第267話 Yさんは……?

Yさんの事が気がかりで、授業にあまり集中できなかったな……


大丈夫かなぁ

心配ではあるけど、残念ながら俺に今できる事は何もない


結局何もせず放課後になり、俺は応援団のミーティングに向かった



団長「あら、A君は来たのね」

ん?


俺「はい?」

どういう事?

もしかして、今日って集まり無かった?


団長「Yさんから今日は休むって連絡来たから、てっきり二人で予定でもあるのかと思ったのよ」

あ、そういうことか

Yさん、今日は帰っちゃったのかな


俺「いや、そういう訳じゃないんですよ。それで、今日は俺どうすればいいですかね?」

振り付けの練習?

それとも歌の方の練習?


団長「あ~、今日はYさんと一緒に振り付けについて相談しようと思ってたのよ」

相談?


俺「団長さんが全部決めるんじゃないんですか?」

ダンスとかそういうのは、団長さんの得意分野なんだよね?


団長「それがね、Yさんから提案があるって昨日聞いてて……それを今日話し合おうと思ってたのよ」

なるほど……

俺、いらない子?


俺「それじゃ、今日は特に出来る事なさそうですね」

帰ってアニメでも観よう


団長「そんな事ないわよ?掛け声のアイディアがもう溜まってきてるのよ。どれを採用するか決めるの手伝ってちょうだい」

え~……

ぶっちゃけ何でもいいんだけど……


俺「団長さんが決めてくれれば」


団長「何でも私に一存するんじゃないわよ!私だって忙しいのよ!」

ダメかぁ


俺「分かりました……」

さて、掛け声の方はどんな感じの候補があるのかなぁ


団長「掛け声はアッチのグループで会議してるから、そっちに合流して」


俺「はーい」

ヤダなぁ

でも、割り振られた分はやらないとな……


「だから!そこは、L・O・V・Eでしょ!?」

「違うわよ!ラブリーエンジェルよ!」

「二人とも落ち着いて!Fu~HiHi!!の方がいいと思うの!」

…………何を言い合ってるんだ?

俺の直感が告げている……こいつ等に関わっちゃいけない!って


団長に他に何か無いか聞いてこよう!

回れ右して、会議中の女子に背を向ける

しかし、ほんの少し……遅かった!


「あ、A君!ちょうどいいトコに来たわね!」

「君の意見を聞きたかったのよ!」

「やっぱり主役に決めてもらうのが良いと思うのよ!」

ん~~、全力で遠慮したい!!

掛けられたい掛け声はどれかなんて、決められるわけないだろ!?

何の拷問だよ!?

その時、俺女装してるんだぞ!?


俺「えーっと……もう一度落ち着いて、話し合ってみてください。いいですか?冷静になって、考え直してみてください。自分の考えが正しいなんて、盲目的になってはダメですよ?それじゃ、俺はこの辺で」

サッとその場から逃げ出す!!


俺「団長さん!すいませんが、今日はもう帰ります!では、また明日!!」


制止する声は聞こえないふりして、全力で逃げきる





校舎から出て、真っ直ぐ帰り道を進む


とりあえず、Yさんの事も心配だし

連絡してみよう


明日は、応援団ミーティング来るかな……?

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