を待つ
団長「それじゃ、ミュージックスタート!!」
音楽が鳴り、手拍子を打ち鳴らし
全体を盛り上げる
俺とYさんは端の方から中央へ向かう
手にはマイクを持ってはいるが、スイッチは入ってない
流石に練習から歌いはしない
外に白組が居るかもしれないから、と警戒してるみたいだ
別に今日どんな事をするかバレても、対策とか対抗手段とか用意なんて出来ないと思うんだけどな
スタスタスタと走っていき、マイクを構えて歌うふりをする
歌に支障が出ないレベルでの振り付けも、問題なく覚えられた
ほぼほぼ俺は最善を尽くせたと思う
そして、Yさんはというと
通しで合わせたのが今日が初めてとは思えないくらい、息もぴったり合っていて
俺以上の完成度を見せた
どうやったのかは分からないけど、とんでもなく沢山練習したのは想像に難くない
そんなこんなで、1回目の通し練習はこれと言って問題もなく終わった
団長は、少し納得がいってない感じで
掛け声班の1人1人に改善や注意をして回っていた
熱心だなぁ……
Y「A君、今日の放課後……屋上に来てくれる?」
やっと話してくれるのかな?
俺「うん。もちろん」
その時、俺も少し気になってる事を聞いてみようかな
そのまま順調に練習を重ねて、10時頃にはほぼ完璧な仕上がりまでいくことができた
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