第250話 Yさんとカラオケ
結局、休憩を挟まずに1時間半も歌うことになった……
Yさん、タフだね!?
俺「ちょっと休憩させて……疲れちゃったよ」
同じ曲ばっかりでもうウンザリなんだけど……
Y「……あ、ごめんね!ちょっと張り切り過ぎちゃった!?」
いや、ほんと、何で自覚ないのかな不思議なくらいね!?
俺「Yさんって案外タフだね……」
Y「え……そう、かな?」
本当に無自覚!?
俺「もう1時間半も歌ってるってのに」
Y「あ、ホントだ!?……楽しい時間ってあっという間だね」
楽しいのは、最初だけだったよ……
俺「そう、だね……」
Y「それじゃ、気分転換に別の歌でも歌う?」
いや、休憩しようよ!?
俺「俺はちょっとパスで……」
喉痛くなりそうだし
Y「そっか。それじゃ、私はテキトーに入れて歌うね」
まだ歌うの!?
Yさんが端末を操作して入れたのは、聞き覚えのあるJ-POPだった
確かランキングで上位獲ったとか、テレビでやってたな
やっぱ、普通はそういう曲だよね
俺の好きなアニソンなんて、知ってるわけないよねぇ
まぁ、逆に知ってたら……どこで知ったのか問いただしたいけどさ
休憩がてらYさんの歌声を聴く
……普通に上手いなぁ
俺とは違うな
まぁ、上手くなりたいとは思ってないから別に良いんだけど
俺はカラオケなんて、楽しく歌って騒げればいいからなぁ
得点とかも気にしないから、多分音痴なんだろうな
うん……いい感じにリラックスできるなぁ
曲が終わるタイミングで拍手をする
俺「Yさん、歌上手いよね」
なんかやってたのかな?
それとも、これくらい歌えるのが普通なのか……?
だとしたら、俺ヤベェな
Y「え、そうかな……ありがと。A君は、カラオケってあんまり好きじゃないの?」
俺「そんな事ないよ。ただ、楽しく歌えればいいから上手下手を意識した事なくてね。こうやって練習したのは初めてかな」
あ……でも、メチャクチャ早口の歌詞は歌えるようになりたくて
何度か連続で入れた事はあったかな
結局、歌えるようにはならなかったけど……
Y「へぇ、そっか。あのね、もし良ければなんだけど……」
なんだろ、改まって
俺「うん?」
Y「普段みたいな感じで、歌ってくれないかな?」
普段みたいな感じ、かぁ……
どんなだっけなぁ
俺「Yさんに比べたら……いや、比べるのすらおこがましいレベルで下手だと思うけど……?」
それでも聞きたいの?
Y「そんな事気にしないで!A君が楽しく歌ってる所見たいな~、なんて……ダメかな?」
まぁ、今更下手なのはバレてるか
俺「ドン引きしても、知らないよ?」
ここは一発、やらかしますか……
俺の実力ってのを知ってもらうかな!
いつも歌うやつで……お気に入りのラノベアニメの、キャラソン……よし、コレにしよっと
端末を操作して、曲を送信する
メロディーが流れ始める
あ~、この曲歌うのも久しぶりだなぁ
そういえば最近は、BやDとカラオケ来てないなぁ……
あえてYさんの方は見ずに歌詞の映る画面だけを見て、歌いきる
さてさて、Yさんはさぞドン引きでしょうね……
歌い終わってYさんの方を見ると、固まっていた
うん、ドン引きだとは思ってたけど……絶句するほど酷かったかな?
俺「えっと、Yさん大丈夫?」
出来れば大丈夫って言ってほしいんだけど……
Y「ね、ねぇ……今のって」
おお、喋った!
俺「いつも通り楽しみながら歌ったんだけど……」
キモかったよね~
ハハ、知ってた
Y「う、うん……今の歌声って、あの曲でもできる?」
あの曲って、『獅子』?
俺「やった事ないけど……できなくはないと思うよ?」
なんでそんな事聞くんだ?
Y「練習再開、できる?」
どうしたんだろ……なんかすっごく真剣なんだけど?
俺「あ、うん。でも、今日はもう遅いし何回かしたら帰らないと」
妹が煩いからさ……
Y「うん!それじゃ、A君はさっきの声でお願いね!」
さっきのって……裏声!?
いやいやいや、そんなふざけてたら練習にならないよね!?
俺「練習にならないんじゃ」
Y「いいから!はい、マイク!」
無理矢理マイクを握らされて、『獅子』を一緒に歌うことに……
ま、まぁ、いっか……最後くらい
あと何回か練習したら帰るんだし、Yさんの言う通りにしてみるかな
Yさんが端末で曲を入れ、一緒に歌う
とりあえず1回歌ってみたけど……Yさんは何か考えながら頷いてるだけで、俺に何も言ってこない
Y「ねぇ、もう1回やろ」
俺「うん」
でも、裏声でいいのかな?
自分で言うのもアレだけど、まだ地声の方がマシだと思うんだけどな……
それから、数回練習をして……会計を済ませて解散になった
まったく……Yさんは何考えてるんだろうなぁ
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