第252話 解散の危機!?

採寸が終わり、再び全員が集合した教室で団長さんが注目を集めてる


団長「A君とYさんには、これから私がダンスを教えます。バックダンサー組はどう?踊れそう?」


「……無理っす!」

「あんな動きしたことねーからなぁ」

「もっと簡単にならねーか?」

振り付けは不評みたいだな……

多分、俺も踊れないだろうなぁ


団長「あれ以上……、簡単に?ちょっと考えさせて……」

予想外だったのかな

どんな踊りか知らないけど、未経験の素人にも出来るレベルって訳じゃなさそうだな


俺も、無理そうなら簡単にしてもらおうかな


団長「えっと、それじゃ……ダンスの見直しは今日中には難しいから、バックダンサー組は今日はもう帰っていいわ……えっと、あとは……あれ?T君は?」


「帰ったっすよ?」

あ~、何も言わずに帰ったのか……

急いでいても、それはダメだろ?


団長「そ、そう……」

何か団長さんの中の予定とズレてきてるっぽいな


「あの~」


団長「何かしら?」


「私たちも帰っていいですか?」

雑用係の人たちか

まぁ、やる事ないなら帰りたいよな


団長「え、ちょっと待って。何か予定あるの?」


「いや、無いですけど……やる事ないなら、ここにいてもしょうがないかなぁって」

どうせなら、遊びに行ったりしたいよなぁ


団長「そ、そう……えっと、そうね……そんなにやる事もないから、今日は残ってもいいよって人だけ残ってちょうだい」

そんな言い方したら……


一斉に俺とYさん以外のメンバーは立ち上がり支度をして、何にも言わず帰っていく


誰も好き好んで残りたいって人はいないだろ……


残されたのは俺とYさんと団長の3人だけだった


団長「あはは……皆忙しいのかな」


Y「団長さん……」

可哀そうだな……


俺「それじゃ、ちゃっちゃと始めましょうよ。本番まであんまり時間ないんですから」

取り敢えず、どんなダンスなのか教えてもわらないと始まらない


団長「そうね。よしっ、それじゃまずは私がお手本見せるからしっかり見ててね!」

スマホから曲を流す


もう聴き飽きた慣れた音楽に合わせて、腕や足を動かす様はしっかりとしたダンスに見える

1曲踊り切って、軽く息を整える


団長「どうかしら?」

どう、っていわれてもなぁ


俺「難しいですね……」

例えダンスだけに絞っても、今見た動きを真似るのはかなり厳しいな

もし、歌いながらなら100%出来ない


団長「そ、そう?」


俺「素人にその動きは無理ですよ」

多分、バックダンサーの方も似た感じなんだろうな


団長「そう……わかったわ。考え直すから1日頂戴」

やっぱり、そういうよなぁ


Y「A君……」

そんな責めないでよ

Yさんだって難しいって思うでしょ?

せめて1~2か月あれば別なんだけど……


俺「団長さん。俺からも、提案いいですか?」

このままじゃ、紅組応援団は結成2日で解散しちゃいそうだし

団長さん1人で頑張っても、ダメだからね


団長「何かしら」

覇気がないなぁ

最初はあんなにハキハキしてたのに


俺「ダンスなんですけど……必要最低限にしませんか?」

一番手っ取り早く楽な解決策だ


団長「でも、アイドルって踊るものでしょ?」

知らないけど、多分歌ってる時はそんなに踊らないんじゃないかな?


俺「そうかもしれませんけど、それは素人の俺達には無理です。だから必要最低限に絞りましょう」

1曲の中で数カ所だけダンスをする

そうすれば、覚える事も出来ると思うんだよね


団長「でも、それじゃ……」

白組に勝てない、か?


俺「団長さんは、採点の基準って知ってるんですか?」

ダンスが出来ないとダメって話しなら、最初に踊れる人を探すはずでしょ?


基準次第では、踊る必要はないかもしれない?


団長「えっと……先生はあんまり詳しく教えてくれなかったけど、盛り上がりが大事だって」

盛り上がり、ね

なら賭けではあるけど、簡単な方法があるな


俺「なら、やっぱりダンスは最低限でいいと思います」

俺なんかが踊るより、もっと盛り上がる方法があるからね


団長「どういう事?」

Y「何か思いついたの?」

まぁね


俺「俺とYさんはステージ上で頑張って歌いながらします。そして、バックダンサー組の人達にはしてもらうんですよ」


団長「こーる?」

Y「レスポンス?」

あれ?知らない?


俺「簡単に言うと、ファンの人達が入れる合いの手みたいなやつです」

たまに映像であるじゃん?

歌手の人が観客にマイクを向けるパフォーマンスとかがコールで、それに応えるファンの人達がレスポンスかな

まぁ、間違っててもいいか

大事なのは名前じゃないし


団長「それで?」

ん?


俺「それだけですけど……」

あれ?ダメだった?


Y「それだと、バックダンサーの人達は声かけしかやらないって事?」

ん~……どうするかなぁ

あの男らしく響く野太い声はコルレス向きだと思ったんだけど……


俺「後は……いや、さすがにアレはなぁ……」

やらせたら問題になりそうかなぁ

嫌がるかもしれないし……


団長「何かあるなら教えて!どうせ私達しかいないんだし」

二人に判断を任せてみるか……


俺「本人たちがやりたがらないかもしれないですよ?」


団長「いいから、言ってみて」


俺「えっと、ヲタ芸っていう……ダンスみたいなやつがあるので、それなら練習すればできるようになる……かもしれなません」


団長「をた、げい?」

うん、知ってる訳ないよね!


Y「A君はそのってできるの?」

出来ないよ!?

まぁ、とりあえずスマホで動画探せば見つかるだろ


俺「出来ない……とりあえず、動画検索してみるから待ってて」

えーっと……


ヲタ芸 基本 バリエーション


検索っと

あ、あったあった!

とりあえず再生っと


スマホの画面を3人で見てみると

数人の男達がサイリウムを手にアニソンに合わせて踊り出す


ちょいちょい音楽が止まり、動きのシーンで解説が入る

ここはこう動くとか、周りに注意して動くとか

まさに教本的な内容だった

かなりいい動画見つけられたっぽいな



あとは、2人がどう思うかだな

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