第262話 さぁ、帰ろう!

何とか誰にも合うことなく、教室まで戻ってこれた……


Y「ただいまー」


団長「あ、Yさん!A君は大丈夫!?」


俺「大丈夫ですよ。元々大したことなかったのに、無理矢理連れて行かれたんです」


団長「そう。よかったわ……主役が倒れでもしたら大変なんだからね!」


俺「主役って……」

大袈裟だなぁ


団長「えっと、実は今日はもうそろそろ解散になるんだけど」

もう終わったのか


俺「了解です。それじゃ着替えて……コレどうしますか?」

今着てる衣装を摘まむ


団長「あ、それなら私が預かるわ。それにしても衣装完成したんだから、他にもやってもらいたかったのに……」


俺「あいつ、何か思いついたみたいですよ」

どうせ、俺にとって碌でもない事なんだけど……


Y「それじゃ、私も着替えてきますね」

あれ?

着る時はサポートで何人か一緒だったよな


俺「一人で脱げるの?」


Y「多分大丈夫よ。あ、それとも手伝ってくれる?」

俺が?


俺「何言ってんだよ……。そういうのは団長さんに頼めよ」

そう何度も何度も揶揄われてたまるか


団長「ん?私?いいわよ。それじゃ着替えに行きましょ」

Yさんと団長が別の教室へ着替えに行く


さて、俺も着替えるかな




ウィッグ外して、よくわからんネット外して

あ~……髪グシャグシャだな……


えっと、とりあえず長い靴下脱いでスカート脱いで、ズボン履いて


上着とブラウス脱いで、制服のシャツを着て


あとは、とりあえずコレ畳んでおくか……ん?

この変なスカートってどうやって畳むんだ?

わからん……


しょうがないブラウスだけでも畳んでおくか



着替えに時間がかかるだろうし、他のは皺にならないように椅子に掛けておこう


ふぅーーー……


俺、このままでいいのかなぁ

なんか漠然とした、不安みたいなものがある


Yさんは気さくで話しやすくて、良い子なんだけど……

何か問題を抱えてる、とは思う

その問題を解決できるといいんだけどなぁ


まぁ、まだ時間はあるし

体育祭の日くらいまでに聞ければ、いいなぁ

何でも聞いてって本人は言ってるけど、話したがらなそうな事は出来るだけ聞きたくないし

俺だって、話したくない事はあるからなぁ


もっと打ち解けるには、何か……

きっかけが必要なのかなぁ


俺「きっかけ…きっかけ…何かないかなぁ」

はぁ~……


団長「何のきっかけ?」

ん~?


俺「Yさんともっと打ち解け……あ゛」

今の……


Y「ふ~ん。私とも~っと打ち解けたいんだぁ~」

うげ、本人までいた!?


俺「二人とも、早くない!?」

もっと時間かかると思ってたのに!


団長「当たり前じゃん、そんなの」


Y「着るよりも脱ぐ方が簡単なんだよ?」

そ、そういう問題か!?


団長「それにしても、二人とも仲良いよねぇ」

悪くはないけどっ……


Y「でも、付き合ってる訳じゃないんですよ?」

そうそう!


団長「へぇ、そうなんだ!?YさんってA君の事好きなんだと思ってたけど」

なんでそう、ピンポイントな発言するの!?


Y「好きですよ?」

あちゃぁ……


団長「…………はい?」


俺「えっと、これには訳があってですね」


団長「ふ、二人の関係って」


俺「友達です!」


団長「え、でもYさんはA君の事が好きって……私マズい事聞いちゃった!?」


俺「ちょっと込み入った訳があるんですってば!だからあんまり詮索しないでください!この話題は終了です!はい!終わり!」


Y「ふふ、機会があれば話しますね」


団長「う、うん……」


俺「団長さん。衣装コレお願いします」

衣装をまとめて団長に渡す


団長「あ、それなんだけどね。Yさんが預かってくれるって言うから」

なんで!?


Y「二人分まとめて保管するから安心してね♪」

そ、そっかー


俺「何か少し安心できないんだけど……」


Y「そんな事ないよ?大丈夫!少し匂いを堪能するだけだから!」

大丈夫な要素ドコ!?

もしかして、Yさんって変態なの!?


俺「いや、そういうのはダメだよ!?何しようとしてんの!?」


Y「大丈夫!大丈夫!汚さないから、ね!」

ね!

じゃねーよ!?どういう事!?


俺「や、やっぱり自分で管理するよ!俺の衣装だしね!」

Yさんに渡したら、何されるか分かったもんじゃない!!

慌てて衣装をカバンに突っ込む

良かったぁ

勉強道具一式、机とロッカーに置いてきてるからカバンは弁当くらいしか入ってなくて!!

キチンと畳めば何とか入るな……


これをこのまま持って帰って、明日そのまま持ってくれば何の問題もない!


俺「そ、それじゃ帰ろっかな!また明日!」


重くなったカバンを肩にかけて、その場を逃げるように後にした

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