第270話 まさかの新衣装

学校に到着し、応援団のミーティングに使ってた教室へ向かうことにした


この教室は数日前から応援団専用の控室兼荷物置き場になってる

衣装なんかはこの教室に置いておけるようになったから、わざわざ持ち帰ったりしないで済むようになった


さて、団長とYさんはもう来てるのかな?

まだ生徒も殆ど来てない静まり返った校舎に入り、目的の教室に行くと

先客は2人だった

団長さんと、もう一人はYさんではなく

衣装担当の男子だった

なんでコイツがこんな時間に来てるんだ?


俺「おはよーございまーす」

眠気で間延びした挨拶をする


団長「A君、おはよ!いよいよ本番ね!」

一切の眠気が感じられないハキハキした喋り方の団長と


「あ……おはようございます……ひひ」

俺以上に寝不足感たっぷりの挨拶を返してきた衣装担当の男子


俺「あの、これは……一体?」

どういう事だ?

昨日まで置いてあった衣装が、全く違う物になっていた


団長「コレ?新衣装よ!」

いや、だから何で?


俺「当日にどうして衣装を変えたんですか?」

意味が分からないんだけど……


「最初に作ったヤツは……まだ改良の余地があったんだ……だから、改良に改良を重ね続けて……やっと納得のいく物が完成したんだ……お陰様で3日くらいまともに寝てないんだ……」

何でそこまでの事をするんだろうな……


「何とか間に合って良かったよ……そうだ!早速着て見せてくれないか!?俺の意識があるうちに……!」

バトル漫画のキャラみたいな事言い出したな

どうやら、本当に起きてるのが限界近いみたいだ


団長「私も見たいわ!ねぇ、着て見せて!」

そうだな

衣装合わせは早めにしておいた方がいいよな


俺「わかりました。団長さんは廊下で待っててくれますか?」

着替えを女子に見られるのは、恥ずかしいから


団長「ええ!着替え終わったら呼んでね!」

何でそんなに楽しそうなんだろ……?


まぁ、いっか


俺「コレ、どうやって着ればいいんだ?」


「ああ、これは……まずは、コレに着替えて」







製作者の指導の元、俺は衣装を身に着けていく

スカートや手袋、靴下

全てが新しくハンドメイドされていた


順次着替えていき

そして、次はブラウスだからYシャツを脱いで手に取ると


「待って!その前にコレ付けて」

俺に手渡してきたのは……ブラジャーだった

何で男のコイツがブラジャーを持っているのか、何でソレを俺に付けろと言ってきたのか

何も理解できない!!


俺「それは流石にイヤだよ!?」

ただでさえ女装という、イヤな事をしてるってのに……!


「コレを付けてくれなきゃ完成しないんだ!見てくれ、このブラウス!ちゃんとバストの部分を改良したんだ!コレでどっからどう見ても女子にしか見えない!!凄いだろ!?」

凄いけど、それとコレは関係ないだろ!?


俺「イヤな物はイヤだよ!!」


「そこを何とか!」


俺「そんなもんまで付けるなんて、聞いてない!!」


「しょうがないじゃないか!今朝やっと完成したんだ!!」


俺「そういう事を言ってるんじゃない!!」


団長「二人ともどうしたの!?廊下まで聞こえてきたわよ!?」

俺達の言い争いを聞きつけて、慌てて団長さんが入ってきた!?


俺「ちょっ、まだ着替え途中ですよ!?」


団長「だって、凄い喧嘩してるみたいな声が聞こえたから!」


「団長さん!聞いてください!」


団長「どうしたの?」


「コイツがブラこれ付けてくれないんです!!」

当たり前だろ!?


団長「え……?それは、さすがに……ねぇ?」

ほらな!?

普通はこういう反応するんだよ!


「でも、コレを付けないと完成しないんです!一度見てもらえれば分かりますから!」


団長「そうなの?……ねぇA君、1回だけ付けて見せてくれないかしら?」

なん、だと!?


俺「団長!?」

敵に回ったんですか!?


団長「1回付けてみて、それから判断しましょう。ね?」

判断も何も、お断りなんだけど!?


団長「ほら、一方の言い分だけじゃダメじゃない?双方の言い分を確認しないと、ね?」

間違いない……団長さんは敵に回ったな!

自分が見てみたいだけだろ!!


俺「イヤなものはイヤですよ!!」


2対1で不利な言い合いになった所に……




救いの女神が現れた!?




Y「何がイヤなの?」


俺「Yさん!?」

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